森を抜けて
僕は、彼女達の姿が見えなくなると、すぐにアルフさんにお願いして、
ラプンツェルさんのお相手を頼むことにした。
「ラプンツェルさん、ちょっとアルフさんがお話がしたいみたいなので、聞いてくださいますか?」
フリーになった王子に僕は、ラプンツェルさんの髪のこと、呪いのことを
よりわかりやすく、詳細に伝えることにする。
「...というわけで、髪を切っても生命にかかわりますし、森を出ることもできないのです。
呪いというのは、かけた本人ならどうにかできると思いますが、
もしかしたら、死でしか解決できないというケースも考えられます。」
だから、僕はゴーテルさんに念を押したのだ。
死で呪いが解決できることくらいなら、想定できる話だから。
「ですが、呪いを解く魔法というのも存在します。僕は、病気を癒す魔法は使えますが、
呪いを解くほどの腕はありません。しかし司教レベルの方であればできるかもしれません。」
そこで、提案をひとつあげる。
「王子が、そういった司教の方を公募されるというのは如何でしょうか。
もちろん、ご自身の結婚式の際の牧師をお願いするという条件をお付けするのです
そうすれば、彼らにとっては宣伝効果になりますから、
名乗り出る方もいらっしゃるかもしれません。
まあ、あんまりヤバい宗派は対象外にされたほうが宜しいでしょうが。」
その間、僕は本の世界に残っていてもいいと思った。
森の中での生活も、しばらくは必要になるだろう。
その間に、様々なアイディアが浮かび、ベストの解決方法が見つかればいい。
諦めなければ、どうにかなる。僕はいつもそうやって乗り越えてきた。
それから、もうひとつの提案をあげる。
「実は、王子が先に塔に登られた後、僕はエントレットという巨木に遭遇いたしました。
彼は僕を見ていました。そして去っていきましたが、エントレットは物知りなのです。
彼に遭遇できたら、呪いを解く方法を知っているかもしれません。」
僕は、アルフさんに呼ばれて振り返った。
ラプンツェルさんが良くない状態らしい。
「ごめんなさい。
なんだか気分が悪くなってきたの」
確かに彼女の顔色は悪そうだった。
王子がすぐに対応する。
「わかりました、もう少し奥で休みましょう。
――グレースさん、アルフェイトさん。
僕が彼女の傍にいるので、彼女のご両親のことお頼みします。
村については少し歩けば見えてきますので」
「でしたら、僕は村に行ってまいります。もしもエントレットに遭遇された時は
聞いていただけると助かるのですが。
アルフさんは、ツノを隠されたほうが宜しいですよ。」
王子が無理ならアルフさんにエントレット探しをお願いしてもいい。
アルフさんは、角丸出しだから、聖印を外した僕の帽子をかぶってもらう。
ブローチ式の聖印は服につけることもできる。機能性も考えた僕の自信作だ。
村に行かなくても、ラプンツェルさんの両親を連れてくるわけだから、
やっぱりツノは隠したほうがいいだろう。
僕は、帽子を取って聖印を胸元につけ替えると、帽子をアルフさんに渡す。
僕は、森を抜けて村に到着した。
村のとある家の前に、ぼんやりと立っている男性。
彼の髪の色は、ラプンツェルさんと同じ黄金色だ。
「こんにちは、僕はシィノさんの仲間の一人で、グレースという者です。
キャベツさんを探しております。」
相手を確認してから要件を伝える。
「シィノさんが、キャベツさんのご夫人と、お嬢さんを会わせたいと申しておりました。
ですが、シィノさんも、お嬢さんも、呪いの影響で森から出ることができません。
シィノさんがゴーテルさんを説得いたしましたので、お嬢さんは護衛の方と一緒に
森でお待ちになっております。僕はご病気のご夫人を癒しまして、お嬢さんのいらっしゃる場所に
ご案内させていただきたく、こちらに参りました。」
護衛の人が王子だと言うと、長くなりそうなので、それはご夫人に会ってから話そう。
僕が神官だということは、わかるだろうか。
一応、月の聖印はついているのだが。
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コルチョネーラです
忙しいグレース。歩いているだけでも頭の中はフル回転。
呪いを解く方法をあれこれ考え、
アルフさんはエントレットと遭遇したら呪いを解く方法に関する情報収取を依頼しますが
一緒に行くでもかまいません。どちらにしても帽子を貸します。
村に行き、キャベツさんを探して要件を伝えます。
たぶん彼がそうだと思いますが、彼がキャベツさんじゃないなら訂正します。
ミモザの木(草ではなく、木に咲きます)は見つからなかったようです。
14:59:50 コルチョネーラ@グレース ≫ 捜索判定 2d6+4 <Dice:2D6[1,3]+4=8>