【D-1-2】一旦城内へ
蒼の城の前に続々と人の影が集っていく。
まずは丘を馬に乗ってかけてきたフレールとミリュー。
そしてそれに同行していたエクセターとフィンだ。
次に姿を現したのは、城の入口から兄を迎えに出てきたスールだ。
更にその背後からやってくるのはカレンである。
最後に丘を越えてきたのは二ェストルとロセウスである。
こうして――兄弟と暁の繭の面々はこの場で揃ったことになる。
だが、青髭公たるジルの姿は存在しないが。
* * *
ひとまず城門の前にて冒険者たちは自らの名前について語る。
「そうか、あんたたちがエクセターとフィンの仲間か?
じゃあ二人と同じくなかなかのやり手なんだろうな。
俺はフレール。
この近辺を守る騎士隊に所属している」
「はじめまして、ミリューと申します」
それぞれの挨拶に二人の兄弟が続く。
「私はスール、二人の妹でありこの城の主ジルの妻よ。
生憎夫は仕事で外へ出かけているの。
せっかく来ていただいたのに申し訳ないわね。
......それにしてもジャンヌって女性の名前よね。
いったい彼とはどういう知り合いなの?」
スールは兄たちの後に続けて語る。
ロセウスに対しては、ジルが不在であることを教えてくれるだろう。
まあ、カレンは一人その事実は当然知っているのであるが。
「それにしても、せっかく来ていただいたのにおもてなしする用意がないわ!
兄さんたちだけの予定だったから......どうしましょう。
あと流石にこんなに勝手に招いてしまったらあの人も困ってしまうかしら。
優しいから別に怒ったりはしないと思うけれども」
スールのもとを訪れるのは本来は二人の兄たちだけであったはずだ。
それがいつの間にかカレンに加え追加で四人も増えてしまったことに、若干困惑しているらしい。
「まあ、旅の途中だろうし。
ちょっとくらい休ませてやればいいんじゃないか?
ただ決めるのはお前だぞ、スール」
そんなスールにそっと助言するのはフレールだ。
エクセターやフィンについて労わる気持ちがあるのだろう。
「そうね......お茶くらいなら用意できるかしら。
あとは少し座って休める場所くらいなら。
わざわざこんな丘の上まで来てくれたわけだから、少しくらい休んで行ってもらいたいと思うわ。
どうやら夫に用があるみたいだし」
フレールの言葉もあって、スールはとりあえず場所くらいは用意してくれるらしい。
「ねえ、カレンお客様にこんなことを頼むのも申し訳ないんだけど......。
お仲間の方々をご案内してもらえないかしら。
先ほどの客間でいいと思うわ。
兄さんたちも悪いんだけど少しだけ力を貸して欲しいわね。
椅子を少し運んでおかないと足りなくなってしまうわ」
そう決めるとスールはカレンに城の案内を頼む。
どうやらさっきまでいた客間へと一旦四人を連れて行って欲しいようだ。
座るための椅子はスールが兄弟の力を借りて運んでいくつもりらしい。
「ったく、しょうがねえな。
そのかわり後でちゃんと休ませてくれよ?」
「では、フィンさん、エクセターさん......また後ほど」
フレールとミリューは渋々ながらスールの後をついて場内に入っていった。
二人の馬は城門付近に繋げておいてある。
――城門に残されたのは五人の冒険者たちだ。
カレンは客間まで案内されるよう頼まれているが。
どう動くかは冒険者たちの好きにすることができる。
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あんみつ@GMより
進行ですー。
ジャンヌをどちらに宿すかについてはPL欄で書いていただければ問題ありません。
また舞台についてですが、めんどくさいので全部架空にします。
というか最初からそのつもりでしたので。
はっきりとモデルとした実在人物はおらず、場所はラクシアのどこかというだけですね。
一旦兄妹仲良く城の中に引っ込みます。
お好きな行動をどうぞ。
特になければ客間まで行ったものとして扱います。