火はまた昇る
買い物をするために大通りへ来た。沢山の人で活力溢れる雰囲気は、ルキスラに似ている
だけど売り物はけっこう違う。実用性のある道具とか食べ物だけじゃなくて、似顔絵とか歌なんかも商いになっている
「うーん、どれにしようかな。せっかくだから、ここにしかないものを楽しみたいなあ」
ああでも、お父さんとお母さんにプレゼントも買っていきたいな。練り歩いて品定めしよう
「可愛い童話のヒロイン達のアクセサリーだよ。 よかったら見て行ってくれないか?」
「へぇ。こんなのもあるんだ...
一番仲良しなのは誰と誰?名前はなんて言うんだろう」
これなら二人は喜ぶかな。ペアを買ってこう
「妖精にも大人気!
宝石みたいな甘いキャンディー売ってまーす!」
「あ!それ1つ......
いいや、8つちょうだいッ!」
瓶の中に色とりどりの飴玉が輝いている。何人かの妖精が、光をなびかせながら飛んでる姿が描かれていて、容器だけでも華やかだ
「妖精が好きなら、あの人達も気に入ってくれるよね......
こんなにいらないか」
ひとつめの蓋を開けて、つまみながら散策することにした。良いかんじの台と明日使う道具、それからポーションも探さないとな
「── んまいッ♪」
* * *
3番街は冒険者に関係した店が多い。武装した人の割合も多くなってる
見つけたヒーリングポーションを4つと魔香草を1つ買って、七色の調べ亭につくと、中から楽しげな声が聞こえてた
「やあああ!出遅れたあッ!」
急いで扉を潜り抜けて、すぐにカウンターへ突っ込む
「エール!エールを一杯ッ!」
酒と料理の匂いに笑い声。このどんちゃん騒ぎの中にいると、どこか落ち着く
おめでたいだけじゃなくて、帰ってこれた、そんな気分になる。背景に流れる陽気な演奏も、わたしたちの勝利を実感させてくれた
「......フィーリアさん、どこかな」
エール片手に歩く。広いうえに人も多いから、簡単には見つからないかもしれない
お祝いもしたいよなあ.........そうだ!探しながら楽しもう
「あ、かんぱいしよ。かんぱーい!
あとあめ食べる?
買いすぎちゃたから、よければ食べて。美味しいよ!」
すれ違った人、目についた人が持ってるジョッキに、ガンガンぶつけて回った。飴も一緒にに配って、瓶2つだけ残しておいた
「なあ、聞いたぞ?
お前たち探求者の幹部連中の相手をしたんだってな。
戦ってる姿を見れないのが残念だったぜ。」
「うんうん!強い相手だったけど、それ以上にみんなが強くてさ
10人が得意分野で連携して、幹部が操るアンデッドをバシバシ倒したんだ。炎が広がるより速い進撃だったなあ......ん"」
この人、ナイトメアだったのか!帽子は今まで、被ってなかったよね?
店の中なら寛容でも、街にでたら白い目でみられるんじゃ......ひょっとして、認められてるのかな
そういえば突撃隊のリーダもしてた。仕事を沢山こなして、この街の人から信頼されてるから堂々としてるとか
それってつまり、わたしが目指してる姿じゃないか!
「なあ、もしもう少しこの街にいるんなら一緒に依頼で儲けに行かねえか。
ちょうど手頃な獣の討伐依頼が来てるみたいなんだよな」
「いいの!?
行く!行かせて!!
わたしでよければッ!」
あの組織の司令官も、同じ種族だった。わたしたちが嫌われる理由のひとつが、そのまま形になったようなものだ
あのときは気が高揚してたけど、冷静に思い返せば悲しいし、ますます腹が立つ
その一方で、こうして努力してる人も見れた。やる気がメキメキ沸いてくる
わたしも負けちゃいられない。あんなイメージを吹っ飛ばせるように、こっちが頑張らなくちゃ
「......あー、明日は用事があるから、手が空くのは明後日のお昼過ぎになりそうなんだけど
それでもいい、かな?...」
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――――十分からさらに数十分後―――――
酔いつぶれた人や、突っ伏して寝てる人が多い。辺りもだいぶ静かになってきてた
わたしは、エールをチビチビ飲んでいて、今ようやくジョッキの3分の1を越えたところだ。ドワーフじゃないと一気にやるのは危ないって、お母さんが言ってた
「嫌いじゃないんだけど、やっぱりたくさん呑めないなあ......もう頭がクラクラする」
食べ物でも注文しようとカウンターに向かうと、ナマさんが床に倒れてた!
「うわッ!大丈夫?
ここじゃ踏まれちゃうよ」
肩を叩いても返事がない。気持ち悪そうに寝ていた
部屋に運んであげないと
おんぶしてみるけど、わたし自身足が回らなくてバランスが保てない。そのまま前に倒れて、顎を強打した
「ぎぇ"ッ"!痛い!」
一人で運ぶのは危ないな、助けを呼ぼう
「誰かーー!!手伝って!」
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* * *
日と共に起きして、昨日目星をつけた物を順番に買いに行く。なるべく安くて、丈夫で大きい手押し車・いくつかの布巾と水を汲んだバケツ・薪・スコップ・人を覆えるほど大きな布・足が短い机
机は妖精が彫刻されているものを選んだけど、薪以外の道具にも全部絵柄や彫りがある。捨てるのは勿体ないなあ
まずは机だけを引いて、コンチェルティア近くの森に向かった
オレットさんによるとここはちょっとした名所で、画家とかがよく来るから小道ができている。蛮族が滅多に出てこない、不思議なほど綺麗な場所だ
奥へは入らずに、道の脇で平らな場所を探した。そこに木製の、小さくて豪華な机を設置する
「これ、リナリアさんとテンペストさんに、お礼とプレゼント」
その上へ飴の瓶をふたつ乗せる
「けっこう旨いよ。気に入ってくれるといいな......
