道
>「私には運命は変えられなかった。
> だって、もうそのように生まれてしまったんだ。
> 後戻りはできない。
> たとえ死んだとしてもそれは別のステージに進むだけさ。
> 魔女として生まれた私はいつまでも魔女として在り続ける。
> ――どうしようもないことはこの世にたくさんあるんだよ」
物語の中だから、綴られたそのときから役は決まっていたのだろうか。
少なくとも、ゴーテル殿は"そう"なのだ。
>「そもそもこの世界で選択できることなんて少ないものさ。
> お前たちはどうして今のように生きているんだい?
> 全て自分で選択した結果だと言えるのか?」
「たとえ道が一つしかないとしても、歩くかどうかを決めるのはシィノ」
じっと餓死することもできたけれど、危険を冒してでも盗んで食いつなぐことを選んだ。
大人しく殺されることもできたけれど、抗い戦うことを選んだ。
黙って見知らぬふりをすることもできたけれど、見知らぬ他人を助けることを選んだ。
シィノはいつでも、シィノの納得の行くほうを選んできた。
それが"決まっていた"ことだとしても、後悔はない。
>「私が魔女として生まれて何よりも恨んだのは母のことだったさ。
> だからなのかもしれないね、私が母になれない身体になったのは」
生まれる。
そうだ、この世に生を受けることだけは、決して自分では選べない。
"生まれる"。受け身だ。
結果として生を受けられないことはあっても、自ら生を受けることを拒否することはできない。
生む生まぬの選択ができるのは、親である。
そうであるなら。
「ゴーテル殿は、選ばれて"生まれた"のですね」
今ここにシィノがいることが、急に不思議に思えてくる。
シィノも"生まれた"のだ。
シィノではない者の意思で、選ばれた。
生を受けるとは、なんと不自由なことか。
そして、とても尊く感じた。
>「本当に......戻ってくるのかね......?」
緩く降り続く雨の中、ゴーテル殿がつぶやく。
とりあえず、一度は必ずここへ戻るだろう。
問題はそのあと。
ラプンツェル嬢は、どこで生きることを選ぶだろうか。
――――PL――――
ラプンツェルの行き先に関しては、お城がいいんですかねぇ。
お城で暮らして、たまに両親やゴーテルのとこに遊びに来れたらベストかな。
ゴーテルは今まで一緒に暮らしてきたんだし、娘を嫁に出すと思って送りだしてほしい。
両親も寂しいかな。せっかく娘に会えたのに、すぐに嫁に出すなんて。
王子が了承するなら、しばらく両親のもとで外の暮らしに慣れてから嫁いでもいいかもしれない。