【A-1-2】二つの太陽と二つの月

 GM(あんみつ) [2016/03/07 21:36:52] 
 

ルキスラからアルドレアへ抜けて更に西へ。
森の近くの平原部にそのキャンプ場はあった。
幾つかの数のテントがあり規模はそこそこだ。

鎧を身に纏い、武具や道具を携帯する冒険者らしき者たちの姿もそれなりに。
皆どちらというと洒落た装飾を施しており、少し無駄に優美だ。
彼らは芸術の都コンチェルティアの冒険者たち――今回の協力者だろう。

テントの群れの中央に、他の物と比べれば大きく設備の整ったものがある。
そこには今回の依頼人カイルと彼の関係者――そして六人の冒険者たちの姿があった。

   *   *   *

「今回は協力してくれて心から感謝する」

青い髪をしたまだ若い青年――ヴォルディーク家の当主カイルが六人に語りかける。
体には鎧を身に付け、首から下げられているのは騎士神ザイアの聖印だ。

「目的地についてはもう聞いているか?
 カマル地下聖殿――魔法文明時代に月神へと捧げられた神殿だそうだ。
 まあ、今じゃ邪教の奴らの溜まり場になってるらしいけどな」

このキャンプ地から少し歩いた先に、地下へと至る入口が発見されたのだ。
その入口から潜った先にあったものこそ――地下に建造された神殿だった。

「あの場所は今、無限の探求者と呼ばれる奴らの根城になっている。
 斥候が事前に調べたところ、かなりの数の教団員たちがいたそうだ。
 指揮者と呼ばれる幹部級の連中も建物の中にいるんじゃないかという話もある」

無限の探求者――それはルキスラやフェンディル近辺を中心に活動しているという、
不死神メティシエを信奉し、犯罪行為に手を染める者たちの集団だ。
聞いた話によれば、カイルの姉の誘拐についてもこの組織の仕業であるらしい。

「おそらく神殿の周囲は教団員たちによってバリケードを作られるだろう。
 だが、あんたたちがそれの相手をする必要はない。
 コンチェルティアの冒険者たちが挑み、そして道を作ることになっている。
 あんたたちに頼むことは神殿に侵入し――姉さんを救出することだ。
 その際は俺たちも同行させてもらう」

今回、六人の冒険者たちが受けた依頼の内容は、人質の奪還。
セシリアという名のカイルの姉にして現状唯一の家族の救出だ。
報酬は一人あたり五千ガメル。
万が一のための危険手当も用意されているのだ。

そして、そんな冒険者たちに同行するのがカイルを含めた四人の人物だった。

「おほん......僕はミハイル・ロットといいます。
 真語と躁霊――二つの系統の魔法を専門としています。
 宜しくお願いしますね」

最初に名乗ったのはこの中で唯一のタビット。
天使の翼のように白い毛並みをしたミハイルだった。
彼の荷物には杖が有り、魔法を主としているのだろう。

「僕はエミール......よろしく頼むよ。
 まあ気楽に行こうよ、ガチガチだとできることもできないしね」

ミハイルに続くのはエミールと名乗った銀髪の男性。
エミール・シルヴィアン――楽士にして剣士だ。
黒を基調とシックな衣装の腰の部分の鞘には細い剣が入れられている。

そして最後の人物は三人から少し離れた場所に座っていた彼。

「オレット・フォルバードです。
 僕は他の人たちに比べると、それほどこういう経験はないけど。
 彼女を救うために頑張るから......力を貸して欲しいな」

赤い帽子と赤い服を身につけたオレットの商売道具はリュートだ。
けれど、彼が持っているのはそれだけじゃない。
彼の腰の周りに添えられたケースに入っているのは、妖精の宝石だ。
軽く自己紹介を終えた後、オレットはタタラの方に向けて小さく微笑んだ。

一通りの自己紹介を終えた後、カイルが再び話し始める。

「あんたたちを入れれば、合計十人程になるが......全員でまとまって挑むわけじゃない。
 聖殿の入口は二つあるんだそうだ――それぞれ太陽と月の文様が刻まれた扉が。
 だから今回は二手に分かれて挑むこととする。
 姉さんがどこにいるかわからないし、時間が惜しいからな」

カイルが話すには太陽の扉へ向かうのが、彼とオレット。
月の扉へ向かうのが、ミハイルとエミールだ。

そして冒険者たちの割り振りも定まっている。
太陽の輝きの下へ向かうのは、タタラとフィーリア、そしてナマの三人。
麗月の煌めきの下へ向かうのは、レオンハルトとザラック、最後にヴォリアの三名だ。

「神殿の中では何が待っているのかはわからない。
 強力な相手に襲われることもあるかもしれないだろう。
 だが覚えておいてくれ、今回の最大の目的は奪還だ。
 それ以上を望むのは構わないが、一番大切なことは忘れないで欲しい」

そこまで話してカイルは一度黙った。
何か聞くことがあれば、このタイミングで聞くといいだろう。

――何もないならば、神殿へと挑むだけだ。


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あんみつ@GMより

それではセッションを開始させていただきます。
とあるキャンプ地のシーンからスタートです。

【カイル・ヴォルディーク】,【ミハイル・ロット】,
【エミール・シルヴィアン】,【オレット・フォルバード】【NPC:男性】に、
【セシリア・ヴォルディーク】【NPC:女性】に登録しておきます。

幾つかの用語に対して見識判定が可能です。
本筋にはあまり関係がないので、判定は任意です。
判定を行うことが可能なのは以下のものがあります。

【コンチェルティア】:目標値8。【分類:地名】参照のこと。
【ヴォルディーク家】:目標値13。【分類:組織】参照のこと。
【無限の探求者】:目標値13。【分類:組織】参照のこと。
【カマル地下聖殿】:目標値15。【分類:地名】参照のこと。
【指揮者(コンダクター)】:目標値16。【分類:組織】参照のこと。

各PCに共通して【MQ:セシリアを奪還する】を課します。
これに付随してSQ決定用の1D6のダイスをお振りください。
こちらについては全PCが行って頂けるようお願いいたします。

キャラクターシート作成及び修正が可能な期間は一週間後の3/14までと致します。
同行するメンツなどを確認しつつ、どうぞ(*´∀`*)

次回はシーンを二班に分けて突入するところまで進めますので、
その前に確認しておきたいことがございましたらどうぞ。

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