【G-1-1】青髭の総括
「やあ、おかえり」
光から抜け出した暁の繭の面々が感じたのは室内の空気感だった。
少し前まで感じていた丘を駆ける風の感覚はいまやない。
どうやらエリックのいた部屋まで戻ってきているようだ。
面々に声をかけたのも当然ながらエリックである。
テーブルの上には本が開かれた状態で置かれている。
眺めてみれば青い城の前で青髭と栗毛色の女性が見つめ合っている絵が描かれている。
「上手くいったかな?
君たちの思い描く物語は出来ているといいんだけど」
エリックは冒険者たちの紡いできた物語を読んで知っているようだ。
彼の顔がそう語っている。
「愛っていうものは人を弱くもするし強くもする。
だからきっと大切な瞬間に迷わないように......。
その気持ちとしっかり向き合っていく必要があるんだろうね」
エリックは本を手にして言った。
「僕としてはあまりロマンチックな場面にはそうそう出会うことはないんだけど。
君たちには君たちの物語があるかもしれない。
そういう時はしっかりと向き合って進んで欲しいな」
生きていれば恋をする機会もあるだろう。
そんな時に気持ちと向き合わず隠してしまえば、叶うものも叶わない。
スールとジルが上手くいったのは気持ちと向き合い、心から伝えたからなのだから。
「......あとは、そうだね。
いろいろと書き残すものとしては、ちょっと肝が冷えるところもあったかな」
これはおそらく......ジルの日記の顛末によるところだろう。
「とりあえずこれが今回の報酬さ。
まああまり多くはないけど受け取って欲しいな。
またいつか......君たちが僕の依頼を受けてくれて、物語を作り上げて欲しい。
僕は待っているよ。
そしてきっと――この本もね」
エリックは今回の冒険者たちを送り出してくれるだろう。
きっとこれから先も冒険者たちはそれぞれの世界を旅しながら広げていくはずだ。
――ちなみに冒険者たちが自らの荷物を後にでも確認すると。
童話の世界に入った際に手に持っていた栞が入っていることに気がつくだろう。
5つのマークが刻まれた栞に触れるとちょっとだけ心が揺れる。
青色の栞に触れれば仄かに哀しみが広がり。
黄色の栞に触れれば少し気持ちが楽しくなる。
桃色の栞に触れればちょっとだけロマンチックな気持ちになるだろう。
* * *
童話本の作り出す世界は一つに留まらない。
似た世界でも紡ぐ者が変われば、物語の色は変わる。
かつて語られた物語。
世界のサイクルは回りだしていく。
砂の世界。
魔人の笑い声。
囚われの王女。
青年が抱えるのは、魔法の洋燈。
――物語は無限だ。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
こちらはエンディング専用カテゴリとなります。
舞台は最初の最初と同じくエリックのおうちです。
この記事に何らかのアクションを起こす記事を投稿して頂ければ解放といたします。
投稿がない場合も1週間後に強制的に解放処理を行います。
報酬については別途冒険の募集欄にまとめておきますのでご参照ください。
SQ達成報酬としてそれぞれに栞がもらえます。
それでは最後の投稿お待ちしております。
このカテゴリに記事を投稿する際は、
カテゴリ『1-最後の1ページ』にチェックを入れて投稿してください。