ぴんと
>「うん、着いたみたいだ。
> 無事にコンチェルティアまで着けたのはシィノヴィアさんのおかげだよ。
> 本当に助かっちゃったね」
「いえ」
シィノは同行しただけ。それが牽制になった可能性も否めないが。
護衛というものは、有事のための保険。
いずれにしても、何事もないに越したことはない。
エリック殿に雇われてたどり着いたのは、コンチェルティアという町。
ルキスラからさほど遠くはないが、初めて来た。
仕事は往復の道の護衛。
エリック殿が街で用を済ませるまでは、暇になる。
エリック殿を待つ間の滞在費は負担してもらえるうえに、すでに宿も手配してあるという。
「恐れ入ります」
>「帰りのことも含めてこの後の予定については宿で話すことにしよう。
> それまでは君も好きにこの街を見て回るといいんじゃないかな。
> 音楽に美術、演劇に舞踊、それに文芸。
> この街は芸術の街だからね、シィノヴィアさんが気に入るものもあるんじゃないかな?」
「そう、ですね」
芸術。
生きるために必要なものではない。
しかし、人が生きる中でつないで来たモノの形であり、人の心をとらえるモノ。
>「それじゃあ、またあとで。
> よろしく頼むね!」
エリック殿はすぐに人ごみにまぎれた。
夜に宿へ戻りさえすれば、あとは自由に過ごせるらしい。
どうする。特別したいことはないが。
目新しいものが多い街なので、歩いているだけでも楽しめそう。
何をするにしても、まずは何か食べたい。
>「あら、すみませんが......。
> お姿を拝見したところ、そこの貴女は冒険者ではありませんか?」
冒険者。
旅行客などきれいな身なりの人も多い中で声をかけられて、シィノのことかと振り向いた。
耳。
すぐに目の高さを修正すると、そこにはひとりのコボルドがいた。
健康そうな毛並みに、きれいな服装。
街でたまに見かけられる、普通の雇われコボルドとは少し雰囲気が違う。
>「もし冒険者で間違いないのでしたら、一つお頼みしたいことがあるのですが。
> 少し話を聞いていただくことはできませんか?
> 勿論、タダでとは言いませんよ」
お困りのようだ。
うなずいて、了承の意を示す。
内容は人探し。
シィノもこの町は初めてなので不案内なのだが、同じような立場のほうがいいと言われた。
そう言われたら、そういうものかもしれないと思う。
「シィノはシィノヴィア。
別の方からの仕事を受けてこの町へ来ているので多少の制限はありますが、滞在中は暇です。
それを了承していただけるなら、力になりましょう」
とりあえず、このコボルド嬢の探し人が夜までに見つかればそれでいい。
日をまたぐようなら、宿に戻ったときにエリック殿と話しあおう。
「お知り合いとは、いっしょにここへ来たのですか?
それとも、別々に?」
いっしょに来ていてはぐれたのなら、はぐれた場所まで案内してもらう。
反対に、別々に来たのなら、どこかで待ち合わせる約束をしていたはず。
「探し人の容姿も教えてください。
できれば、性格や好みも」
ほかに、必要な情報は。
「あなた方は、何をしにこの町へ?
どこか目的の物や場所があるなら、その付近を探しましょう」
――――PL――――
GMさん、ラプンツェルに引き続きお世話になります。
よろしくお願いします!
一葉さんははじめまして。柑橘さんとキャスパーさんはお久しぶりです。
別ルートですが、いったいどこでつながるのか楽しみです!
さっそくわんわんお! コボルドちゃんだった!
いちおう人格あるわんこですので、問答無用でもふるわけにもいかぬ......。
なんか、こう、自然になでるチャンスを耽々と狙いましょうぞ。