【D-1-6】本当の愛とは何か
ゴーテルの放つ異常とも言える冷気。
それは冒険者たちの危機感を急激に募らせた。
>「彼女を連れて、逃げるべきです。貴方が動けなくなったとしても
>ラプンツェルさんが自力で髪を切って森から出るべきでしょう。」>「万が一切れなかった場合森から出ずに逃げ切ってください。捕まるのは時間の問題になりそうですが、その間に調べます。やってはないけど魔法によって物理的に切れない可能性があります。この森にもしかしたらヒントがあるかもしれません。」
その中で優先したことは逃げ出すという自らが生き延びるための選択ではなく。
ラプンツェル――物語のヒロインを脱出させようというものであった。
いつの間にか冒険者たちは物語の中に完全に溶け込んでいたのだろうか。
それとも彼や彼女の性がそうさせるのであろうか。
「しかし、それでは貴方たちがどのような目に遭うかわかりません」
レタスは想像通りいい顔はしなかった。
彼にも彼なりの矜持があるのだ。
人を犠牲にしてまで自らを優先するのは好まないのだろう。
ましてラキアスという女性を、だ。
* * *
――そんな中一人だけ違う選択をしたのは、シィノヴィアであった。
彼女は今にも魔法を放とうとするゴーテルの下へ臆せず歩み寄り。
>「一度だけでいい。
> ラプンツェル嬢が森の際まで行くことを許してあげられませか。
> 彼女の安全は仲間が守ります。
> そしてラプンツェル嬢が戻るまで、シィノが代わりにここに残ります。
> ラプンツェル嬢は、必ずここに戻る」
ゴーテルに向けて要求した。
一度だけでいいから――森の外の景色を、両親を見せてやりたいと。
「お前なんか人質になりやしないさ。
人なんてものはね、捨てられるときはあっさり捨てられるんだよ!」
ゴーテルの返す言葉には妙な迫力があった。
彼女にかつてそのような経験でもあったのだろうか。
>「ラプンツェル嬢が、育ての親より実の親のほうがいいと思うかもしれない。
> 塔に閉じこめていた自分を恨むかもしれない。
> そう心配するのは当然のこと」
シィノヴィアはそのまま言葉を紡ぐ。
それに対してゴーテルの感情は激化し、魔力の勢いもより強まる。
>「ゴーテル殿はこれだけラプンツェル嬢に執着しながら、けっきょくは自分のことしか考えていませんね。
> 実の親といえど今まで存在も知らなかった人と、毎日世話をしてくれた育ての親。
> どちらを親しく思うかなど、シィノでもわかるというのに」
「......な、何を......!」
しかしその魔力はシィノヴィアの次の言葉によって急激に鎮まった。
魔法を唱えるために動こうとしていたその腕からすっと力が抜け。
ゴーテルはただ――目を見開いてラプンツェルを見つめていた。
怯えながらもそれでも労りの目で見つ返す彼女を。
>「ラプンツェルさんを信じてみてはいかがですか?本当に愛しているのでしたら出来るはずです。」
「本当に、愛して......いる?」
ゴーテルは完全に脱力したかのようにぼんやりと立っていた。
彼女は感じているのだろう、己の愛とは一体どのようなものであったのか。
そしてそのような愛であっても応えてくれる存在について。
>「ゴーテルさんの母親はどんな方でしたか?」
そしてさらに感じるのだろう。
ラプンツェルにとって――自分がどのような母であったのか。
「ゴーテルお婆さん。
お願い、もう......やめて」
ラプンツェルはただ願う。
これ以上争いが起こることのないように。
* * *
「そういう......ことかい......。
いや、本当はもっと前から知っていたんだろうね......」
ゴーテルは完全に戦意を喪失したようだ。
その姿は一瞬のうちにだいぶ老けたように見えた。
「私は確かにこの子を愛していた。
そのつもり......だったさ。
でも違ったんだねえ......私が愛していたのはこの子を愛している私自身だったんだ。
だからこの子を塔に閉じ込め、そして更に呪いによって縛っていた。
私はこの子を愛しているつもりでしかなかった。
――だから、ちゃんと信じてやることができなかったんだね」
その声は落ち着いているように聞こえた。
いやどちらかと言うと全てを諦めてしまったとも言えるような声だ。
「行ってくるといいさ。
......森の端まで」
ゴーテルがただ漏らしたのはそんな言葉だけだった。
「お婆さん......ありがとう」
許可に対してラプンツェルが返したお礼の言葉が響く。
それは確かな愛の響き。
「いいや、そもそも感謝されるような人間じゃないんだよ......私はね」
けれどゴーテルは彼女の愛を受け取ろうとはしなかった。
「彼女は必ず僕らが守ります。
僕の全てにかけて誓いましょう」
先程までは怨敵かのように激しい憎悪の言葉を投げつけていた相手。
レタスがラプンツェルを守ると宣言した時でさえも。
「――好きにするがいいさ」
ただただ力ない笑みを浮かべていただけだった。
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あんみつ@GMより
シィノヴィアの言葉から始めるとこのような感じになりますね。
ゴーテルはラプンツェルが森の端まで行くことを承諾する......。
というよりかは、積極的に拒みません。
ラプンツェルを連れて森の端まで向かうことができます。
この場合レタスも村側の森の端までついていきます。
シィノヴィアを含めて誰かがここに残ろうと残らなかろうとゴーテルは気にしません。
みなさんは次の行動の選択をどうぞ。
具体的なものは以下の2つです。
・森の端まで向かう
・この場所に残る
それ以外のポイントはお好きなようにどうぞ(*´∀`*)