ちいさな鍵(※追記しました)
>「えっと、突き合わせちゃってごめんなさいね。
せっかく仲間の人たちと会えたばっかりだったのに。
あと、エクセターちゃんとフィンくんだっけ。
うふふ、可愛らしい子が一緒だとなんだか元気になるわね」
「あ、ど、どうも......どうかお気になさらず......」
僕は明るく笑いかけるスールさんに、ごにょごにょとあいさつらしきことを口にして、ぺこりと頭をさげた。
こそこそと抜けだしてきた応接室をすこしふり返る。誰かが飛び出してくる気配はない。
廊下をすこしすすんで、曲がり角にさしかかったとき、カレンさんが僕の右の耳を2回、ひっぱった。
僕はすかさず、ポチに意識をとばす。
(ポチ、合図して)
これでネスさんとロセウスさんに伝わったはず。
ここにはすでにカレンさんとエクシーがいる。
それに、ネスさんとロセウスさん...それからフレールさんとミリューさんが、急いで来てくれる。だいじょうぶ。だいじょうぶ。
どっどっどっ、とはやくなる自分の心臓の脈動をかんじながら、僕は必死で自分をなだめた。
と、エクシーも僕の耳をさわってくる。なぜだかふにゃっと満足げに笑う様子に、つられて笑みがこぼれた。すこし、緊張がほぐれる。
いよいよ扉が近いようで、スールさんは僕たちに鍵を見せてくれた。
赤黒い、ほかの鍵とはあきらかにちがう鍵。『青ひげ』の物語では、この鍵に血がついて、そして取れなくなって、それを見た青ひげは、花嫁を......。
>「この鍵を使えば、開けられるそうよ。
試してみたことはないけれど」
「あ、あの!エクシーと僕、鍵あけ練習してるんです!遺跡とか、そういうところの扉を開くために...。いつもなら、こんなお屋敷の扉を開けるようなことしません。でも、も、もしかしたらその、スールさんが秘密の扉の鍵をあけたとなったら、旦那様に怒られちゃうかもしれないし......。れ、練習がてら、まず僕たちに開けさせてくださいませんか?」
できるだけ、その鍵はいまの状態でおいておきたい。血や汚れを、つけさせたくない。僕は「開錠」の魔法をつかえるし、エクシーには斥候の技術と道具がある。もしかしたら、スールさんの鍵をつかわなくても、扉を開けるかも......。
だって、お兄さんたちはほんとうに、このひとを愛しているんだ。その気持ちは僕にだってわかる。だいじな、だいじな妹で、家族なんだ。僕も、スールさんには、すこしでも危ない目にあってほしくない。
僕が急に服のすそをつかんでおおきな声をだしたから、きっとスールさんはびっくりしただろう。
曲がり角を曲がると、やっぱり赤黒い、いやな雰囲気の扉が見えた。
僕たちは扉の前に立つ。
カレンさんが、僕たちを見つめているのがわかった。きっと、彼女の気持ちも僕といっしょだ。こみあげる不安と戦っている。
「......エクシー、どうする?」
僕はちいさな声で赤い髪がゆれる耳もとにささやきかけた。アンロックキーは使ってしまったらそれきりのはず。無駄にはできない。
僕の魔法は、ふつうの鍵なら問題なく開くけれど、なんとなくこの鍵は「ふつうの鍵」だという気がしない。鍵がかけられたときに込められた力を、僕の意思の力が上回らないと開けないだろう。
成功の確信はもてないけれど......。
「......僕はスールさんに鍵を使ってほしくないんだ。危険を減らせるなら、すこしでも」
今、何もできないわけじゃないから、何かしたい。
扉からスールさんをかばう位置に立って、僕は後ろを気にした。ロセウスさんたちの気配が、感じられないかと思って。
>「エクセターがやるよ、練習したいのは本当だしね」
エクシーはくすっと冗談めかした笑みをうかべて、僕にあたりの警戒をするように告げると、鍵穴の前にしゃがみこんだ。
「エクセターがやってみます。念のためなんですが、鍵を、しっかり持っていてください。ぜったいに離さないで」
僕はスールさんにそう頼み、カレンさんにうなずいてみせた。そろそろ、ネスさんたちがこちらに向かっているはずだ。
>「...予想通り、魔法のドア...だね」
エクシーはそうつぶやいた。やっぱり、そうか...。
>「ちょっと集中するね...デバイス・エクスプローラーエイド起動」
ちいさなくちびるが短く起動のための合言葉をとなえると、マギスフィアが変形してエクシーの目もとをおおった。いくつかの魔動機文明語らしきサインが浮かんでは走り、消える。
そのまま、ほそい手がアンロックキーを押しこみ、もう片方の手がピックをあやつる。
――ガチャン。
音がした。エクシーが手をひねると、カチリ、と歯車が噛みあって回転したようだ。
>「解除完了...1分くらいかな?」
マギスフィアでできたゴーグルがもとの形にもどり、あどけない笑顔があらわれた。
僕はほうっとつめていた息をはきだす。
「ありがと、エクシー。スールさんの鍵は、使わずにすんだね」
僕はいちどエクシーの手をぎゅっとにぎって、笑いかける。うまく笑顔になっていたかはわからないけれど。
そして、扉に向かいあう。だいじょうぶ、ネスさんもロセウスさんも、かならず来てくれる。
みんながそろったら......、この扉のむこうの真実をたしかめよう。
この物語の結末がどんなものになるのか、きっと、この先に答えがある。
――PL(雪虫)より―――
とりあえず、「扉をどうやって開けよう?」の段階まで投稿し、後で追記します。(5/19追記しました)
>あまとうさんへ
扉を「アンロックキー」あるいは「真語魔法アンロック」で開こうか、というところまではご相談していましたが、どっちから試そう?ということはご相談できていませんでした。
アンロックキーは消耗品ですので、温存したいということであればフィンが「アンロック」を試します。もちろん、エクシーが先に解錠をこころみてうまくいかなかった場合も、「アンロック」を使います。
最終的にどうにもならなかったら、スールさんに開けてもらいましょう。
スケジュールがせまってきていることもあり、途中ですがエクシーに「どうする?」というところまで投稿してしまいました。すみません。
あまとうさんのなさりたいようにRPしていただけたら、それをうけて私も追記します。
よろしくおねがいします。
>あんみつGMへ
予備ダイスですが、先に宣言したものを使わせていただきたいと思います。
あらためて、こちらに貼りつけます。5/16、ダイスチャット2で振っています。
【予備ダイス】
22:06:00 雪虫@フィン ≫ 予備ダイス1 2d6 <Dice:2D6[6,5]=11>
22:06:13 雪虫@フィン ≫ 予備ダイス2 2d6 <Dice:2D6[5,5]=10>
22:06:21 雪虫@フィン ≫ 予備ダイス3 2d6 <Dice:2D6[5,5]=10>
よろしくおねがいします。