不穏
>「シィノさん、どちらの結論をラプンツェルさんが選択されたとしても、
> 僕をご両親の所に案内してください。お話を聞きたいですから。」
手の甲の呪いはいつまで続くのだろうか。今はまだ、村まで行けない。
しかし、グレース殿ならキャベツ殿の妻の病気も治せるかもしれない。
「村の北、キャベツ殿の家。夫人がご病気です」
ラプンツェル嬢から目をそらさず、手短に伝えた。
グレース殿ならこれだけでおよその事情はわかるだろう。
―*―*―*―
>「でも、本当にいるのなら一度くらい会ってみたいわ。
> 外の世界だって見てみたい。
> だけど......」
最後の言葉は、轟雷のせいで聞こえなかった。
が、ラプンツェル嬢のためらいは充分に見てとれた。
シィノは、魔力を高めつつあるゴーテル殿のほうへ数歩近づき、話しかけた。
「一度だけでいい。
ラプンツェル嬢が森の際まで行くことを許してあげられませか。
彼女の安全は仲間が守ります。
そしてラプンツェル嬢が戻るまで、シィノが代わりにここに残ります。
ラプンツェル嬢は、必ずここに戻る」
どうせシィノは今、森を出られない。
それにシィノが質でいれば、ラプンツェル嬢に会えたキャベツ殿が彼女を塔に戻すのを拒んでも、必ず連れ戻ってくれる。
ゴーテル殿が絶対に避けたいのは、ラプンツェル嬢を失うこと。
そして危惧しているのは、ラプンツェル嬢が外の世界に触れることで、ゴーテル殿のもとから離れてしまうことだろう。
「ラプンツェル嬢が、育ての親より実の親のほうがいいと思うかもしれない。
塔に閉じこめていた自分を恨むかもしれない。
そう心配するのは当然のこと」
ゴーテル殿がそこに罪悪感を抱くのかはシィノの知るところではないが、ラプンツェル嬢を外界から切り離していたのは事実なのだから。
だが、ゴーテル殿はあまりにも勝手だ。
「ゴーテル殿はこれだけラプンツェル嬢に執着しながら、けっきょくは自分のことしか考えていませんね。
実の親といえど今まで存在も知らなかった人と、毎日世話をしてくれた育ての親。
どちらを親しく思うかなど、シィノでもわかるというのに」
自分のことしか考えていないから、ラプンツェル嬢の表情に気づかないのだ。
「守られていた」のではなく「閉じこめられていた」のだと聞かされた今でも、ラプンツェル嬢はゴーテル殿の身を案じているのがわからないのか。
腹立たしい。もどかしい。
こんな歪んだモノなど、いっそ全て壊してしまいたい。
シィノはシィノにもよくわからない怒りを抱きながら、ゴーテル殿の答えを待った。
――――PL――――
戦わない。
シィノが人質になるからひと目両親に会うくらい許してよ、と交渉です。
ゴーテルがラプンツェルを信じる気になってくれればいいなぁと思いつつ。
やっぱりPCの感情があふれるRPは楽しい。
いつもより声が低くて、3割増し目つき悪いシィノでお送りしています。
16:46:36 紫乃@シィノ ≫ 先制 2d6+9 <Dice:2D6[6,5]+9=20>