【A-2-6】男の言葉と令嬢の頼み
思いっきり落下してつい言葉を話してしまったグレイ。
それを見て戸惑うヴィクトリアとさらにそれを見て慌て出すグレイの真ん中で。
――カプリはヴィバーチェを手に取り、軽く弦を弾く。
その段階で二人からの注目が集まった。
次にカプリは軽く短く歌ってから。
>「とりあえず、おちつくの。
> ねこも、ヴィクトリアさんもね」
一度二人に落ち着くように声をかけた。
まずはヴィクトリアからだ。
>「だいじょうぶ、ねこはわるい猫じゃないよ。
> もしもわるい猫でも、わたしがいるからあんしんして」
「確かにカプリさんはいらっしゃいますけど......」
ヴィクトリアは落ち着いてはいるものの。
まだ完全に安心は出来ていないようだ。
とりあえずカプリはそのままグレイにも声をかける。
>「そうやってたよるから、ねこはダメなの。
> 勇気をださず、楽なほうににげて、いきづまったらだれかの手をかりる。
> それでなにかを手に入れたって、それはするりと手のひらからこぼれおちるよ。
> だって、自分の手でつかんだんじゃ、ないんだもの」
カプリの言葉にグレイは猫の顔のまま、はっとした表情になる。
どうやら少し考え込んでいるようだ。
そんなグレイをヴィクトリアが遠目に眺めて一分ほど。
――グレイはしっかりとヴィクトリアの顔を見上げた。
猫の顔のままであるが、どことなく覚悟を決めた顔である。
「......その......黙っとって、すいません。
俺、グレイ・トムキャットいいます。
見ての通りただの猫やなくて、ミアキスっちゅう種族なんですわ」
グレイの話し方はちょっと真剣っぽかった。
彼の言葉を受けてヴィクトリアは少し伏し目がちに。
「ミアキスと呼ばれる方々については私も存じておりますわ。
コンチェルティアでも数こそ少ないもののお姿を拝見することはございますもの。
――ですが、どうしてそんなあなたがこの家の庭に?」
要するに、ヴィクトリアの最大の懸念点は何故グレイが庭にいて。
今この瞬間もこの家の中にいるのか、ということだ。
キャピレット家もコンチェルティアにおいては名家である以上。
妬みを買うこともあるだろうし、敵だっていないことはないだろう。
カイルと親しい......親ヴォルディーク派であることも大きい。
だから単純に気になるのだ。
このミアキスの狙いはなんなのであるか、と。
「別にやましい気持ちはありません。
まあ......ヴィクトリアさん可愛いなあとは思ったりしとりますけど。
――あ、今のはその......変な意味やないんで、忘れてください。
あの庭で倒れとったんは単純に腹が減って力尽きてただけですわ。
ヴィクトリアさんに飯食わせてもろたお陰で今も元気なんです。
せやから、その......」
まだ少し不審そうなヴィクトリアに対して、グレイはこわごわ話を続ける。
「俺はヴィクトリアさんに恩返ししたいな、思とったんです。
今もそう思てます。
ほんまはそこのカプリちゃんに助け舟出してもらおうとしとったけど。
やっぱ俺の言葉でちゃんと伝えなあかんな。
――ヴィクトリアさん、俺に食わせてくれてほんまありがとうございました。
俺から、ヴィクトリアさんに恩返しできることないですやろか?」
何度もカプリを使って間接的に言おうとしていたことを。
とりあえずグレイは口に出してみたようだ。
対するヴィクトリアは黙ったままだ。
「そうですか、お話しくださりありがとうございます。
申し訳ございませんが、私はキャピレットの者として......。
あなたの言葉全てを信じるわけには参りませんわ」
ヴィクトリアはやはりグレイの言葉全てを真と受け止めることはできないようだ。
グレイは猫の顔のままであるがショックを受けたように項垂れる。
「だから、恩返しは結構ですのでお帰りいただいて構いません。
......そう言いたい気持ちはあるんですが。
実は、少し手伝って欲しいことがないわけではありませんの。
ですが、先ほど申した通り私はあなた全てを信じることができませんわ。
そこでですが......」
ヴィクトリアは視線をグレイからカプリへと移す。
「もしよかったら、カプリさんにもお手伝い願えませんか?
仕事を果たして頂ければ、お礼の方ももちろんさせていただきますわ」
ヴィクトリアが言うには、グレイに恩返しの機会を与えてやってもいいが。
その際にカプリに見張りを頼めないか、というところらしい。
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あんみつ@GMより
カプリルート進行です。
素直にグレイが話したところ、条件付きで恩返しの機会を作ってやるとのことです。
その条件とはカプリが同伴することとなりますが。
カプリは次の行動を選択してください。
具体的なものは以下の2つです。
・グレイの手伝い(見張り)をする
・グレイの手伝い(見張り)をしない
内容については、カプリが承諾した場合のみ公開されます。
一応言っておきますと、雑用系です(・∋・)
他にも何かございましたらお好きにどうぞ!