【A-1-2】五人の蛮族
コンチェルティアの北門で急に後ろから呼びかけられたシィノヴィア。
彼女が振り向いた先には綺麗な身なりのコボルドがいた。
>「シィノはシィノヴィア。
> 別の方からの仕事を受けてこの町へ来ているので多少の制限はありますが、滞在中は暇です。
> それを了承していただけるなら、力になりましょう」
そのコボルドに対してシィノヴィアは自らの名前と、力を貸すことができる旨を告げた。
それを聞いたコボルドの女性は嬉しそうにシィノヴィアの手を取った。
尻尾が少し揺れている。
「シィノヴィアさん......ですね。
私はネージャ・アドミンと申します。
ありがとうございます......勿論条件はそれで問題ありません。
本当に助かります」
このコボルドはネージャという名前のようだ。
そんなネージャの探している対象についてシィノヴィアは新しい情報を得ようと試みる。
>「お知り合いとは、いっしょにここへ来たのですか?
> それとも、別々に?」
まずはコンチェルティアを探している相手と訪れたかどうか。
どちらかによって、状況は結構変わってくるものだ。
「私は出発する前の街でやることがありましたので、先に行ってもらうことにしました。
一応最終的な待ち合わせの場所と時間を決めてはいるのですが......。
その前に幾らか伝えておきたいことがありますし。
自由な思考の者ばかりで万が一ということも考えられますので声をかけさせていただきました。
――私共のような蛮族は信用が何よりも大事ですからね」
ネージャと探している対象は別々に街を訪れたようだ。
一応待ち合わせの予定はあるらしいが、念の為に先に見つけておきたいということらしい。
そして彼女の話によれば......どうやら探す相手は複数人なようではないか。
>「探し人の容姿も教えてください。
> できれば、性格や好みも」>「あなた方は、何をしにこの町へ?
> どこか目的の物や場所があるなら、その付近を探しましょう」
そして今度は探す対象について。
それがわからなければ、探しても見つけようがない。
もう一つ目的もわかるのであれば聞いておきたくて当然だ。
何も知らないよりは効率的に探すことができる。
「実は私が探しているのは一人ではありません。
全部合わせれば五人になりますね。
彼らについて......ですが。
貴女を私のようなコボルドの依頼を引き受けてくれた信用に足る人物として伝えますが。
彼らも皆、私と同類......蛮族と呼ばれる者たちなのです」
正確な数としては、彼女の探している相手は五人になるらしい。
そして依頼人ネージャがコボルドであったことから推測できなかったことではないが......。
彼女の探している相手は全て蛮族であるようだ。
「まず一人目はソリッドという男です。
シィノヴィアさんはライカンスロープという種をご存知でしょうか?
彼らは基本的には人の姿をしておりますが......月の下では獣のようになるという。
ソリッドはそれなのです、彼の場合は青い毛の人狼ですが。
そういう種の者ですので彼は一見しただけでは他の人間の方たちと区別がつかないでしょう。
ただ珍しい青い色の髪をしており、男性にしては比較的小さな身長ではありますね」
探している相手の一人目。
それはソリッドというライカンスロープの男性らしい。
「もう一人、プレイヤという名の女性がおります。
彼女はラミアでして、勿論一般的な女性の姿をしております。
故にソリッドと同じく見た目だけでは区別がつきづらいと思われますね。
彼女はソリッドとは対照的に赤い色の長い髪をしており、女性としては高身長です。
それに彼らはおそらく二人揃って行動をしているかと思われます。
実に好対照の二人なので、そう言う意味では見つけやすいかもしれませんね。
彼らは比較的常識的なタイプなので、待ち合わせ場所には現れるかと思いますが......。
それまではこの街の観光を楽しんでいることでしょうね。
ソリッドの方は真面目なタイプですから、勉強に勤しんでいるかもしれません」
そしてもう一人がプレイヤというラミアの女性。
ソリッドとプレイヤは全体的な印象が対照的であり、同行している可能性が高いという。
