背後の守りは私の役目
「あ!そうだ!冒険者の皆さん!
これをお守り替わりに!」
フィーリア氏が消魔の守護石を手羽先亭で依頼を受けた冒険者達に配っていた。前線に出る身としてはありがたい。返せるものがない上に行動で示そうにもルートが違うのが心苦しいところだが。
「ありがとうございます。大切に使わせていただきます。」
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私達は西側へと向かう。太陽が沈む方向に月の扉とは、中々洒落が利いたデザインだ。
「流石みなさんは大きいですよね、それに強そうです。
僕は小さいし体も強くないので......羨ましいですね」
ミハイル氏がこちらを見てポツリとつぶやくのが聞こえた。確かに、図体だけを見ればタビットは小さくて頼りなく見えるだろう。
「だけど君には魔法がある......違うかい?」
「確かに、魔法の適性が低いシャドウの身からすればタビットやエルフを羨ましく感じる事なんてしょっちゅうだな」
「私達は敵ではなくチームです。苦手なことは得意なメンバーにお願いすればいいのですよ。ですから、頭脳労働はお願いします。その代わり、肉体労働はお任せください。」
実際、そこまで器用でもなければ足も速くなく、頭も悪い私に出来ない多くのことをミハイル氏は出来る。私だけでは正面から突っ込むことしか出来ない状況でも、ミハイル氏なら別のやり方が思いつくはずだ。
奪還を目指して訪れた彼らを待ち構えていたのは。
数多の不死者たちとそれらを統率する教団員たちの姿。
まだこちらの接近には気がついていないのが唯一の救いだろうか。
たとえば、このような状況。まさに、今正面に見えている状況が、私では突っ込む以外に出来ない状況だ。だが、今は頼もしい仲間達がいる。4人と芸術の街コンチェルティアの冒険者達。
「ふう......出番かな」
コンチェルティアの冒険者達を束ねる優雅な装いの男性、リオン氏が前に出る。目の前の集団を前に、気負いなど微塵も感じさせない。
まもなくして、目の前の広間は戦場となった。不死者と狂信者、そして美麗な冒険者達が入り乱れる。そして、私達の目の前には扉まで一直線に道が出来ている。
「さあ、僕らは先へ進むとしよう。
ここは君たちのステージじゃないだろう?」「足にはあまり自信はないけれど......成功させるためには頑張らないといけませんね!」
「殿は私が務めます。皆急いで!」
エミール氏を戦闘に、私達は月の扉へ向かって走り出した。何かの拍子に流れ弾が飛んでくるかもしれない。その時に背後を守るのは私の役目だ。
まだ任務は始まったばかり。こんな所で立ち止まるわけには行かない。
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一応殿ということで、一番遅くなるであろうミハイル氏と一緒についていく形で扉に走ります。もし流れ弾やら不意の攻撃が有り、尚且つかばってもいいならばできる限り周囲のPCやNPCをかばいます。
それと、皆さん、『引用ブロック』って言うのがあるよ。わざわざ背景を色香エするのもいいけど、こっちも使ってね!