5人
>「実は私が探しているのは一人ではありません。
> 全部合わせれば五人になりますね。
> 彼らについて......ですが。
> 貴女を私のようなコボルドの依頼を引き受けてくれた信用に足る人物として伝えますが。
> 彼らも皆、私と同類......蛮族と呼ばれる者たちなのです」
蛮族。それも、5人も。
これだけを聞くと、とても好ましい情報には思えない。
しかし、冷静になれ。
よからぬことを企んでいるのなら、わざわざシィノに声はかけまい。
この聡明そうなネージャ嬢なら、なおさら。
賢者が愚者を装うのは簡単だが、愚者が賢者のフリをするのは難しい。
とりあえず、心配はなさそうだ。
そうなると、次に問題になるのは......。
5人。
いや、1人だけだと思ったのは確かにシィノの早とちりかもしれないが。
5人。
「少し待ってください。......どうぞ」
5人分も覚えきれないので、メモを取りながら聞く。
1人目はソリッド殿。青い髪の小柄な男。
それに同行している可能性のある、背の高い赤毛のプレイヤ嬢。
リズム嬢は派手な帽子。活動的な性格らしい。
長い銀髪がスラップ殿。女性の多い場所を探すか。
最後に、フードをかぶっているヴォイス殿。おそらく静かな場所を好む。
どうせ5人とも、正体がばれないように人型をしているのだろうから、このさい種族は置いておく。
それにしても、よくこれだけ取りどりにそろったものだ。
>「これまで、一通り探している五人について述べてきましたが......。
> 私たちがこの街を訪れた目的を聞かれておりましたね。
> 勿論この街で何か事件を起こそうなどとは考えておりません。
> 私たちは言うなれば、音楽団なのです。
> ――私自身はどちらかというと裏方ですが。
> ですので、この度はしばらくこの街で厄介になろうかと訪れた次第です。
> ここは芸術の街として知られる場所でもありますので」
巡業か。
たしかに、これだけ蛮族のそろった一団がひと所に留まるのは難しいのだろう。
街の有力な者とも話はついているようだし、シィノが気にすることはなさそうだ。
ふむ。音楽団ということは、ソリッド殿はそれに関係する場所にいるかもしれない。
忘れないうちにメモに足しておく。
ネージャ嬢は宿で待機するという。
探している人たちと入れ違いになっても面倒なので、シィノもそれがいいと思う。
「さしあたっては、これでいいです。
何かあれば、艶花亭を訪ねます。
では、後ほど」
いま一度、メモを確かめる。
エリック殿が街の様子を話すのを、聞いていてよかった。
ソリッド殿が音楽を勉強するなら、4番街だろうか。
にぎやかな場所なら、おそらく3、4番街と大通り。
広場は......街の中心だから人は多いと思うが、どうだろう。
静かな場所へ行きたいなら、1番街あたりか。
1番街はここから近い。
まずは神殿や静かな路地をのぞきながら、ヴォイス殿を探すことに決めた。
―*―*―*―
各神殿を訪ねながら、ヴォイス殿と思われる人を探す。
しかし、神殿はローブ姿の人が多い。うかつだった。
"ゆったりとしたフード"が、見分けのつくものならいいのだが。
――――PL――――
1番街で、主にヴォイスっぽい人に気をつけながら探します。
まずは神殿と、その道中の静かげな道を。
神殿は中にいる人をぱっと見て回るだけですが、シーン神殿ではきちんとシーン様にごあいさつしていきます。