【E-1-2】奇跡の在り方
アルフェイトに頼みラプンツェルを少し話した後。
グレースはレタスに大事な話をする。
所謂ラプンツェルには聞かせたくない話というやつだ。
彼からの提案は二つだ。
まず一つとして神官に依頼して呪いを解いてもらおうというもの。
もう一つはエントレットに会うことで何か知恵を借りるというものだ。
「僕の城にも優秀な神官がいます。
その者の力を借りればいいでしょう。
エントレット......動く木ですか。
見つかればいいのですが、なるべくここを離れないようにするべきかと思うので」
優秀な神官とは彼が最初に話していた人物であろうか。
またエントレット探しには積極的ではないらしい。
彼はラプンツェルを守るためにここにいて。
ラプンツェルは両親に出会うために森の端にいるのだから。
* * *
エントレット探しとラプンツェルの護衛を頼んだあと。
グレースは一人村へと向かう。
彼は村の北側にいる一人の男に話しかけに行った
>「こんにちは、僕はシィノさんの仲間の一人で、グレースという者です。
> キャベツさんを探しております。」
「シィノ......?
ああ、シィノヴィアさんか。
彼女はひとりで来ていたわけではなかったんだな。
んで、俺がキャベツなわけだが......どんな様か?」
自らこそがキャベツであると語る男に対して、グレースは自らの来訪の理由を語る。
彼の妻の病気を癒しに来たこと。
そして、彼らの求める娘が待っているということを。
「本当か......!?」
まず最初に見せたのは信じられないというような表情。
けれど、グレースの聖印を見てその疑念は氷解し。
代わりに顔全体、いや彼全体に広がっていくのは隠しきれない喜びの感情である。
「俺たちは正直払える金もないんだが。
......それでも本当にいいのか?
だったら頼む、あんたは俺たちの恩人だ」
そう言ってキャベツはグレースを家の中に案内する。
* * *
部屋の中は実に質素なものであった。
別段貧乏という程のものでこそはないが、まあ村の中の暮らしなどこんなものだろう。
そして簡易なベッドの中にひとりの女性が寝込んでいた。
その金色の髪と、苦痛に歪んではいるものの整った顔立ちは――ラプンツェルを想起させる。
「俺たちの娘を奪われてから、どんどん心が弱って行ってな。
いつの間にか体まで弱まっちったんだうちのやつは」
キャベツが言う通り、彼女の問題の根源は体ではなく心の方だ。
彼女の病気を治した後も――心のケアが必要になるだろう。
それは奇跡であっても言葉であっても構わない。
グレースが選んで処方するのだ。
* * *
一方アルフェイトはエントレットを探しに行ったかもしれない。
けれど少なくとも村側の森ではその姿はなかった。
グレースが見たのは塔の辺りなのでもっと奥の方にいるのかもしれない。
「少し気分が良くなってきたわ」
戻ってみればラプンツェルの顔色はだいぶ良くなっている。
アルフェイトに向けて健気な笑顔を見せてくれるだろう。
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あんみつ@GMより
進行となります。
キャベツの妻の病気を治すには二段階必要です。
まずは《キュア・ディジーズ》などで病気を治すための目標値13の判定に成功する必要があります。
失敗しても成功するまでかけ続けることができます。
続いて心を癒してあげる必要があります。
《サニティ》などで目標値15の判定に成功するか、
心に響く言葉を与えれば元気になります。
アルフェイトはエントレットを見つけることができませんでした。
見つけるためにはもっと森の奥まで行く必要がありますね。