【E-2-3】選択された未来
>「"独り"がゴーテル殿の安らぎになるのなら、それもいいでしょう」
シィノヴィアは独りになることを積極的に咎めたりすることはなかった。
>「しかし、つなぎとめられるものまで捨てることはないと思いますよ」
それでも彼女はゴーテルの身を案じ、最良の選択をすることを望んだ。
きっとシィノヴィア自身が感じてきた沢山のことがそうさせるのであろう。
独りでないことは時に霧のように迷いも生むけれど、世界を晴らすこともあるのだと。
>「彼はゴーテルさんにミモザの花を渡しに探して戻ってくると思うからここでまっています。すれ違うのは困りますしね。それまでお話ししません?いろいろ話してみたいんです。魔女になったきっかけとか駄目ですか?」
一方のラキアスは積極的にゴーテルに関わろうとする。
小さな関わりでも彼女を救う何かになるのではないかと信じて。
「魔女になったきっかけ?
そんな不幸な話が聞きたいのかい?
お前も変わったやつだねえ」
どこか不思議なものを見るような目でゴーテルはラキアスを眺める。
積極的に不幸話を聞き出そうとする態度が気になったのだろうか。
「まあいいさ......別に大した話じゃないよ。
私はね、生まれた時から魔女なのさ。
魔女になりたくなったわけでもないし、何か切っ掛けがあったわけでもない。
そうだねえ......切っ掛けがあったとするならそれは――この世界に生まれたことさ」
ゴーテルは魔法の練習をして魔女になったわけではない。
何か魔法のアイテムに触れて魔女になったわけでもない。
この世界に産み落とされた時から魔女だったのだ。
「私には運命は変えられなかった。
だって、もうそのように生まれてしまったんだ。
後戻りはできない。
たとえ死んだとしてもそれは別のステージに進むだけさ。
魔女として生まれた私はいつまでも魔女として在り続ける。
――どうしようもないことはこの世にたくさんあるんだよ」
深い溜息。
魔女であるという事実は果たしてゴーテルにどれだけの苦しみを与えたのだろうか。
「そもそもこの世界で選択できることなんて少ないものさ。
お前たちはどうして今のように生きているんだい?
全て自分で選択した結果だと言えるのか?」
ラキアスもシィノヴィアも今はこうして冒険者として生きている。
そんな二人にも何らかの切っ掛けはあったのかもしれない。
それは生まれた時なのか最近なのか。
形があるものなのかそうでないのか。
二人の中にしか答えは用意されていないだろうが。
「私が魔女として生まれて何よりも恨んだのは母のことだったさ。
だからなのかもしれないね、私が母になれない身体になったのは」
いつの間にか雨は穏やかになっていた。
つい先程までの激しさはなく。
ただ寂しげに降り続くだけ。
「本当に......戻ってくるのかね......?」
誰が、とは聞くまではないだろう。
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あんみつ@GMより
進行になります。
ゴーテルのもとから離れることは選択されなかったのでそのように。
場面的には大きく進行していませんが。
すこしおしゃべりなどどうぞ(*´∀`*)