【C-3-4】神の僕との対峙
降りていった先にあったのは炎の絵に包まれた部屋だ。
その中央にある磔にされた女性の足元に置かれていた木箱から。
>「冒険者の性なんだろうな。とりあえず全部見るのは」
ロセウスはその中身を開いてみる。
――すると先ほど同様部屋の中は暗転し。
ライトによって磔の乙女の姿が照らされる。
彼女から少し離れた背後に青髭の男が姿を現した。
ちなみに彼はまごうことなき人間である。
部屋の雰囲気は先ほどと同様に薄暗いものであるが。
壁に描かれた炎の絵が強く赤く輝いていることは大きく違う。
怒りと破壊の色――全てを焼き尽くす赤である。
ライトに照らされた青髭の男の表情に浮かんでいたのは。
大いなる悲しみ。
隠しきれぬ喪失感。
世界への絶望。
最後に全てを呪うかのような尋常でない憤りである。
男は再び大げさに語る。
「何故だ......!
何故こうなってしまったのだ......!
私には到底理解ができぬ。
彼女が魔女だって?
忌むべき剣の使者だって?
そんなわけあるはずがない。
彼女は――ジャンヌはまさに聖女。
神に愛された者なのだから」
彼の身振り手振りは大仰である。
彼の溢れんばかりの感情が留まることを知らないのだろう。
「もしこの世に悪がいるとすれば。
それは彼女を追い詰めたこの世に生きる全てのもののことだ。
――そして何よりも彼女を守り切ることができなかった私こそ真の悪だ。
だからこそ私は償わねばならない。
如何にして償うか?
答えなど決まりきっている。
私は......彼女を呼び戻すのだ。
呼び戻された彼女を今度こそ永遠に守りきる。
これこそが私にできる最上の償いである」
ここでまた完全に一瞬の暗転。
二ェストルの瞳はこの瞬間に男の姿が消えたことを知っているはずだ。
全体が再度明るくなる頃にはロセウスももう何も見えなくなっていることに気がつくだろう。
* * *
奥にある扉を開けば、三度目の階段。
その先にあるのは同じような円形の部屋。
雰囲気としては地上の部屋と同じような感じだ。
中央に像がある。
真っ白な女性の姿の像だ。
像には十字架のモチーフの付けられた二つ首飾りが掛けられている。
壁に描かれているのは楽園の風景だろうか。
この部屋にロセウスと二ェストルが入ると。
まるで待ち構えていたかのように像が強く白く発光し始め。
光の中から金色の髪と透明感にあふれた肌の女性が姿を現す。
強く美しい光の中に姿を残す彼女の姿は――神々しく見えたことだろうか。
「......よく来てくれた。
私はジャンヌ・クロワ。
この地で魂を導く使命を負った者だ。
今のような形でしか応じれなくて済まない。
私には貌がなくてな......。
何かを依代にしなければ存在できぬのだ」
自らの像を依代としてロセウスと二ェストルの前に姿を見せているのは。
雰囲気こそ違えども先程までイメージで現れていた女性で間違いない。
「この場所に至るまでに本を見たか?
あれは青髭と噂される男......ジルの残してきた手記らしい。
近頃は書かれていないようで、詳しいことは知らないが」
ジャンヌは先ほどまでの二つの部屋にあった青い本についても触れる。
あれはこの物語の主要人物である青髭の男が残したもので間違いないらしい。
「そして私の願いこそジル......彼のことを救って欲しいというものだ」
――救う。
その言葉からは様々な事象を連想できることであろう。
果たして神の僕たるジャンヌにとって求める救いとはなんなのか。
今ならロセウスと二ェストルの言葉もしっかりと届くだろう。
ついでに彼女が知ることであれば他のことでも答えてくれるだろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
二ェストルのロセウスのルート進行です。
本を開き、更に熱烈な告白を見ることができたのでRPを1点差し上げましょう。
ついでに悲劇的な内容だったのでTPを1点どうぞ。
階段を降りればようやく会話の通じるNPCがいます。
【NPC:女性】に【ジャンヌ・クロワ】を登録しておきます。
現在の彼女であれば意思の疎通が可能です。
お好きにどうぞ(*´∀`*)