森に愛されし者
ゴーテルさんは辛辣な態度ではあったが、話を聞いてくれた。
激昂していたら、サニティをかけようかとも思っていたが、
そこまでの必要はなかったようだ。
「ええ。結果的に無断でお連れしてしまいました。これは弁解のしようがないです。
一応、置手紙をしておいたのですが、お読みになってはいないのですね。」
誠意は見せておこう。ないよりはマシだ。
「なるほど、貴重なご意見ありがとうございました。
ラプンツェルさんは、森からは出られない、ということなんですね。」
髪も、森に愛された証であるのなら、切ることはできない。
それは愛された証を切ってしまうことになるからだ。
そうなると、ラプンツェルさんにとっては良くないことになるのだろう。
「彼女が森に愛されているのでしたら、せめてもう少し、ラプンツェルさんに
森を見せてあげたいです。
森だってラプンツェルさんを近くで見たいと思っているのではないでしょうか。
今しばらく、時間の猶予を頂けますでしょうか。」
ダメ元だが頼んでみよう。
無理なら、僕らだけで調べるしかない。
ゴーテルさんの証言でわかったことは、彼女の秘密は、森にあるという事実だ。
そういえば、塔で待っている間に、僕を見つめる視線があったことを思い出した。
巨木...エントレットだ。
エントレットは物知りだと聞いたことがある。
ラプンツェルさんの秘密に繋がる何かを知っているとしたら彼だろう。
彼は、僕に何かを言いたかったのかのかもしれない。
わざわざ塔まで出てきたのだ。彼女のことは知っているのだろう。
そう思うと急に気になりだした。
* * * * * * *
コルチョネーラです。
急にエントレットの存在が気になりだしたグレースです。
気になるスイッチ点灯しました。
この謎はグレース的に解明しないと後悔しそうです。
でも、エントレットって妖精語だった!!って童話語でよかったんですね。
交渉失敗の場合は、戦うか逃げるかでしょうが、どちらでもついていきます。