集う
再び奔る馬の速度は、とても軽快でまさに駆け抜けるという表現がふさわしい。
エクセターも、その速さに振り落とされないようギュッとしがみついている。
「全速力で飛ばしていくぜ!
落っこちたりするんじゃねえぞ、エクセター!」
「あはははははっ!すっごくはやいねー!
景色がビューンって流れてくよ!」
自分の足では到底実現できない未知なるスピードに、心が高揚していく。
仲間の駆る馬に同乗し、群がる敵を次々に撃破し、目的地めがけて走り抜ける。
そんな、まるで物語のヒーローになったかのような気分で目を輝かせる。
時折後ろを振り返り、フィンやミリューに笑顔で手を振る。
そのたびにちょっとだけ落ちそうになって、慌ててまたフレールにしがみつく。
そんなことを何度か繰り返しているうちに、急に強い風が吹いた。
小高い丘だからか、前触れのない強い風に驚いてそれで、
頭にあった感触がふわっと飛び去っていったのを感じた。
「あっ!エクセターの帽子!」
羽根付き帽子がふわふわと上空まで巻き上げられて、風に流され漂っている。
いつか落ちるだろうけど、流石にアレでは回収できない。お気に入りだったのに。
けど、悪いことばかりでもない。
何故ならば、帽子が飛び去った方向になんとなく見覚えのある影を見つけることが出来たからだ。
もしかしたら、そんな気持ちを抑えながらポケットにしまっていた望遠鏡を取り出して確認する。
そして、その予感は的中した。
「ねぇ!フィン!アレろせ」
「おぉい、エクセター! それにフィンじゃないか!!」
知らせる声が若干、かき消されるほどの声量で仲間の、ロセウスの声が聞こえてきた。
もちろん隣には、ネスの姿もある。よかった、離れ離れになったから心配してたけど全然元気そう。
「わーい!」
二人に手を振る。
どうやら目的地は、青髭の城みたいだ。
ちょうど、カレンも居るみたいだし思ったよりスムーズに合流できるかもしれない。
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「よし、到着したぞ」
「楽しかったー!
乗せてくれてありがとねっ」
馬はとても素早く、あっという間に城へとたどり着いた。
乗せてくれたフレールにお礼を言って、ぴょんとお馬さんから飛び降りる。
その時、待ち構えていたかのように門が開き、女性の姿がこちらへと視線を向けている。
おそらくアレが...
>「フレール兄さん、ミリュー兄さん!
> 早いうちにこっちまで来れたのね!」
そう、兄弟二人の妹。スール。
フレールもミリューも、スールもとても嬉しそうだ。
私もいずれあんなふうに、喜びを分かち合える日が来るのだろうか。
来てほしい、そうであってほしい。信じることしか出来ないけど、信じるんだ。
せっかく会えたのだから邪魔になるかなと思って、
後ろに下がろうとするとフレールに呼び止められる。
「ああ、この二人のおかげでな」
「あら、あなたたちは......?」
こうなっては下がりようもないので、ちょこちょこと前に出てペコリと頭を下げる。
「こんにちは!えっと、エクセターはフレールとミリューと一緒に狼を退治したよ!
それでえっと、ここにカレンが居るって聞いたから会いに来たの!」
と、ここまで挨拶をしたところでちゃんと挨拶ができているかちょっと不安になる。
隣りにいたフィンに近寄って、小声で相談を持ちかける。
「ね、ねぇ。ご挨拶って、こんな感じでよかったのかな...?
...最初は、はじめましてって言う方が良かったかなぁ?」
少し心細くなりながらも、後々やって来た仲間たちの顔を見ることによって
この不安はどこかへと飛んで行くのであった。
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PL・ごうりゅうだー!
ロセウスたちを発見するついでに羽根付き帽子を吹き飛ばしました。
ロセウスたちが拾ってくれるかもしれないし、そのまま行方不明かもしれない。
・ダイス
帽子が 1d2 1飛びそうになるけど押さえる 2飛んでいってしまう Dice:1D2[2]=2
占瞳は、知力ボーナスが良いのではないでしょうかー
戦闘よりその辺りが大事そうな気がしますし。