【C-1-1】秘されし心は
>「わたしの話もですけど、スールさんのお話しも聞きたいです。こんな立派なお城に住んでるんですもの、きっとわたしが知らない様な事ばかりなのでしょうね」
「私の話......?
そんなに面白い話なんてできないわ。
この城にもね、ようやく少しずつ慣れてきたところなの。
これまではずっと丘の下の街で暮らしていたんだから」
スールはこの城に来てさほど時が経っていないらしい。
とりあえずまず彼女から聞けたのはそんなところだ。
* * *
>「はい、お邪魔します」
スールにお呼ばれされてカレンは城の中へと入っていく。
城の門を開けるために使われた鍵は再度仕舞われたようだ。
――ちなみにカレンが気になった鍵の色は錆等ではなく、鍵本来の色合いらしい。
「さあ、入って入って。
城の中は私が覚えたての記憶で案内してあげるわ!」
スールに急かされてカレンが城の中に入ると。
まず目に付くのは極めて高価そうな調度品の数々だ。
美しいフォルムの壺。
豪華絢爛な照明器具。
重厚な鎧を纏った騎士像。
どれもが富と名誉の象徴といえよう。
「やっぱり、中に入るとびっくりするでしょう?
私も最初はそうだったわ。
こんなにキラキラに囲まれた場所なんて初めてだったもの」
スールがカレンの表情を伺いながら語る。
少なくとも昔のスールの家はこの城よりかは質素であったようだ。
「こっちにね、お客様をおもてなしするための部屋があるの。
そこでお茶でも飲みながらお話しましょう?
あの人が帰ってくるまでにはまだ少し時間があるはずだし」
スールは再度城の中を歩みだす。
幾つかの角を曲がりながら、カレンを客間に案内するつもりのようだ。
途中、廊下に絵が飾れている場所があった。
青髭の男の肖像画だ。
絵に描かれた彼の姿は威厳に溢れている。
青髭の絵から少し離れたところに女性の絵が飾られている。
スールのものではないだろう。
まず髪の色が栗色ではなく金だ。
「その人が誰なのかは私もよく知らないの。
前の奥さんなのかしら......?
あの人に聞いても教えてくれなくって......」
そう話すスールの表情は不安げだ。
当然のことだろう――秘密にされるということは気分がいいものではない。
「あの人は基本的に優しいのだけれども――私に秘密にしていることがある気がするの。
それがとても怖くて......怖くて堪らないわ。
私は――あの人のことをすべて知りたい。
だって全てを知らなければ全てを愛せないし、委ねられないでしょう?
ねえ、カレン。
あなたにとって気になる人っている?
たとえいなくても想像だけしてみて......?
カレンにこの気持ちわかってもらえるかしら......」
スールはカレンに問いかける。
自分と同じ想いを抱いていたりはしないのか、と。
ただ一つだけ言えるのは――彼女は共感を求めている。
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あんみつ@GMより
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城の中へと入りました。
ちょうど客間へと向かっているところですね。
鍵はもともとそういう色っぽいです。
判定してもただの鍵のようですね。
他にも何かございましたらどうぞ(*´∀`*)
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