【E-1-4】闇は晴れるもの
一通りの戦闘を終えた後、とりあえず聖堂内の危機は去った。
>「セリシアさん、体調はどうかな?不自然なところはない?」
タタラは檻の外からセシリアに問いかける。
彼女の顔色は蒼白だが、確かに生きていることを感じ取れるだろう。
「あなたたちは......冒険者の方かしら?
カイルと一緒に......私を救いにいらしてくれたのですね。
ありがとうございます。
私は......なんとか無事でいますわ」
はっきりとした発声ではないものの。
彼女は確かに自らの無事を告げた。
それは――カイルと冒険者たちの目的が問題なく達成された証である。
>「...よし。ともかく一度檻ごと降ろすぞ。
> ミハイルさん...まぁ別の人でも良いが、俺が籠を持ったら鳥籠を繋いでる鎖を撃ち壊してくれないか?
> 俺は降ろすのに専念したい。」
――依頼を完遂するためにはまずは彼女を助け出すことが必要だ。
ヴォリアは空を飛んで抱え込みながら檻を降ろすつもりらしい。
リルドラケンの体躯と翼があるからこその力業だ。
>「ならば、私が鎖を破壊しましょう。」
ヴォリアの手伝いをするのは同じリルドラケンのレオンハルトだ。
彼は少し疲労が溜まってはいるものの、翼で飛び上がり......鎖を打ち壊した。
後はヴォリアがゆっくりと檻を床に置けば一安心だ。
そこからは扉を壊してセシリアを助け出すだけ。
大した苦労はないことだろう。
>「大丈夫でしたか?遅くなってしまい申し訳ありません...
>こちら、良ければ......」
彼女の身体が地面に触れるようになったあと。
フィーリアはすたすたと近づき、セシリアへと差し出した。
まさにメイドの鏡である。
「ふふ、ありがたくいただかせてもらいますわ」
フィーリアから受け取った保存食をほんの少しだけかじる。
それで彼女には十分なのだ。
僅かでもエネルギーが循環していく。
>「......どうやら、こっちで俺が手伝えることは無さそうだ。何もしないよりは向こうを手伝って来る」
その一方でザラックはエミールたちを手伝うことにしたようだ。
優秀な斥候としての目利きの術を存分に活かし。
ザラックは後片付けをしながら、不死者たちから戦利品を剥ぎ取っていた。
* * *
セシリアの救出後争点となったのはグリードの処遇についてだ。
ヴォリアは彼を救うという優しい提案をしたが。
それにザラックやレオンハルト、ナマが反論する。
残りの者たちはというと......。
「こいつは......こいつらは確かに姉さんを酷い目に遭わせた奴らだ。
憎んでいるし、殺したくないといえば嘘になる。
でも、俺は前に誓ったんだ......剣は振るうのは誰かを守るためだけに、と。
だから俺自身としては殺さない。
正しく裁かれるべきだと考えている。
――だが、お前たちの意志は尊重する。
姉さんを救えたのはあんたたちのおかげだからな」
カイルは正しく裁くべきだと評し。
「僕だったら間違いなくここで殺すね。
たとえ縛っていても信用はできない。
こいつらはそういう奴らさ。
......もし嫌なら僕とこの男だけ置いて行ってくれて構わないよ。
すぐ片付けて行くから」
エミールはここで始末していくべきだと告げる。
オレットとエミールはというと。
「僕はあまりこういった場面の経験がないから。
どうすればいいのかあまりわからないんだ。
僕の希望としては......早くこんな場所からは出ちゃいたい。
――セシリアさんも早く開放してあげないと」
「そうですね。
オレットの言う通りです。
こんな物騒な場所にとどまっていれば何があるかわからない。
エミール、カイルさん、お二人もそう思いますよね?」
どちらでもいいから、早く脱出したいというのが正直な気持ちだろう。
勿論セシリアに外を見せてやりたいという気持ちが大きいか。
「そうだな......俺は姉さんを連れて先に行く。
ミハイルたちもついてきてくれ。
――エミール。
