【E-1-3】未来への分岐点

 GM(あんみつ) [2016/04/01 23:15:03] 
 

グレースは一度目は失敗したものの......二度目の行使によって女性の病魔を取り除く。
彼女が病に苦しむ様子はなくなったものの。
それでも彼女は弱々しい。
心が――弱ってしまっているのだ。
どこかぼんやりとしている彼女に向けてグレースは言う。

彼は神の奇跡ではなく言葉によって心を癒そうとしているのだ。
彼女が心を病んだ理由は――娘との別離。

けれどその別離の道に光が差し。
別離があったからこその驚きと奇跡があったことを丁寧に語る。

「つまり......あの子に会えるということ?
 王子様と森で待っているの?」

ベッドから体を起き上がらせた女性は未だ情報を認識できていないようだ。
――それも当然だ。
奇跡など起きないのが当然のことで。
それが幾重にも重なったという話を簡単に信用できるわけもない。
けれど、グレースが神官としての姿を見せていることから。
この希望は彼女にとって確かなエネルギーへと変換されたようだ。

「俺も本当かどうかはわからない。
 けれど、嘘かどうかだってわからない。
 だったら行ってみないか?
 そこに行けば真実がわかる......そうだろう、ミズナ」

キャベツはミズナと呼ばれた婦人の手を固く握る。
そんな夫の気持ちに応えるかのように彼女も頷いていった。

「私も行きます。
 神官様、森の方まで向かいましょう」

ミズナはゆっくりと自らの足で立ち上がり。
そして――歩き出した。

   *   *   *

再び舞台は森の端の方まで移る。
そこにはラプンツェルとレタス、そしてアルフェイトの姿があった。

「あれは......」

ラプンツェルの瞳に映ったのは二人の人影。
黄金色の髪をした男女の姿だ。
グレースも二人についてきているならそこに姿がきっとあるだろう。

その二人の男女はこちらに気がついた様子を見せると力強く走り出す。
やややせ細って見えた女性の方も、何かが元気で満たしたかのような勢いだ。

そして駆け寄ってくる女性はラプンツェルを固く抱きしめる。

「私は......ずっとあなたに会いたかった。
 あなたに会えない日々が続いていくのを恨めしく思っていたわ。
 こんな運命を齎した神のことすら何度呪ったことかわからない。
 ......でも、違ったのね。
 あなたにこうして神は運命は出会わせてくれた。
 ありがとうラプンツェル――愛してるわ」

ミズナはラプンツェルを更に強く強く抱き締める。
彼女の青い瞳からは真珠のように涙がぽろりぽろりとこぼれ落ちていく。
少し後ろで立っているキャベツの瞳も潤んでいるようだ。

「お母さん......?
 お母さんとお父さんなの......?」

抱きしめられながらラプンツェルは答えを求める。

「そうよ、私たちはあなたの家族なの。
 離れていても決して切れることはない――血という絆で結ばれた家族なの」

もう離したくないという思いがそうさせるのか。
ミズナとラプンツェルの距離はより近づき、一体となる。

「そう......これがお母さんの温もりなのね。
 私、知らなかったわ。
 だから今こうして感じられて――とても......嬉しい」

いつの間にか泣いているのはミズナだけではなくなっていた。
彼女とよく似た容姿を持つラプンツェルの瞳からも涙が流れ出していたのだ。

そんな家族たちの再会を――レタスは少し離れた場所で見ていた。

   *   *   *

「ねえ、ラプンツェル......これからは一緒に暮らせるのよね?
 もう離れ離れにはならないわよね?」

ミズナがラプンツェルを見据えながら問いかける。
勿論には彼女は期待している答えがあるのだろう。

「お母さん......。
 私は......」

けれどラプンツェルはその約束に答えられない。
ゴーテルの存在と――何よりこの森から出られないという事実が回答を鈍らせるのだ。

――そんなときだった。
ラプンツェルの髪が強く輝き始めたのは。
そしてその強い輝きは一点に集まっていく。
まるで巻き戻るかのように。
光の髪はとてつもない長さから人並みより長い程度まで縮まっていく。

「まさか......呪いが......?」

レタス同様グレースとアルフェイトも気がつくであろう。
ラプンツェルの呪いが解けていったのだ。
それはつまり――彼女の自由を意味する。

「ラ、ラプンツェル?
 何があったの?
 大丈夫なの?」

何が起こったのか把握できていないミズナは。
ラプンツェルの身に良くないことが起きたのではないかと不安がる。
しかしラプンツェルは笑顔で答えた。

「ううん、違うの。
 なんだか身体が軽くなったような気がするわ。
 今ならどこにだっていけそう」

そう――今のラプンツェルはどこにだって行けるのだ。

ミズナとキャベツの家に行くことも。
レタスの城に行くことも。
ゴーテルの元へ帰ることも。

「でも、どうしたらいいのかわからないの。
 私はずっと独りで自由なんて考えたことがなかったから」

そんな彼女はひどく混乱している。
そっとアドバイスをしてあげるのもいいかもしれない。
そこに利己的な気持ちがあったとしてもだ。
てみればラプンツェルの顔色はだいぶ良くなっている。


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あんみつ@GMより

進行となります。
NPCの掛け合いのシーンはPCが行動を挟みにくいので、
行動できるところまで進めましたので長めに。

ミズナの病気を治したため、グレースにHPを1点。
ラプンツェルと再会させたため、更に1点ずつを差し上げます。

グレースは村に留まることも、森まで一緒に行くこともできます。
アルフェイトの位置は固定です。

皆さんは次の行動を選択してください。

具体的なものは以下の3つです。

・村に向かうよう提案する
・城に向かうよう提案する
・戻るように提案する

ここでの提案が物語の結末に大きく関わってくることでしょう。

他にも何かあればご自由に行動ください(*´∀`*)