【F-1-3】明かされる日記
ほんの少しだけ寂しそうな顔をしていたミリューにカレンは声をかける。
>「それに‥ご結婚されたからって、妹さん‥家族が減ったわけじゃないんですよ?
> 妹さんの旦那様という、家族が増えたんですから。折角の絆‥縁とも言いますけど、大事にしましょう?」
それはリルズの神官らしき言葉だった。
その言葉を聞いたミリューはふふ、と軽く笑みを漏らしてから。
「まったく、その通りですね。
きっと今こうした結末に至れたのは......スールがあなたに出会えたからでしょう。
妹の代わりにお礼を言わせてください」
どうやらミリューはこういう思想を持ったカレンがスールと会えてからこそ。
ジルとスールの二人が再度向き合うことができたと考えているようだ。
「それに、僕らもいつまでも兄妹離れできないままではいられませんしね。
特にフレール兄さんにはさっさと落ち着けてくれる相手と出会ってもらわないと」
ちょっとした軽い冗談も言えるくらい、ミリューの気持ちも落ち着いたようだ。
きっともうこの兄妹も大丈夫だろう。
* * *
一方スールとジルの気持ちが通じ合い、大団円を迎えようとしていたところだったが。
二ェストルがある日記を題材に歌を考えたところから事件は起きた。
エクセターがその主人公を大声で酷評してしまったのだ。
>「エクセターなんて足がちぎれても戦ってたのに、なんていうか根性がないよね!
>そもそも青...うん?青髭?あれっ?」>「あぁぁぁ...青いお髭だぁぁぁ......!」
しかも途中で主人公の正体に気づいてからはどんどんどつぼに嵌っていく。
>「これよりも、熱烈でふかい愛の言葉をスールさんにささげてください。しばらくのあいだは、毎日。手紙にしたり、朝のおはようのあととか、いってきますの前とか、いつでも。スールさんがあなたにくれた愛情に負けないように」
そしてフィンはというと悪気なく、むしろ良心からジルの過去の想いをさらけ出してしまう。
>「約束、してください」
「あ、ああ......わかった」
フィンから約束を求められたジルは困惑したように同意する。
直球と変化球で二方向から責められたので無理はないかもしれないが。
「あらら、そんなものがあったなんて知らなかったわ。
ねえ......二ェストルさん。
よかったらその日記貰えないかしら?
まずは内容を読まなければ、それ以上の愛を受け取れたかわからないもの。
今フィンくんと約束したし問題ないわよね......ジル?」
スールは二ェストルに日記を貰えるか尋ねたあと。
再度ジルに向けて笑いかける。
先ほどの愛に満ちた微笑みでも、挑発的な笑顔でもない。
それは完全に主導権を握ったものの笑い方であった。
「あ、ああ......私は......その。
特に問題ないが......」
答えたジルの顔は若干紅潮しているように見えた。
きっと流石の彼でも恥ずかしいのだろう。
「あんな顔してる時のスールは割とマジでやばいからな。
ジルもこれから大変だろうぜ。
......とりあえず、俺も何か書き残すときは注意するか」
二人を眺めていたフレールはそんな感想を漏らす。
きっと彼は彼なりに過去の思い出があるのだろう。
* * *
『物語は......綴られた。
役割を全うせしものには......証が送られることであろう』
――それからしばらくして脳裏に男の声が響く。
その言葉を認識すると同時に世界は白い光の中へ溶け込んでいくことだろう。
それは世界へやって来た時と同様の感覚だ。
どこかから勢いよくページが捲られる音がする。
最後には本が閉じられる音。
......ふわりと体が浮かぶ。
さあ、帰還の時だ。
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あんみつ@GMより
とりあえず返答分の進行です。
二ェストルとエクセター、フィンのやり取りでCPを1点差し上げましょう。
これで全員がSQ達成となります。
このあとエンディングを投稿します。