【C-1-5】諦めと暗転

 GM(あんみつ) [2016/05/04 20:57:53] 
 

>「でも、あまり甘いのばかり食べてると太りますよ?
> 適度に運動して身体を引き締めませんと」

カレンのちょっとした言葉に対してスールは少し驚いたような様子を見せる。

「カレンって結構運動とかしたりするタイプだったのね。
 肌も真っ白だし意外だわ。
 ......まあ食べてばっかり太っちゃうのは嫌よね。
 私もこの城に嫁いで来てからは外に出ることはあまりなくなったわ。
 昔は兄さんたちと走り回ったものだけど」

スールは最近運動できてないことを思い悩んでいるようだ。
昔は彼女の印象通り活発な性格で野外を兄たちと駆け回っていたそうだが。

   *   *   *

けれどそんなスールは......いやそんなスールだからこそ彼女は悩んでいた。
夫である青髭ジルが自分に隠しているものがある。
封じられた扉の先に何かがあるような気がする。
それを知りたくて知りたくて仕方ないのだと。

>「未知の物に触れる時、そこにはまず恐怖があると言います。
> スールさんがわたしを信頼してそう仰ってくださることは非常に嬉しいですし、ご期待に応えたいですけど、ここで少し考えてみましょう」

その対応としてカレンはまずスールをゆっくりと諭すことから始めた。

>「・・まず、わたしとスールさん。2人ですね?
> こう申すのもちょっとあれなんですけど・・もし、あの扉の中に何か危険があった場合、わたしもスールさんも互いが互いを守ることもできないと思います。
> 危険がある、と決まっているわけではないですけど、あると想定しておいた方が対処はできますから。
> それに、ご主人が執拗に入らない様に仰ってるのも、危険があるからなのではないか、とわたしは推測します。
> 扉を開けて、中を見て。危険があったらすぐ閉める。
> そううまくいけば良いですけど、そうとも限りません」

最初にスールに告げたのはあの扉の先に何らかの危険があった場合だ。
カレンは神官としては優秀であり、知識も深いが......。
戦士としての技量は積んでいないため、内容によっては極めて危険であろう。
それは勿論スールも同様である。

>「スールさんはご存知でしょうか?
> このフルーツ、ブラッドフルーツと言います。このフルーツには不吉な噂があります。
 
> ・・血の流れた場所でしか育たない。
 
> ご主人が止めて、こんな不吉な噂のあるフルーツが育つこの場所で。
> それでも尚、あなたは危険を省みずに自らの好奇心を満たすために扉を開きますか?」

もう一つカレンがスールに告げるのは......ブラッドフルーツの不吉な噂についてだ。
血の流れた場所にしか育たないと言われるこの果実に育っている。
つまりこの場所でかつて血が流された可能性があるということなのだ。

カレンが語る間スールは決して目を逸らすことはなかった。
だが、全ての言葉が終わると彼女は落ち込んだかのように俯いてしまう。

「そうよね......カレンの言うことも勿論わかるわ。
 あの人は優しいからもし危険なものがあるなら絶対に開けないように言うに決まってる。
 それに寡黙な人だから不必要なことまでは決して言ったりはしないと思う。
 ――でも、そうじゃないのよ。
 心配ならどうして心配なのかちゃんと言って欲しいわ」

はぁ......と大きなため息を一つ。
スールの不満は完全には解消されはしないらしい。

「でもこれは私とあの人との問題だし......カレンには関係ないことよね。
 ごめんなさい、勝手に巻き込んだりしようとして。
 とりあえず扉を開くのは諦めるわ」

ただスールは扉を開けることを諦めることにしたらしい。
少なくともカレンの説得の効果はあったと言えるだろう。

「こんなつまらない話はもうやめにしましょう。
 そう、せっかくのお茶の時間なんだから面白い話をするべきだわ。
 ねえカレンさっき気になる人がいるって言っていたでしょ?
 どんな人なの?
 ......ほらほら、教えちゃいなさいよ」

こんな感じでゆっくりとお茶の時間は過ぎていく。

   *   *   *

カップが空になり、お皿の上も綺麗になった。
きっとそれなりに楽しい時間を過ごしたことであろう。

「楽しかったわ、カレン。
 そろそろあの人が戻ってくる頃かしら?
 ――とりあえず食器を片付けてくるわね」

そう言ってスールが立ち上がった瞬間。
ほんの一瞬だけ部屋の中が真っ暗になる。
窓の外から差し込む日の光すら途絶えてしまったくらいだ。
――まあすぐに明るくなりはするのであるが。

「びっくりしたわ。
 なんだったのかしら?」

スールはキョロキョロと部屋の様子を伺う。
カレンがもし見渡しても特に変化は見られないことだろう。

「うーん、ちょっと陰っただけかしらね」

特に異変がなかったからかスールはそれ以上気に留めることを諦めたらしい。
もう一度食器をお盆に載せ部屋から出ていった。

その仕草自体は手馴れたもので特に特徴的なことはなかった。
だが、スールが部屋から出ようとしたその時。

後ろ姿が一瞬だけ揺らいで見えた。
霧がかかってシルエットが曖昧になったかのように。


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あんみつ@GMより

カレンのルート進行です。
一旦客間の方まで戻りました。

とりあえずスールはカレンの説得に応じたようです。
そのあとはどんな話をするかはお好きにどうぞ。

話をしたあと一瞬だけ部屋の中が暗転します。

最後のは6ゾロのおまけです(・∋・)
判定的には危険感知ですかな。