【A-1-1】まずはじめにすべきこと
「やあ、暁の繭のみなさん。
依頼を受けてくれてどうもありがとう。
今回君たちに入ってもらいたい物語はこれさ」
沢山の本棚の中に囲まれたテーブルの上。
エリック五人の姿をざっと眺めてから一冊の本を広げた。
虹色の表紙が美しい魔法の童話本――七色の童話集。
今回始まるのはその中の一篇である。
――青髭という名の物語だ。
* * *
事の始まりは毎度のこと、火竜の手羽先亭に一つの依頼が舞い込んだことであった。
依頼人の名はエリック・ジュべ。
童話作家として多少は名の知られている人物である。
彼は、所持している魔法の本絡みで幾度か手羽先亭への依頼を行ってきていた。
その名や依頼について耳にしたことがある者もいるかもしれない。
今回冒険者の面々が受けた依頼は、物語を紡ぐというものだった。
魔法の本の中には物語としての世界が存在している。
その世界で冒険者たちが動くことで、登場人物たちの運命が変わり。
最終的な物語が完成されることとなるだろう。
結果として生まれる物語を――エリックは見たいと思っているのだ。
今回の物語世界に挑むのはへオース・ヴォンヴィクスの面々だ。
強固な守りのリルドラケン――ロセウス。
小さくも強力な射撃兵――エクセター。
愛と癒しの伝道師――カレン。
鳥を連れた賢き魔道師――フィン。
流麗な魅力に溢れた踊り手――二ェストル。
種族も得意分野もバラバラなため、バランスのとれた彼らが物語の中に挑む。
* * *
舞台をエリックの家に戻そう。
青髭と名が記されたページには、どことなく不安感を引き起こす挿絵があった。
二人の男女が描かれているだけの変哲のない絵であるものの。
どこか裏におどおどろしさを感じさせる。
そのページの隣には登場人物の名前を書く欄があり......。
そこには半端に空白の部分が広がっていた。
ちょうど五人程の名前を書けるような具合に。
「そのページに君たちの名前を描けば......。
光の導きで本の世界へ入っていくことができるはずさ」
エリックの言葉によれば、自らの名前を書き記すことが物語へ至るための合図となるそうだ。
尤も特定の誰かが実際にサインするという行為こそが大事なのであって......。
どの言語の文字だとか、その名前が本名かだとかは一切関与しない。
七色の童話集は......記されたそのものを受け入れるのだ。
「気をつけておいて欲しいのは......一つだけ。
一度名前を記したら、君たちは物語の結末が見えるまで外には出られない。
でも、きっと君たちなら君たちらしい結末を導けると信じているよ」
もしペンがなければ、エリックは彼の仕事道具を貸してくれるだろう。
だが一度名前を記してしまったら、そう簡単には出られない。
何らかの入口から入ったのなら、何らかの出口から出ていかなければならない。
物語世界の出口こそ――お話の終着点なのである。
* * *
それでも......きっとへオース・ヴォンヴィクスの面々はその名を記すだろう。
何よりも彼らは冒険者なのだから。
冒険が待ち構えているなら飛び込んでいかなければいけない性分なのだ。
最後の一人が自分の名前を書き終えたあと......。
待ち構えていたかのように勝手に物語の最初の一ページは捲られて。
――魔法の光が五人を包み込む。
いざ向かう先はとある丘の上の城を中心とする世界。
青髭の伯爵。
嫁いできたばかりの新婦。
彼女の二人の兄。
炎の中に佇む女性。
――そして今は見えざる影。
五人の来訪を待っている世界はどのような色をしているだろうか。
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あんみつ@GMより
それではセッションを開始させていただきます。
依頼を受けるに至るシーンはばっさりカットしました。
もちろんPCの側で好きに書いていただくのは構いません。
現在は本の世界に入る前のシーンです。
【エリック・ジュべ】を『登場人物』に登録しておきます。
【七色の童話集】について見識判定が可能です。
目標値は13。成功すれば『用語目録』に記されたことがわかります。
登場人物に書く名前はどの言語で書いても構いませんし、
好きな名前を書いても構いません。
でも、よっぽど変な事情がない限り登録している名前を書く事を推奨します。
キャラクターシート作成期間は一週間後の4/16までとします。
PT内の資金の融通もご自由にどうぞ(*´∀`*)
ちなみに募集時に振っていただいた1D6は次回の進行で使用します。
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