【D-2-4】大聖堂の左手で
厳しい戦いで心身ともに消耗した冒険者たち。
>《ちょっと おーしごと。 おねがいね。》
まずヴォリアがそんな彼らの傷を癒すべく光の妖精の力を借りる。
優しい光に包まれた者たちはやんわりと......でも少しずつ確実に癒されていく。
――ヴォリアと妖精の魔法が終われば次の懸念点は精神的な疲労だ。
>「......さて、とりあえず俺はこの場に残って休んでおく。ミハイルさんもその必要があるだろう。
> レオンハルトさん、可能なら手伝ってもらえないだろうか? 薬草は俺が提供しよう。」
ヴォリアはレオンハルトと共に薬草で癒すつもりなようだ。
時間こそ掛かるが、今のまま無理をするよりはマシかもしれない。
>「なら、俺はその間のそこの備品庫になにかないか見てみようか......エミール氏、よければ手伝ってくれないか?」
薬師としての知識を持たないザラックはというと。
その間はエミールを誘い備品庫の様子を伺ってみることにするようだ。
「そうだね、僕も向かうよ。
呪いの道具とかしかないとちょっと嫌だけどね」
エミールはザラックに同行するつもりのようだ。
* * *
備品庫の中は怪しげな道具や書物でいっぱいだった。
罠のようなものはなさそうだが......。
触れると危なそうなものは多少見られるかもしれない。
「ごちゃごちゃしてるね。
何か使えそうなものでもあればいいんだけど。
......これなんてどうだろう?」
エミールがなかなか使えそうなものを一つ見つけたようだ。
ザラックも斥候の腕を存分に活かし、二つほど便利な道具を見つけたことだろう。
>「そうそう、エミール氏。もしよろしければだが......先ほどの二人が言っていた夢幻楽団なる組織について聞きたいんだが」
備品庫を捜索する中でザラックはエミールに問いかけた。
夢幻楽団という組織について。
そして先ほどの二人についてだ。
「夢幻楽団っていうのは諦めきれない愚か者たちの集まりだった。
何かを失って......でもそれを失ったことを認められない者たちが集められたのさ。
指導者は指揮者の一人......ヴィオーラ。
彼女は優秀なヴァイオリニストであると同時に酷い悪魔だったよ、今思えばね......。
夢幻楽団として各地を周り、秘密裏に母体であった教団のために動かされる手駒だった」
そう話す彼は......何を失ったのだろうか。
話が真実であれば、ミハイルも何かを失っているのかもしれない。
「少なくとも先ほどの二人は無限の探求者の指揮者階級の者たちで間違いないはずだ。
指揮者階級っていうのは、教団のトップと六人の強大な力を持つ者たちで構成されている。
まあそれぞれに思惑があるかもしれないし、一枚岩じゃないかもしれないけど。
そういえば......こっちに二人いるとしたら向こうにも誰かがいたかもしれないね。
大丈夫かな、カイル様たちは」
エミールの話を聞く限り、アリスとエッジは無限の探求者の構成員で間違いないらしい。
合わせて七人程いるのだから、別れた向こう側に数人いたとしてもおかしくはない。
離れているのだから――祈ることしかできないが。
* * *
>「ところで、一つ質問があるのですが。つかまっているというカイル氏の姉君、セシリアさんでしたか。本名ですか?先ほどの二人はアリシスと言っていましたが。」
一方魔香草を使いながらレオンハルトはミハイルに問いかける。
問いかけに対する彼の動揺はレオンハルトとヴォリアにも存分に伝わっただろう。
「アリシス......それは僕とオレットの遠い昔の友人の名です。
子供の頃に別れてしまっているから今はどこにいるのかもわかりません。
ただ一つ言えるのは......セシリアさんからアリシスの面影を感じるということだけ。
本当はセシリアさんとは関係の薄いオレットがこんな場所までやってきたのは。
きっとオレットが――アリシスの幻影を追いかけているからだと思います」
ミハイル曰くアリシスとは彼と、同じく依頼人の側にいた詩人オレットの旧友だという。
セシリアはそのアリシスとどこか似た雰囲気があるそうだ。
「セシリアさんとアリシス。
二人が似ているだけなのかそうでないのかは誰も知りません。
僕もオレットも、カイルさんや......セシリアさん本人でさえも。
先ほどのアリスの言葉はただの嫌がらせでしょう、名前くらいは知っているはずなので」
そしてその二人の関係は誰ひとり知らないようだ。
唯一の肉親であるカイルや張本人であるセシリアでさえも。
だから先ほどのアリスの言葉は単なる妄言であるとミハイルは断言した。
* * *
一通りの回復と探索を終え、冒険者たちは再出発する。
居住区を抜けていけば、そこは庭になっていた。
一瞬、洞窟の外に出たのかという錯覚を覚える。
だが遥か頭上を見ればそこは岩でできた天井になっており。
右手の方を見れば岩壁によって空間が遮られている。
だとしてもこの場所は洞窟の中のはずなのに何故か明るい。
月の光に包まれるような明るさだ。
ここはかつての美しさをそのまま残しているようだ。
そして庭へ踏み出してきた方とは反対側に。
大きな円形の建物がある。
豪奢なステンドグラス。
美しく総合な屋根。
壁も上質な石材でできているようだ。
そこは大聖堂――この神殿の最奥だ。
「ここが最後でしょうか」
「セシリア様がいるといいけどね。
いや、さっきの話だときっといるのかな?」
エミールとミハイルが大聖堂の扉の前で語る。
「準備はいいかい?
さあ、扉を開けよう。
セシリア様を救うために」
誰か一人が扉を開ければ、そこから新しい景色へ繋がるはずだ。
それはきっと――この神殿で見る最後の景色。
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あんみつ@GMより
クライマックス直前の場面です。
詳細な回復量については次回進行で確定させましょう。
とりあえず魔香草は計2*2回使用されています。
タイムカウントは6になりますね。
【NPC:女性】に【アリシス・ティアード】を登録しておきます。
もともと載せるつもりのない情報が載るとなんとなく嬉しいですね(*´∀`*)
備品庫からは【魔晶石5点分・魔香水・任意の指輪】の中からどれかが見つかります。
探索判定で13/15/17のそれぞれの目標値に至れば、
上記三種から任意のものが1つ/2つ/3つの中から該当する数だけ見つけられます。
見つけたアイテムはPLの皆様でご自由に決定してください。
個数としてはエミールが一つ、ザラックが二つ発見しています。
その後、庭のような空間に出ます。
最初の扉同様誰かが扉を開けてください。
誰も開かない場合はエミールが開きます。
他にも何かございましたらどうぞ!
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21:54:10 あんみつ@GM 2d6+5
探索判定 Dice:2D6[3,6]+5=14