【C-3-3】焼かれし聖女
>「待たせて済まなかったね
> 外は...本当に石像の言っていた通り、死者が訪れる場所みたいだね」
外の様子を伺ったあと二ェストルは再度建物の中へと戻ってくる。
その間にロセウスは石像を動かしおり、先へ進めるようになっていた。
* * *
階段を降りた先には似たような円形の部屋があった。
>「...? これは今回の物語と関係があるのかな?」
二ェストルは木箱に入れられていた青く染められた革表紙の本を開いてみる。
すると部屋全体が暗くなり。
変わりに円形に床を照らす魔法の照明の中に二つの人影が現れた。
一つは先程の像と同じ顔立ちをした若い女性。
ただ彼女の髪色は赤茶色なようだ。
女性は旗を手に持ち――ただ向こう側を向いて静かに勇ましく佇んでいる。
もう一つは青髭を生やした男だ。
彼はしばらく女性の姿を見つめていたようだが。
その後二ェストルとロセウスのいる方向に向き直り――歌うように語りだした。
「この風貌を......この青い髭を幾度恨めしく思っただろうか。
私は人から愛されることはなく、ただ恐れられるだけであった。
しかし、私はそれを仕方のないことだと自分に言い聞かせていた。
人に愛されること、人を愛することなど私には過ぎた願いであることだと......」
言葉を終えると、青髭の男は再度女性の方に向きを変え。
何かを求めるかのようにその長い手を伸ばしてみせた。
だが男に背を向けている彼女は決して気がつかない。
「あれ程、あれ程までにも言い聞かせていたというのに......。
私はある乙女を愛してしまった。
心から......狂おしい程に愛してしまったのだ。
彼女は勇ましく、同時に聡明で。
彼女は厳かで、同時に柔和だった。
ああ......彼女こそ神に愛された乙女。
まさしく聖女と呼ぶに相応しい」
青髭の男は伸ばしていたで何かを掴み取ろうとした。
けれど彼が掴むことができるのは何もない。
何度か挑戦した後は諦めたらしく手を降ろし......代わりに自らの剣を引き抜いた。
「故に私は知っているのだ。
聖女の愛は神のみがその身に受けることができるのだ。
私のような男に乙女の愛が注がれることは決してない。
それでも私は悲しみなどしないのだ。
彼女の傍で戦えるだけで私の心は満たされる。
彼女のことを守っているという意識だけで私の心は高揚する。
そう、私が願うのはただ彼女を永遠に守り続けることだけ。
ああ......麗しき乙女よ......気高き聖女よ......。
――ああ......愛しきジャンヌよ......」
男の言葉が終わると照明の光は薄らいでいき。
再度部屋が明るくなる頃には二人のシルエットはもう見えなくなっていた。
* * *
短時間の演劇の幕が降りた後。
>「では、先へ進もう」
>「うむ、依頼人を待たせるのはよろしい印象を与えぬだろうからな」
二人は扉の先へと進むことにしたらしい。
開けば先ほどと全く同じ形状の階段が在り同様に下っていけば。
予想通り円形の部屋がそこにあった。
だが、入ったときとはそれ以上に強烈な印象を受けたことだろう。
――赤い。
部屋が全体的に赤いのだ。
その原因はすぐにわかる。
壁の一面に紅蓮の炎が描かれているのだ。
ちょうどさっきまでいた炎の丘のような景色が。
よく目を凝らしてみれば炎に紛れて青髭の男の姿が見えるだろう。
だいたい中央を見つめるかのような位置に描かれている彼の表情に浮かんでいるのは。
――救いようのない絶望だ。
そして部屋の中央。
先ほど旗が立っていた場所には別の物があった。
磔にされ悲痛な表情をした女性の姿だ。
それは今まで何度も見た顔だった。
二人に奥まで来るように告げた像と同じ顔だ。
そして彼女の足元にはまた木箱がある。
開けてみれば、青い色の箱があるだろう。
また反対側には相変わらず扉がある。
おそらくその先はきっと更に奥へと至る階段だろう。
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あんみつ@GMより
二ェストルのロセウスのルート進行です。
本を開き、熱烈な愛の告白を見ることができたのでRPを1点差し上げましょう。
また二ェストルが1ゾロを出したのでTPを1点どうぞ。
階段を降りればまた同じような部屋がございます。
お好きな行動をどうぞ!