どっちが早いか・・。
>「そうと決まれば早速戻りましょう?
> 赤い木の実を使って作ったお菓子は上手に出来たと思うの」
「それは楽しみです。わたし、甘い物好きなんですよね」
少しだけ重くなりそうだった空気を振り払う様に、わたしとスールさんは先ほどの客間へと戻ります。
この部屋なら、先ほどポチさんからも見えたはずですし、何かあった時に動きやすいでしょう・・たぶん。
スールさんは、ご主人であるジルさんとは好き合ってのご結婚の様子。こういったお城に住まう様な方でしたらそういったお相手よりも家と家の結びつき・・政治的な意味合いの方が強くなりそうなんですけど、それは偏見というものなのでしょうか?
何より、今わたしの前にあるのはフルーツケーキ。先ほど採ってきたものでしょうか、ブラッドフルーツを使ったものですね。
それにしても、使用人さんはいないみたいなんですけど、もしかしてこれスールさんのお手製なんでしょうか?
>「甘い物って食べると幸せな気分になるわよね。
> ただあの人は甘いものあんまり好きじゃないのがちょっと残念」
「でも、あまり甘いのばかり食べてると太りますよ?
適度に運動して身体を引き締めませんと」
それにしても美味しいです。これがあんな怖い噂のあるフルーツだなんてとても信じられないですね。やはりただの都市伝説なんでしょう。
>「カレンは遠くから来たのよね?
> なら知らないかしら――今から数年前まで続いていたひどく長い戦争があったの。
> 私の夫、ジルもその戦争に出ていたの。
> だからかしら、あの人は時々悲しい目をしていることがあるのよ。
> 何があったのか私が聞いても、何一つ教えてくれはしないんだけど」
「戦争、ですか・・」
つい最近、わたしも戦争の一端には加わっていました。もっとも、それは人族対蛮族。
同じ意味での戦争とは違うかもしれません。
スールさんのご主人、ジルさんはその戦争に出征していて、そこで何か大きな悲しみを負ってしまったんじゃないか、というのがスールさんの推測です。
>「私がジルと結婚した理由については家の意向がないといえば嘘になるわ。
> でも話したりしているうちにわかったの。
> この人はとても優しい人なんだって。
> 優しすぎるから臆病で、そして悲しい思いばかりしている人なんだって。
> そしていつの間にか彼の優しい心に惹かれていった」
「優しいのは素敵ですね。戦争に出る様な方ですから、きっと軍か国に関係していらっしゃるのでしょうけど、軍兵だからって皆が皆、厳しかったり冷酷だったりするわけではないですものね」
脳裏にふと我を失って蛮族・・もう動いてない、死体でしたけど・・に攻撃を加える軍人さんが浮かびました。
彼も、きっと優しいんです。だって、わたしやカプリさんを危険な目に遭わせない様に進言してくれてましたし。
>「でも、彼を見ているととても不安に襲われるの。
> 何か私には見せていない彼がいる。
> そんな気がしてならないの。
> ――あの部屋もそうよ。
> あの部屋の中には一体何があるのか、私は全く知らない。
> 知らないっていう気持ちが私の心を震わせるの」
>「ねえ、だからカレンにお願いがあるの。
> 私と一緒にあそこの扉を開けてくれないかしら?
> 一人だと怖いの。
> 嫌なものを見たときに全て受け止めれられるか不安で。
> ――ねえ、お願い......カレン」
震える手でカップを持ちながら、スールさんはまっすぐにわたしを見てそう仰います。
ですが、フィンさんに聞いた限りだとあの部屋ってアノ部屋ですよね・・。とてもじゃないですけど、わたしとスールさんの2人で行って良いものだとは思えません。
ここはやはり、皆さんと合流してから行きたいものです。
「未知の物に触れる時、そこにはまず恐怖があると言います。
スールさんがわたしを信頼してそう仰ってくださることは非常に嬉しいですし、ご期待に応えたいですけど、ここで少し考えてみましょう」
一旦言葉を切り、脳内での考えをまとめながらお茶を一口。
温度の低下と共に若干の渋味が出始めたお茶は、それでもわたしの意識を覚醒させてくれます。
「・・まず、わたしとスールさん。2人ですね?
こう申すのもちょっとあれなんですけど・・もし、あの扉の中に何か危険があった場合、わたしもスールさんも互いが互いを守ることもできないと思います。
危険がある、と決まっているわけではないですけど、あると想定しておいた方が対処はできますから。
それに、ご主人が執拗に入らない様に仰ってるのも、危険があるからなのではないか、とわたしは推測します。
扉を開けて、中を見て。危険があったらすぐ閉める。
そううまくいけば良いですけど、そうとも限りません」
小さくなってしまったケーキをフォークで刺し、目線の高さまで持ち上げます。お行儀悪いですね・・。
「スールさんはご存知でしょうか?
このフルーツ、ブラッドフルーツと言います。このフルーツには不吉な噂があります。
・・血の流れた場所でしか育たない。
ご主人が止めて、こんな不吉な噂のあるフルーツが育つこの場所で。
それでも尚、あなたは危険を省みずに自らの好奇心を満たすために扉を開きますか?」
言い終えて、ケーキを食べます。うん、美味しい。
もっとも、わたしはこの噂そのものは信じておりませんが。
大体、血の様に赤い、と言いますけど、血液と言うものは赤と言うよりも赤黒いものです。先だっての戦場で見た血はそうでした。
それに種族でも違ってくるみたいですし。
思考が逸れました。
まず、皆さんと合流できるかもしれない可能性に賭けて時間を稼ぎましょう。
ロセウスさんがいればそれだけでもう扉を開く事は安全だと言い切っても良いでしょうし、フィンさんの知識だって凄いです。ネスさんとエクセターちゃんの戦闘能力だって。
うん、やはりここは二人で、というのは諦めてもらいましょう。
時間を稼いでいる間に御主人が帰ってきたら、それはそれで諦めがつくというものです。
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PL こるべっと
あくまでPTメンバーとの合流後にしましょう?というスタンス。
それまでにジルが帰ってきたら・・あれ、もしかしてそれはそれで怖いことになるんじゃないかこれ・・?
そろそろ色々と動きが出そうなので予備ダイスをば。
* こるべっと@カレンさんが入室しました。
12:27:26 こるべっと@カレン 予備1 2d6 Dice:2D6[6,6]=12
12:27:31 こるべっと@カレン 予備2 2d6 Dice:2D6[3,6]=9
12:27:38 こるべっと@カレン 予備3 2d6 Dice:2D6[6,1]=7
12:27:48 こるべっと@カレン うへへ、6ゾロ出たぜw
* こるべっと@カレンさんが退出しました。
戦争、という単語は今のカレンには某軍人さんを思い出すキーワードだよ!(脳内ノロケ万歳