「三人目はリズム。
蛮族の中では弱きものと言われるウィークリングの女性です。
彼女の場合はミノタウロスのものなので......力自体は強いのですが。
ミノタウロスというのは角が特徴の種族ですので、彼女は茶色い髪の上に大きく派手な帽子を被っています。
服装自体は露出が大きなものですね、彼女の体はセールスポイントの一つでもありますし......。
リズムは私たちの中では一番の武闘派でして......武器や体を動かすことが好きなタイプですね。
もう少しプレイヤのように女性らしい方がいいと思うのですが、そういうところが好まれることも多くて。
――少し話が逸れましたね。
これがリズムの大体の特徴です」
三人目はリズムという女性らしい。
ミノタウロスの血を引いているからか、ワイルドなタイプなようだ。
「四人目はスラップというラルヴァの男性ですね。
彼の特徴としては、銀色の髪とやや青白く感じられる肌ですかね。
ナイトメアと呼ばれる種に近いかもしれませんが、瞳は赤く鋭いです。
スラップは男にしては長い髪をしていて、細い体格から遠目では女性のようにも見えますね。
ただ彼は無類の女性好きでして、常に誰かを側に置いておかないとダメなタイプです。
なので、可憐だったり魅力的だったりする方が多い場所にフラフラ立ち寄っているかと」
そして四人目はスラップ――ラルヴァの男性だ。
「最後の五人目はヴォイス。
彼はドレイクなのです、尤も魔剣を持たないタイプではありますが。
白い髪で街中ではゆったりとしたフードを身に着けていますね。
正直彼は考え込み出すとフラフラと居なくなってしまうタイプで......。
どこにいるかという検討はあまりつきません。
ただどちらかというと静かな場所にいるのじゃないかと思います」
最後の五人目はヴォイスという人物。
ネージャ曰く、魔剣を持たないドレイクであるらしい。
「これまで、一通り探している五人について述べてきましたが......。
私たちがこの街を訪れた目的を聞かれておりましたね。
勿論この街で何か事件を起こそうなどとは考えておりません。
私たちは言うなれば、音楽団なのです。
――私自身はどちらかというと裏方ですが。
ですので、この度はしばらくこの街で厄介になろうかと訪れた次第です。
ここは芸術の街として知られる場所でもありますので」
そして彼女たち六人がこの街を訪れたのは......。
音楽団である彼女たちにとっての巡業ということであるらしい。
「勿論、この街の方とは既にお話を通しております。
お陰で2番街にある上等な宿を用意していただいたみたいでして。
劇場の艶花亭という宿です。
私はそこで待っていようと思いますので、もし見かけたら宿に来るように伝えていただけないでしょうか。
最後の一人を見つけたときは一緒に来て頂ければ、お礼の方をさせていただきます。
――他に何か聞きたいことはございますか?」
そしてネージャたちの拠点は2番街にある劇場の艶花亭という宿であるらしい。
その宿に五人を連れてきて欲しいというのが簡単な依頼内容だ。
もしこれ以上ネージャに聞きたいことがなければ、
このままコンチェルティアの街に繰り出して人探しに出発できるだろう。
コンチェルティアの各区画の大体の特徴はエリックから聞かされている。
さて、まずシィノヴィアはどこへ行こうか。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
シィノヴィア進行です。
説明シーンなんで仕方ないんですが長くなりました。
【NPC:女性】に【ネージャ・アドミン】を登録しておきます。
また【分類:地名】に【劇場の艶花亭】を登録しておきます。
彼女からの依頼は五人の蛮族の仲間を探してきて欲しいというものです。
見つけたら艶花亭を訪ねるように告げて欲しいそうですね。
彼女に更になにか聞いておきたいことがあればどうぞ。
シィノヴィアは次の行動を選択してください。
具体的なものとしては【分類:コンチェルティア】にある各箇所から、
行きたいところ、調べたいところを一つピックアップしてください。
他にも何かございましたらお好きにどうぞ!