愛の言葉たち

 フィン(雪虫) [2016/06/03 23:19:52] 
 

 >「勿論、貴方も私に帰れなんて言わないわよね......ジル?」

 >「ああ......そんなこと言うはずがないだろう。
   ありがとう――スール」


 スールさんはジルを赦した。ジルも、彼女の愛に感謝し、共にあることを望んだ。

 フレールさんもミリューさんも、すこし呆れた様子だけどあたたかい表情でふたりを見まもっている。
 よかった。これでお話はおしまい、めでたしめでたしだ。
 手をとりあうふたりをながめていると、安堵の気持ちがこみ上げた。

 でも、と僕はちょっと考える。
 ふたりの愛のきずなが新たに結びなおされた今だから、こう思うんだけど......。

 ......ジルが、このままじゃかっこわるくないかな。
 今のところ、スールさんのおおきな愛にただ赦されっぱなしなんだけど、それってちょっと、どうなのかな...。
 すくなくとも、ジルはもっともっと、せっかくなら、彼女の愛よりもさらにおおきな愛でスールさんをつつんでほしい。

 僕はジルに話しかけた。

 「スールさんを、ずっとずっと愛してください。あなたのありったけの愛で。あなたがかつて言葉に紡いだ愛よりも、おおきくふかい愛で。......えっと、覚えてますか?」

 ジャンヌの死後、魔神に心を支配されていただろうジルは、もしかしたら忘れてしまっているかもしれない。もしそうだったらたいへんだ。

 「あなたは、かつてこう書いていました。
  『この風貌を......この青い髭を幾度恨めしく思っただろうか。
   私は人から愛されることはなく、ただ恐れられるだけであった。』
  ...えっと......。
  『しかし、私はそれを仕方のないことだと自分に言い聞かせていた。』
  ひとに...、えと、
  『人に愛されること、人を愛することなど私には過ぎた願いであることだと......」』」

 たしかこんな一節が、ジルの日記にあったはず。
 僕は読んだ日記の中身をいっしょうけんめい思いだそうとした。片方の耳が自然とたおれる。

 「んと......。
  『あれ程、あれ程までにも言い聞かせていたというのに......。
   私はある乙女を愛してしまった。』
  くるおしい...じゃなくて、こころから...、
  『心から......狂おしい程に愛してしまったのだ。』」

 いつしか、僕は文章を思いだすことに必死になっていた。風の吹きわたる草原をながめながら、首をひねってがんばる。
 できるだけそれらしく聞こえるようにも努力してみる。だって、ジルの大切な愛の言葉たちだもの。
 ああ、もっとちゃんとおぼえていたらよかったのに。ななめ読みしかできなかったのが今となっては残念だった。

 「次はなんだっけ...。そうそう......、
  『彼女のことを守っているという意識だけで私の心は高揚する。
   そう、私が願うのはただ彼女を永遠に守り続けることだけ。』
  ...ええと、くわしくはあの、ネスさんが...彼が、本を持ってます。2冊。気になったら、見せてもらってください」

 ネスさんのほうを手でしめす。ネスさんはちょうど、エクシーのとなりに腰をおろして、例の本をひろげて楽器を抱えているところだった。曲のインスピレーションでも湧いたんだろうか。
 ともかく、僕はこれくらいしか思いだせないや。うん、とひとつうなずいて、言った。

 「これよりも、熱烈でふかい愛の言葉をスールさんにささげてください。しばらくのあいだは、毎日。手紙にしたり、朝のおはようのあととか、いってきますの前とか、いつでも。スールさんがあなたにくれた愛情に負けないように」

 僕はにっこりして、みじかい小指をたて、ジルに差しだした。 

 「約束、してください」

――PL(雪虫)より――― 

スールさんがほんとに漢前なので、ジルもがんばれ!という気持ちで純粋にイノセントにはげますフィン君です。
PLとしては、ジルもただ赦されてばかりなのもなんでしょうし、外の世界の住人からの最後の置き土産として、かるく刑に処しておきましょうという気持ちです。
お兄さんたちにでも笑われるがよいのです。
「ジャンヌ」という固有名詞は出さない方向です。

【判定結果】
22:28:42 雪虫@フィン ≫ 剣のかけら 1d6 <Dice:1D6[5]=5>

23:48:16 雪虫@フィン ≫ 剣のかけら2つめ 1d6 <Dice:1D6[4]=4>
22:29:06 雪虫@フィン ≫ 日記の内容、暗誦できるかな? 2d6+9 <Dice:2D6[3,1]+9=13>