ここはお前に任せた......お前の一番正しいと思う行動をしてくれ」
そう言ってカイルはセシリアを連れて聖堂から出ていく。
オレットとミハイルも一緒だ。
残っているのはエミールと冒険者たち。
冒険者たちはカイルについて先に出ていくこともできるだろう。
「じゃあ、どうしようかな?」
またエミールの口から溢れた台詞は自分への問いかけか。
それともここに留まった冒険者への質問だろうか。
* * *
遥か向こう側の地平線から朝日が昇ってくるのが見える。
冒険者たちは聖殿から抜け出してキャンプまで戻ってきていた。
エミールも既に帰ってきている。
彼がどうしたかは――留まった者のみが知ることだろう。
キャンプにはコンチェルティアの冒険者たちの姿もある。
ざっと見ただけで幾人か大怪我をした姿もあるが......。
全体的にその表情は達成感で満ちている。
中にはグラディウスとリオンの姿もあった。
彼らはあの戦いをどうやら勝ち抜いたようだ。
――そして、例の大きなテントの中。
カイルに冒険者たちは集められた。
「今回はあんたたちに本当に助けられた。
姉さんが奪われてから、何度も何としても助けたいと願っていた。
その願いが叶ったのはあんたたちの協力があってこそだ。
本当に......感謝している」
セシリアは救護用のテントで休んでいるらしい。
丁寧な世話を受ければきっと彼女も元気になるはずだ。
「また俺たちが内部に入っている間。
他の冒険者たちが教団の構成員たちを倒したことで......。
無限の探求者の勢力は一気に弱まったはずだ。
これは、あんたたちが指揮者共の相手をしてくれたお陰でもある。
個人的な話だけではなく、コンチェルティアに生きるひとりの人間としても礼を言わせてくれ」
カイルの言葉を聞く限り、不死者や教団員は比較的低級のものが多かったため、
コンチェルティアの冒険者たちは気絶したり負傷したりしたものの......。
死者は一人も出ていなかったらしい。
もし指揮者が表の戦場に出て行っていればこうはならなかったかもしれない。
「勿論、あんたたちには感謝の言葉だけじゃなくて報酬も用意してある。
......だが、今ここにはないんだ。
コンチェルティアの街の俺たちの屋敷に用意してある。
ちょっとしたおまじないだったんだ......必ず帰ってくるという意味を込めてな。
だから、あんたたちには悪いが一度街の方まで一緒に来てくれ。
戻ったらちゃんと礼をするからな」
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あんみつ@GMより
全員ルート進行です。
無事セシリアを救出できたため、皆さんのMQは達成となります。
戦利品はザラックの出目を採用します。
グリードについてはエミールと共に残った場合好きにできます。
止めを刺すならば、そのように描写していただいて構いません。
勿論任せてカイルに付いて行ってもいいです。
誰も何もしなければエミールが殺します。
次回進行はエンディングとなります。
エンディングは報酬受領シーン+αで構成されます。
+αのシーンについては希望があれば、適宜描写します。
具体的にこちらから提示できるものは概ね以下のものになります。
・カイルとの会話シーン
・オレットとの会話シーン
・ミハイルとの会話シーン
・エミールとの会話シーン
・セシリアとの会話シーン
・コンチェルティアの冒険者たちとの祝勝会シーン
・コンチェルティア観光シーン
・カマル地下聖殿シーン(タタラ希望)
・その他諸々
報酬受領シーンへの返しの投稿さえあれば問題ございませんので、
こういうRPだけ最後にやりたいという希望がもしあれば、という感じでどうぞ。
シーンの内容についても可能な限り希望を尊重します。
また、剣のかけら8個分の名誉点を獲得できますので、
計8回の名誉点決定ダイスをお振りください。
それではあと残りわずかよろしくお願いいたします。