【F-1-1】髪長姫の総括
四人はそれぞれの言葉を物語世界の相手に向けて発してから。
光の中へとその身を溶け込ませていく。
聞こえてきたはずの森の息吹は少しずつ遠くなって。
今そばにあるのはページをめくる音。
インクの匂い。
そして家の中の暖かさ。
* * *
「やあ、おかえり」
気がつけば冒険者たちはルキスラの一角。
エリックの家の中まで帰ってきていた。
テーブルの上には本が一冊開かれた状態で置かれている。
軽く眺めてみれば塔に虹がかかった様子が挿絵に描かれていることに気がつくだろう。
「どうだったかい?
君たちの思い描く物語は出来たかな」
そう話すエリックは冒険者たちの紡いできた物語を読んで知っているようだ。
彼の顔がそう語っている。
「......難しい話だよね。
僕たちはどれだけ自由に見えてもそれぞれの塔の中で閉じ込められている。
たとえどんなに力を持っていてもそれは変わらない」
エリックは本を手にして言った。
「でも、僕たちは塔という空間をどこまでも広げることはできる。
それは塔という狭い檻を超えて森の中まで。
そこで留まらずに森の外にある世界まで。
君たちはそういったことを示してみせたんだ、物語の中でね」
かつては塔に閉じ込められて外の世界を知らなかったラプンツェル。
しかし彼女は冒険者と出会い森という近くて遠い場所を知り。
王子と出会い更に遠くの世界へと導かれていった。
エリックが言いたいのはそういうことであろう。
「自分の力、知識、心。
そして大切な仲間たちとの絆。
そんな者たちを総動員して、新しい世界へ新たな自由を求めて冒険に出る。
冒険者っていうものって本当に素敵な存在だね。
だから......僕も君たちに期待しているんだ。
僕の想像力を超えた物語を生み出してくれることを」
エリックはそう言ってから、近くの棚からあらかじめ用意していたものを引っ張り出す。
「今回の報酬さ、まああまり多くはないけど受け取って欲しい。
そしてまたいつか......君たちの物語を作り上げて欲しい。
僕は待っているよ。
そしてきっと――この本もね」
エリックは今回の冒険者たちを送り出してくれるだろう。
きっとこれから先も冒険者たちはそれぞれの世界を旅しながら広げていくはずだ。
* * *
童話本の作り出す世界は一つに留まらない。
既に世界はまた動き出している。
血の匂い。
鉄の匂い。
焼けた丘の聖女。
妹思いの兄弟。
青い髭の伯爵とその妻。
――物語は無限だ。
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あんみつ@GMより
こちらはエンディング専用カテゴリとなります。
舞台は最初の最初と同じくエリックのおうちです。
この記事に何らかのアクションを起こす記事を投稿して頂ければ解放といたします。
投稿がない場合も1週間後に強制的に解放処理を行います。
報酬については別途冒険の募集欄にまとめておきますのでご参照ください。
また剣のかけら残り二つにつきましては、3日後まで誰も降られなかった場合、
代表者がお振りいただくよう宜しくお願い致します。
それでは最後の投稿お待ちしております。
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