【A-2-1】猫のために手が借りたい
目を誘うのは踊り子の纏う紅。
耳を撫でるのは弦楽器の歌声。
鼻を擽るのは絵の具の匂い。
コンチェルティアの6番街は未来を夢見る若き者たちの集う場所だ。
"花開く街"の象徴とも言える区画である。
そこをふらふらと歩いていたのは......。
真っ白な肌に真っ白な髪、そして真っ白な服だがお目目は真っ赤。
そんなグラスランナーのカプリである。
カプリにとっては久しぶりのコンチェルティア来訪であろうか。
訪れた理由はカプリのみ知ることであろう。
なんとなく立ち寄っただけかもしれないし。
もしかしたら目的があったのかもしれない。
ただ一つ正しいことは......カプリがここにいるということだ。
6番街は街全体が一つの大きな舞台と言える。
カプリが演奏なり踊りなりパフォーマンスをすれば、きっと観客はふらふらと現れることであろう。
* * *
少し時が経った頃。
カプリが6番街から離れようとした際のことだった。
「あら、あなたは......」
正面からある人影が近づいてくる。
金色の長い髪に赤い花の飾りをつけて。
白と青を基調としたドレスを身に纏っている女性だ。
ドレスは動きやすいデザインのようだ。
「えっと、確か......お聞きしたところ、カプリさんだったかしら。
ヴィクトリア・キャピレットです......覚えていらっしゃいますか?
とても懐かしい――あの丘の件依頼ですわね」
彼女の名前はヴィクトリア・キャピレット。
主に演劇を中心にコンチェルティアの振興を担うキャピレット家の一人娘である。
ヴィクトリアとカプリは共にかつてこの街を中心に起こった"死神事件"の当事者だ。
「私は少し4番街の様子を見つつ、ちょっとした用事を済ませたところですけど。
カプリさんはどういう理由でこちらにいらしたの?」
4番街は劇場街になっている区画である。
キャピレット家の娘としてそこを訪れることは別段珍しいことではないのだろう。
ただちょっとした用事とは......彼女が下げている籠に入ったもののことだろうか。
籠の中には本が一冊。
表紙には猫の挿絵が描かれている。
タイトルは魔動機文明語で『猫の飼い方・育て方』と書かれている。
言葉がわからなくても表紙から猫に関わる本であることは推測できよう。
「......ああ、そうだわ!
カプリさんって冒険者でしたわよね。
冒険者でしたら動物と関わることも多いんじゃないかしら」
ふとヴィクトリアは何か思いついたかのように声を上げると。
独り言を呟きながら少し考え始める。
――そして数秒後。
「カプリさん、もしお暇でしたら私の家までいらしていただけませんかしら?
勿論しっかりとおもてなしもさせていただきますわ。
......その、少しご相談したいことがありまして。
実は昨夜庭で倒れていたのです、そう......猫が一匹。
私たちは猫はおろかどの動物も育てたことがなく、困っておりますの」
ヴィクトリアはカプリを彼女の屋敷まで招待した。
目的は猫について、少しでもいいから協力して欲しいとのことだ。
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あんみつ@GMより
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