【E-1-2】信仰者の頂き
>「ああ、唐突な来客に対しても持て成しの心を欠かさないのは良い事だ。そういう気遣いに対して感謝の気持ちを忘れないでいたいね。
> ところが、接客してくれたエッジとアリスっちが何かの準備があるとかで急いで帰っちまったんで、お礼の言葉が言えなかったんだよな。ついては、今どこにいるのかとか教えちゃくれないか?」
自分たちの歓迎をしてくれたという彼女に対し。
ザラックは歓迎ついでに情報を教えてくれないか尋ねてみる。
「他のメンバーは別の場所にいるよ。
そこで次のステージに至るための準備をしているから。
私たちもすぐにそこに行くつもり。
......ほんのちょっとだけ暇つぶしをしてからね」
残念ながらどこで何をやっているかは教えてくれはしなかった。
だが邪教の集団が企むことなどいい話であるわけがないだろう。
* * *
悪意のある笑みで教団の首領が仕掛けたのは。
無慈悲な神の拳の一撃。
カイルが......そして。
>「っ!」
>「させるか!」
ザラックとレオンハルトが駆け寄っていく。
けれどその物理的な距離という現実は残酷なものだ。
必要なのはただ一つ奇跡を起こす力。
それを今手にしていたのは――フィーリアだった。
>「すみません!皆さん!
>早いかもしれませんが......奇跡!起こします!」
彼女が投げたものは――テンペストの羽飾り。
嵐の妖精が残した贈り物。
迫り来る拳から守るかのように――宙に浮かぶ檻を風の守りで包み込む。
――激しい音が鳴り響く。
大聖堂の中に広がっていく強烈な嵐。
風が和らいでいく中目を開いてみれば......。
そこには無事吊られたままの檻。
決して落ちていないしダメージも受けていない。
「へぇ......おもしろいもの持っているじゃない」
感心した様子を見せるのはナイトメアの少女。
だがそれ以上に反応を見せたのは挑発の色素の薄い男だ。
「私が今まで見たことのない初めての反応だ。
なるほどこれが冒険者――運や繋がりで様々な奇跡のような魔法を生み出してみせる。
正直お前たちのことは歯牙にも掛けていなかったが......。
ここまでたどり着いたことも含め非常に興味深い。
......可能ならその頭の中から魂までも調べ尽くしてみたいものだ」
研究者めいた彼は嵐の奇跡に関心を持ったのだろう。
アイテム自体はオレットから受け取ったものとはいえ。
機会を手にし、自在に扱えるのは冒険者ならではだ。
というよりかは――彼は冒険者という存在自体あまり理解がなさそうである。
長髪の男はどことなく浮世離れして見えた――違う時代を生きているかのような。
――さて、ひとまずセシリアの身を守ることができたわけだ。
それだけではなく、ヴォリアと光の妖精の力でセシリアの体力は多少回復している。
彼女の意識は少しはっきりしてきたようだ。
セシリアはぼんやりとカイルの顔を見つめている。
そこに浮かんでいる表情は複雑に様々なものが入り混じっているようだ。
「姉さん......絶対に俺たちが助けてみせる!
だから、そこで見ていてくれ!」
カイルが高らかに声を張り上げる。
その反対側、鳥籠の下の人物たちはというと。
「まあ面白いショーが見れたし。
多少は満足できたかな。
それに殺してから返そうと思ったけど......。
もっと面白いことを思いついちゃったし」
彼女の思いついたこととは......。
「聞いて、グリード。
信仰者の頂きに立つ貴方に命じる。
全て――殺しなさい。
カイルや裏切り者、セシリアたちだけじゃない。
後ろにいる詩人や冒険者たちも残さずにね」
案の定ただの殺戮だ。
面白くないといえば面白くはない。
それでもだからこそ悪の王道だ。
「拝命しました――救世主様。
必ずや、ここに居るすべての者共を我々の悲願の贄に捧げましょう」
使命を言い渡された男は深々と頭を下げる。
「じゃあ、行こうか。
オース、それにギフテッド」
ナイトメアの彼女が開くのは先程アリスが――もしくはファイスが開いたものと同様のもの。
深淵へと繋がっていそうな闇の扉だ。
彼女がまず闇の中に消え。
その後を鎧と兜で全てを覆う男が辿ろうとする。
彼の姿が消える瞬間――カイルの方を見据ていた。
「貴重な体験をさせてくれて礼を言うよ。
また機会があれば君たちに会いたいものだ。
ああ......自己紹介はいらないよ。
君たちの情報はすでに入手しているからね。
捨ててしまおうかとも思っていたが、大切にしておいてよかった。
――では、さらばだ」
そう言い残して最後の男も姿を消し。
残されたのは――不死者と一人の黒髪の男だった。
* * *
「ふん、小娘の分際で私に芥の掃除をさせるとは流石は救世者――いいご身分だな」
三人の姿が消えたあとグリードと呼ばれた男の表情は一変する。
信仰深い丁寧な様子から粗雑で下卑た表情へと変貌を遂げていた。
これこそが――彼の本性なのかもしれない。
「まあ、いいだろう。
こんなくだらない仕事はさっさと切り上げて......。
俺の実力を指揮者の奴らに知らしめてやろうじゃないか。
そうすれば奴らも俺の指揮者入りを認めるだろうよ。
――そしてゆくゆくは教団の頂きに......あんな小娘など相応しくない」
つまらない欲に満ちた言葉だけを紡いだ後。
男は冒険者とカイルたちのいる方へ振り返り問いかける。
「お前たちもそう思うだろう?