そういえば地元だから、あんまり嬉しくないかな?ロシレッタにも行くから、なんかお土産買ってくるよ」
荷物を回収するために、一旦調べ亭に戻る。次に向かうのはカマル地下聖殿だ
* * *
着いたらまず、最も奥に向かった
「...死体はそのままか」
見捨てられたのか、元々心配してないのか。理由はわからないけどやることは変わらない
マフラーをぐいっと持ち上げて、鼻と口を隠した
荷物を下ろして、大きな布で遺体と残骸をくるんだ。そこに薪とスコップを積み直して、地上に戻る
石碑が立ち並ぶ墓地。その少し外れに土を被せた跡がある。コンチェルティアの神官達が筆頭に、メティシエの信者とアンデッドは全てここに埋葬してくれたらしい
その隣へ運んで来た遺体と残骸を置き、薪を組む。神聖魔法で剣を熱し、そこへ火をつける
時間と共に炎が大きくなっていく。中から湧き出る煙が、空へ続いている
松明全てに火を移して、盛り上がった土の周囲に一本ずつ立てた
「ふぅ...
向こうへ行っても嫌われたり、恨まれたりしないないように罪を焼いておくね。実物があるわけじゃないけど、願いとして」
燃える木材を座って見守りながら、旅立つ人に話しかける
「やり方は全く誉められたもんじゃないけどさ......
自分の運命を知って、それでも何とかできるって諦めずに、立ち向かう姿勢は尊敬するよ」
「この戦いの中で、わたしは確かに強くなれた
永遠とは言わないけど......あなたたちの生きた証しは、わたしの経験として活かしてくから」
祈りながら、あのときに聞いた鎮魂歌を鼻唄で再現する。あんなに素敵にはできないけど、やっぱり気持ちが大事だよね
真っ白になって、灰だけが残る。そこへ土を被せて、もう一度祈った
「それじゃあ、またね」
それから神殿に戻って、バケツと布巾に持ち代える。最所の、天界の部屋へやって来た
神像をひとつひとつ、手にとって水拭きしていく。ひいきするつもりはなかったのに、金槌を持った神像は格段丁寧に拭いた
それから最奥へ戻って、血や汚れをできる限り擦り取った。本当は神殿の隅から隅までピカピカにしてあげたいんだけど、流石に一人じゃ手が回らないのと、体力の限界でできそうにないからせめてここだけ
聖堂に置いてあるメティシエの像も、わたしだけじゃ動かせなかった。だから頬を思い切りぶん殴って、手首の痛みに耐えながら水拭きした
気持ち悪い装飾も、取り払って車に積み込んだ。シーン像の頭もそのままじゃかわいそうだから、コンチェルティアに持ち帰って、小さな神像へ彫り直して貰おう
月の方は入口が真っ暗なのと、出口が危ない振り子だったから、捜索は断念した
「あ"~~~...疲れだあぁー......」
一通り作業を終えたら最奥へ戻って崩れ落ちた。そのまま保存食をかじって、この日は寝た
* * *
太陽が顔を出す前に、神殿を出発して帰り道を歩く。後ろには使い終わった道具と捨てる場所に困るガラクタ、これから生まれ変わるシーン像がある
カバンから宝石を取り出して、月にかざして見ていた。今できることは全部終えて、この空みたいに晴れやかな気分だ
逃がした教団が心残りだけど、少し前の因縁には決着がついた
お父さんとお母さん、それからこれから会う夢を諦めそうな人に、良い土産話しができそうだな
旅する冒険者達と詩人の、歌と情熱の物語
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Pl玉鋼より
特に描写がない部分は、自由なイメージで書き足しています。また、火葬の着火に《ヒート・ウェポン》を行使しています
なにかあればご指摘ください
お疲れ様でした!積もる思いは多々ありますが手短に
戦闘システムが工夫されていて、スリル面RP面共に楽しめました。オレットやミハイルとのやりとり、カイルのやりきれない思いなどが生まれたのも、このお陰でしょう
GMには負担をかけてしまいましたが、得られるものもあったと思います。魔晶石とかばうのありがたさも実感しました
エンディングも細かくで嬉しいですね。一通りやりたいことができて満足しています
ザラック 正論をビシッと!タタラを成長させてくれてありがとう
レオンハルト 頼もしくてお茶目 気づかいもできるカッコイイ大人
ヴォリア 妖精魔法が強かった タタラは応援しています
ナマ 魔力撃3連打はやはり強い もっと話しかけたかった!
フィーリア グレネードも回復もできる素晴らしきメイド きちんとお礼言いたかった!
01:11:42 玉鋼@タタラ ヒート・ウェポン行使判定 2d6+9 Dice:2D6[6,3]+9=18
玉鋼のタイトルの作り方----
内容の要点を二語で表す
↓
ネットの類語事典で探してピンときた言葉、
比喩表現、同音多義語(掛けことば)
などに置き換える
↓
合体!!
よければ参考にどうぞ!