強さ
「エクシー!腕は!?」
慌てた表情のフィンがこちらへと駆けて来る。
それに合わせて、私もトテトテと早足で歩み寄る。
「腕は大丈夫、ちゃんとくっついてる!
でも...う~いたたたた...安心したら痛くなってきたかも...」
フィンに怪我はない、オルドル兄弟も無事なようだ。
一安心ではあるが、戦闘が終わったという実感が、半分ほど遮断されていた痛覚を呼び起こす。
戦闘中は気にする程でもなかった右腕の負傷の痛みに思わず表情が曇る。
痛みには慣れているけど、やっぱり何度も味わいたくはない。
この怪我の処置を考えていると、フィンが怪我を診てくれるというのでそっと身を預けた。
フィンのポーションを用いた治療は私の体に大きな治癒効果をもたらした。
牙の形に穴が空くほど、大きな負傷をしていた右腕の傷がぐんぐんと塞がり始めている。
「お~!すごい!
ちょっとひりひりするけど、もう傷が塞がっちゃった」
その手際の良さに驚きの表情とともに感嘆の声が漏れる。
もともと傷の治りが早い方ではあるが、やはり薬品とそれを適切に使える人はすごいのだと感じる。
「......ありがとう、エクシー。ごめんね。痛かったよね。それに......コート、いたんじゃったね」
「ううん、傷も治してもらったし、コートもまた手入れをしたら綺麗になるよ!
それより、エクセターがきちんと倒せてなかったからフィンに怖い思いをさせちゃったから
むしろ謝るのはエクセターの方だよ...ほんとにごめんね」
失敗したのはエクセターの方なのに、フィンはそれでもどこか申し訳なさ気だ。
そんなフィンを見て、やっぱりすごいなぁと改めて思う。
「フィンはすごいよ。
ちょっと不器用で、かけっこもそんなに早くない。
力だってエクセターの方がずっと力持ち」
「けど、それでもフィンにはかなわないと思う。
フィンはエクセターが持ってないものをたくさん持ってる、
いろんな魔法や、たくさんの知識もそうだけど、もっと違う何か
だからエクセターよりずっとすごいし、尊敬出来るんだと思う」
今まで生きてきた中で、たくさんのものを見た。
弱い人も居て、強い人も居た。けどそれは戦場でのことだった。
だから、強いっていうのは敵を完膚なきまでに叩きのめせる力のことだと思ってた。
けど、フィンを見てると強いってことには色んな種類があるって気がついた。
だから今は叩きのめす強さより、フィンみたいな強さのほうが良いなって思う。
そっちのほうが、きっとみんな笑顔で暮らせる。
そんな気がするから。
「悪かったな......エクセター。
俺がしっかり気を配っていれば、怪我なんてさせなかったのにさ。
――ただ上手く狩れたのはエクセターのおかげだぜ、ありがとな」「そうですね、見事な作戦だったと思いますよ」
そう話していると、フレールやミリューたちもこちらへとやって来てくれた。
「ううん、エクセターも詰めが甘かったから仕方ないよ。
二人共予想以上に強くて頼りがいが有ったから、ちょっと油断しちゃったかな?
うん、反省反省。エクセターは反省してもっと強くなる予定だから、期待してね!」
ニコニコと笑いながら、お互いの健闘を褒め称える。
この作戦が成功したのは、ひとえに全員の頑張りが有ったからと確信している。
いくら作戦を考えても、それを実行できる実力がなければ意味が無い。
時間がどれだけ前に進んだとしても、たとえ逆行したってそれは変わらないだろう。
「ひとまず任務は達成ですね」
ミリューが小鳥を荷物から取り出した。
でも、なんか普通の鳥さんとは違うような気がする。
「わ、鳥さんだ。荷物の中でおやすみしてたのかな?」
首を傾げて見つめていると、ミリューが解説を入れてくれる。
「連絡用の小鳥型ゴーレムです。
詳細な報告は帰ってからやるとしても......。
任務が完了していることくらいは伝えないといけませんからね」
「へー、そうれい...魔法だっけ?しんご魔法?
エクセターはどっちもお勉強してないからよくわかんないけど...」
便利なものもあるんだなーと素直に感心する。
エクセターはどうも魔法の類になると苦手意識が出て、あんまりお勉強したいと思えなくなる。
魔動機術はシンプルで、起動方法とキーワードさえ覚えれば誰でも使えるようになっている。
故に魔動機術に慣れた身からすると、身振り手振りとか複雑な詠唱が面倒極まりない。
...神官とか、妖精使いは論外だから別として。
でも、誰かが教えてくれたら頑張って覚えてみるのも良いかもしれない。
やっぱり魔法はちょっと憧れる、ほんとに空を飛び回ったり出来るのかな。
ロセウスに持ってもらって空を飛んだ事はあるけど、やっぱり自分で飛んでみたい。
「じゃあ、スールのところ......丘の上まで行くとするか。
二人の仲間もいるかもしれないんだろ?
早く会いに行こうぜ」
「おっけーい!とぁ!」
フレールの呼びかけに応じて、ぴょいんとジャンプで飛び乗った。
今度は綺麗なフォームで飛び乗ることが出来たので、満足げに微笑む。
満足ついでに、フィンがお馬さんに乗るまでにSMLEに弾丸を装填しておいた。
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PL・フィンありがとう!
無事(無事?)勝利出来たのでε-(´∀`*)ホッ
エクセターのフィンへの尊敬度を高めつつ、魔法に対する考えをRPを行い
懲りずにジャンプに挑戦してみます。その後再装填も。
・ダイス
馬に飛び乗り軽業判定リベンジ 2d6+8 Dice:2D6[2,6]+8=16 今度はできた!
・ステータス
HP33/33 MP12/16 フィンの治療で全回復しました!
エクセターも色々悩んでますが、周りの影響で少しずついい方向に向かっている気がします(*'ω' *)
尊敬する人の言葉なのですが。
世の中を見渡してみると本当に『強い』人っていうのは悪い事はしない事に気づく。
「悪い事をする敵」というものは「心に弱さ」を持った人であり、 真に怖いのは弱さを攻撃に変えた者なのだ。
という言葉を思い出しながら、RPをしております。
エクセターも心に弱さを抱えているけど、いつかほんとに強くなれるかもね。