ならば、抵抗せず死んでくれ。
そうすればお互い楽に済む」
それに対する返答は――。
「そんな誘いに乗ると思っているのか?
――哀れな奴だな」
「僕的にはつまらない男のためになんか死にたくはないんだよね」
「それにここへ挑むことを決めた時から――僕たちの思いは一つです」
「セシリアさんを助けたい......。
それだけだよ」
全員グリードの誘いに乗る気はないようだ。
それは当然冒険者たちも同じ気持ちだろう。
セシリアだって死にたいなんて思っているはずもない。
「楽に逝かせてやったものを拒むとは実に愚か!
不死者たちの力でメティシエの元まで送ってやろう。
そして......この女も戦いの中で檻ごと落としてやる!」
セシリアを閉じ込める檻は。
先ほどの衝撃でも揺れたように――周囲の影響を受けるらしい。
ここで戦えば、その勢いは確実に悪い影響を与えるだろう。
もし長引けば――墜落してしまうかもしれない。
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あんみつ@GMより
進行ですー!
【NPC:男性】に【グリード・エルダー】を登録しておきます。
テンペストの羽飾りでセシリアを守ることができました。
ヴォリアの魔法で若干気力が回復したようです。
一応名前を覚えておいてくれるらしいのでフィーリアのSQは達成になります。
グリードたちと戦闘になります。
戦闘は《オート戦闘形式(ver2)》を使用します。
魔物知識判定の結果は下記になります。
1:スケルトンガーディアン
2:ブラッドサッカー*3(PCは失敗したのでミハイルが判定し成功)
3:イビルヘイズ
4:マダーシールド
5:"信仰者の頂き"グリード・エルダー(オリジナル)
幾つかの魔物についてはデータを時限公開しますので参照してください。
距離関係については以下のようになっております。
檻・グ 5m マ・イ 5m ス・ブA・ブB・ブC・カイル・ザラ・レオ 10m ヴォ・ナマ・タタラ・フィー・エミ・ミハ・オレ
檻は10-(太陽と月のタイムカウントの平均値/2)R以上戦闘が長引くと墜落します。
今回は7RのPC手番で戦闘が終了しない場合墜落します。
また檻及びセシリアは1レベル相当として扱います。
飛行状態でも移動妨害は受けます。
またホーリーウォーターの使用は主動作です。
戦闘の発生に対し、皆様は必ず以下の4つを行ってください。
・PCの位置が前衛か後衛かの決定
・先制判定用ダイス(目標値15)
・6つの戦闘スタイルから1つの選択
・2D6の戦闘処理用ダイスを5~15個
カスタム行動で以下のようなものをご記述いただいても構いません。
・敵キャラクターを狙う順番
・より詳細なPC初期位置(前衛から後衛の間に限る)
・状況毎の詳細な行動(選択したスタイルより優先します)
・PCの行動順
カイルは《防御》を選択します。
カスタム行動として以下の6つを設定します。
・セシリアを対象に《オース》を使用する。
・攻撃対象はPCの狙った魔物を追撃する形とする。
・HPに15点以上のダメージを負ったキャラクターに《キュア・ウーンズ》を使用する。
・複数のキャラクターがダメージを受けている場合は、《魔法拡大/数》を使用する。
・《かばう》の対象は一番現在HPの基準値が低いPCとする。
・墜落まで残りラウンドが3を切った場合攻撃を優先します。
オレットは《強化》を選択します。
カスタム行動として以下の5つを設定します。
・乱戦から10mの範囲をキープする。
・最初は《モラル》を使用する。
・《ハーモニー》で《モラル》と《アトリビュート:炎》を中心に使用する
・残りHPが5以下の敵キャラクターがいる場合魔法で攻撃する。
・墜落まで残りラウンドが3を切った場合攻撃を優先します。
エミールは《防御》を選択します。
カスタム行動として以下の4つを設定します。
・一番残りHPの多い敵キャラクターに《挑発攻撃Ⅱ》を使用する。
・残りHPが8以下の敵キャラクターがいれば止めを刺す。
・HPが減少しているときは《挑発攻撃Ⅱ》を使用しない。
・墜落まで残りラウンドが3を切った場合攻撃を優先します。
ミハイルは《強化》を選択します。
カスタム行動として以下の5つを設定します。
・最初のラウンドは武器で攻撃するPC全員に《ファイア・ウェポン》を行使します。
・攻撃や命中を上昇させる魔法を優先的に使用します。
・残りHPが15以下の味方キャラクターに対して《アース・ヒール》を使用します。
・HPが10以下の敵キャラクターに対して《エネルギー・ボルト》を使用します。
・墜落まで残りラウンドが3を切った場合攻撃を優先します。
他にも何かございましたらどうぞ!