【A-2-2】ぐれーにまんまるく
カプリを呼び止めたのはヴィクトリアという名の令嬢だった。
どうやら最初は彼女のことを忘れてしまっていたようだが......。
過去に思いを馳せるうちにちょっとずつ思い出していったようだ。
――ついでに、ちょっとした事件のことも。
>「そのせつは、まことにごめいわくをおかけしまして」
だからカプリはヴィクトリアに謝ることとした。
実に素直な応対であることだ。
「ご迷惑......?
ううん、そういうのじゃありませんのよ。
もしカプリさんたちがいなければ、私もカイルも......どうなっていたかわからないもの。
その意味では皆様は両家の恩人とも言えましてよ」
それでもヴィクトリアはカプリたちに感謝しているようだ。
ちなみに、カイルというのはヴォルディーク家の当主の名である。
キャピレット家とヴォルディーク家は親しい関係にあるのだ。
――その後、カプリはヴィクトリアからの誘いを受ける。
猫のことについて手をかしてほしいと語る彼女に対して。
>「ねこ!」
まずは、子供のように第一声。
>「行く! ねこさんのおせわする!」
さらにすぐ手を伸ばして、キャピレット邸に向かう意志を示す。
「ありがとう、いらしてくれますのね......!
では、2番街まで参りましょう。
どうぞ、ついていらして」
カプリの言葉にヴィクトリアは嬉しさと安堵の混じった表情をしたようだ。
そしてすぐにでもカプリを案内してくれることだろう。
貴族たちが暮らす場所――コンチェルティアの2番街へ。
* * *
少し歩いていけば二人はコンチェルティアの2番街まで辿り着く。
大きな庭が有る建物や複数の階層を持つ建物。
一目見て立派だと感じるような街並みの一角に、キャピレット邸はあった。
壁や屋根が全体的に暖色系で彩られた優雅さと共に温もりのある建物だ。
「さあ、カプリさん。
お入りになってください」
ヴィクトリアと共に門を潜り、庭を抜けていけば。
使用人たちがこちらに近づいてくる。
そんな彼女たちにヴィクトリアはて早く幾つかの指示を出した。
どうやらカプリのための準備を頼んでいたらしい。
「猫のいる部屋に案内させていただきますわ。
お飲み物と軽いお菓子の用意も頼んでおきましたので、一緒に是非」
邸内に入ってから外の庭に沿うかのように彼女は邸内を歩いていく。
どうやら目的の部屋は庭のそばにあるらしい。
* * *
ようやく立ち止まった先にあったのは一階に備えられた客間であった。
扉を開いて見れば大きな窓から外の庭の様子を伺うことができる。
丁寧に育てられているらしい花々の彩りが実に美しい。
「部屋に入った時に、庭に倒れているのが見えましたの。
......この灰色の猫ですわ」
ゆったりとした椅子の上に悠々と丸まっているその姿。
図々しいようでさすが猫らしく愛らしくも見える。
灰色の毛並みをした猫でそのくりっとした瞳は活発的な印象を与える。
カプリはそんな瞳でじっくりと様子を少しの間観察されることになるのだが。
「コンチェルティアの街自体に寄る辺なき動物がいることは珍しくありませんが......。
流石に家の庭で倒れているものを見過ごすのは偲びなく思いまして。
ひとまず中に連れてきたものの、慣れぬことばかりで困っていましたの。
もしよければ、お力をお菓子して頂ければ助かりますわ」
そうこうするうちに、部屋の中にお茶とお菓子を持った使用人が姿を現す。
砂糖やミルクの類も充分だ。
ヴィクトリアはどちらかというと甘い方が好きなタイプなのだろう。
机の上に綺麗に並べられ。
座り心地の良さそうな椅子へとカプリは促される。
――そんな様子を灰色の猫はじっと見つめていた。
特に果実を使ったタルトを中心として。
お腹でも減っているのであろうか。
まあ猫が焼き菓子に食いつくのは若干不思議ではあるが。
「とりあえず、先にお菓子とお茶をどうぞ。
......カプリさんは可愛らしいから甘いものもお好きかと思ってましたけど。
もし違うなら――どうぞ遠慮なく仰ってくださって構いませんわ。
すぐに取替えさせていただきますから」
客人であるカプリが席について手を伸ばせば......ヴィクトリアも座ることだろう。
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あんみつ@GMより
カプリルート進行です。
カプリは2番街のキャピレット邸までたどり着きました。
客間には灰色の猫がいますね。
あとはお茶とお菓子がでてきます。
お好きな行動をどうぞ!
ついでにダイスを2D6ひとつだけ振っておいてみてください。