【A-2-8】本当の理由
>「それだけじゃあ、おてつだいできないの。
> ヴィクトリアさんを信用できるということと、へいおんなくらしをのぞんでいる人たちが
> ヴィクトリアさんの信用する蛮族の人たちを信用できるかって、べつのはなしだよ」
カプリはすぐに、はいとは首を振ることはしなかった。
蛮族であることを聞いて、少し気になったようだ。
「まあ、カプリさんの仰ることも当然ですわ。
父にも話しましたが、あまりいい顔はしていませんでしたし......」
ヴィクトリアは少し断られたことが残念そうであった。
ただ思い当たる節はないことはないのだろう。
父親に相談した時もあまりいい顔はされなかったようでもある。
「でも、私は......成功させたいと思っているのです。
元々彼らは他地方ではそれなりに認められた身でもありますし。
好き嫌いはあれど、彼らの腕前は確かだと思っておりますもの」
ただ、ヴィクトリアはそれでもやり遂げたいと思っているらしい。
その理由は彼らが蛮族ではあっても、腕前を高いと評価しているから。
そして理由はそれだけではなく。
「この街は......コンチェルティアは広く芸術を愛する者たちを受け入れる街です。
そしてこの街ではどんな身分であっても本当に優れていれば相応の名誉が与えられる場所です。
ですが、ヴォルディーク家に悲劇が起きたあの日から少しずつ変わり始めていきました。
近頃は四花祭りでは内容以外にも暗黙にバックについているパトロンの家柄が重視される傾向にありますわ。
でも、そういうのは間違っていると思いますの。
呪われていようと、穢れていようと評価されるべきものは評価されるべきですわ。
カイルだって無事にお姉さんを取り戻したのだし......もうそういうものはこの街に要らないと思います。
だから私は今回のことをやり遂げたいと思っていますの」
本当の理由は以前ヴォルディーク家に悲劇が起きて以降保守的になってきた街を。
かつてあった本来の姿に戻してきたいというのが理由なようだ。
――実際のところは、そんな大それた公的な理由以上に。
カイルたちのことを慮る私的な理由がウェイトを占めている気がしなくもないが。
「でも、カプリさんに頼むは多少早計だったかもしれませんわね。
カプリさんは冒険者であって、この街において責任を負うべき存在ではありません。
何か問題が起きた時に矢面に立たされるのはよろしくありませんわ。
だから、お断りしていただいても問題ございません。
その場合は私が私なりのやり方でやらせていただきます」
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あんみつ@GMより
カプリルート進行です。
一応ヴィクトリアのやりたいことだけ答えておきました。
基本的なスタンスでは「ちょっとした弊害」認識でいいんじゃないかな、って思います。
ただ蛮族である以上、下手なやり方をすればリスクは伴います。
まあよっぽどじゃなければ、悪くても嫌な顔されるレベルでしょうけど。
またヴィクトリアは何が何でもカプリにやってもらいたいわけではないので、
自分からは言いませんが、尋ねたり調べればばわかることに以下のことがあります。
・トゥルー・ソウルズは他地方ではそれなりの実績がある。
(データ的にはいずれかの他地方において例外的存在相当の対応を受ける)
・街の意思決定機関である歌政院においてはどうにかして、トゥルー・ソウルズの来訪を許可済みである。
・街の音楽に関わる人を中心にトゥルー・ソウルズを知らない人がいないわけではない。
・チケットの売れ行きが良くないのは蛮族への恐れなどと同時に、
ヴィクトリアにとって商売事は初めてに近い経験であるから。
お断りするなら別にそれでも構わないので、改めてご宣言をお願いいたします。