月へと続く道

 ヴォリア(0Δ) [2016/03/13 23:45:49] 
 

「まあ、その通りだ。
 俺はなんとしてでも姉さんを助けたいとは思っている。
 ただ......そのために死んでくれなんていうことはできない。
 あんたたちには生き抜いてやり遂げて欲しいと思っている......偽りなくな。
 勿論――それはお前たちにも言えることだ」

カイルが俺の質問にそう答えた。
一番心配だったのはカイル自身が命を投じる事だったのだが、どうやら少しズレて伝わっているらしい。
もう一度言おうと思ったが、それは別の声によって遮られた。

「勿論ですよ、カイルさん。みんなで会いに行きましょう」
「私は――カイル様の心をもう裏切ることはないと決めていますから」
「僕たちならきっと乗り越えられる。そう強く信じていますから」

...いや、こうやって支えている人が居れば、万一命を投げようとしたときにも止めるように説得してくれるだろう。
それに、どうやら既にこの4人でいくつかの死地を乗り越えているようだ。
こういう質問は野暮だったかもしれない。
「わかった。」
それ以上の言葉は不要だろう。

= = = = = = =

「あ!そうだ!冒険者の皆さん!これをお守り替わりに!」
フィーリアがそう言って何かを渡してきた。

「"消魔の守護石"か。ありがとう、流石は気の利くメイドだな。」
此方にも、支えてくれている人は沢山いるな。

「では皆さん、頑張りましょう!!」

「ああ、そちらも気を付けて。 」
そう言って、月の門への道へ進んだ。

= = = = = = =

「流石みなさんは大きいですよね、それに強そうです。 僕は小さいし体も強くないので......羨ましいですね」

道の途中、タビットのミハイルが話しかけてきた。確かにタビットは小柄で身体能力が低い。ことさら竜の身体を持つリルドラケンと比べれば、その差は歴然だ。
だが俺は、身体の大きさを凌駕する力は存在するという事を知っていた。

「だけど君には魔法がある......違うかい?」
「確かに、魔法の適性が低いシャドウの身からすればタビットやエルフを羨ましく感じる事なんてしょっちゅうだな」
「私達は敵ではなくチームです。苦手なことは得意なメンバーにお願いすればいいのですよ。ですから、頭脳労働はお願いします。その代わり、肉体労働はお任せください。」

今気づいたが、他のメンバーはあまり魔法に精通していなかったな。
「そうだ、俺達が後ろから援護するからこそ、仲間は思い切って前へ進めるんだ。
 それに魔法は凄まじい力がある。それこそ、俺でさえ簡単に吹き飛ばせるぐらいのな。」
そう言って少し笑ってみせた。

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そうこうしているうちに、道がだんだんと開けてきた。
ぼんやりと青い光が道の先に見える。
青色は空の色なので好きなのだが、この青はどこか不気味で好きになれない色だった。

その先に見えたのは、石造りの教会と教団員達だった。
まだこちらには気付いていないようだが、仮に10人で突破しようとしたら結構な消耗になるだろう。

「ふう......出番かな」

そう言って最初に戦闘態勢に入るのは、コンチェルティアの冒険者達を率いるリオンだ。
そのひとつひとつの動きは、その装備も相まって非常に優雅に決まっている。

「僕が言うべきことはただ一つさ。
 美しく戦おう......!
 勝利の女神は醜い者の前には決して微笑まない、そう不死者のような、ね」
「さあ、僕らは先へ進むとしよう。ここは君たちのステージじゃないだろう?」

エミールが踊るように進む。それを追うように他の冒険者達が進んでいく。

「足にはあまり自信はないけれど......成功させるためには頑張らないといけませんね!」
「殿は私が務めます。皆急いで!」

「了解だ、回復は任せてもらおう!」
本来なら温存をするべきではあるが、ここで挫けていても不味い。
もう一度装備を確かめて、俺は死地へと駆け出した。

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想像以上に遅くなってしまった...
すみません。
キャラシートも少し更新しました。矢筒と矢、薬師キットを追加です。
23:44:55 ヴォリア@0Δ 宝物鑑定判定 消魔の守護石 2d6+5 Dice:2D6[5,2]+5=12