【A-3-3】失せ物への対処法
>「えぇ、勿論。
> さ、まずは立ち上がってください。あちらのベンチへ行きましょう?」
話を聞いてくれるのか、と尋ねるアポロに対し。
ヴェンデルベルトはそっとハンカチを差し出しながら彼をベンチの方まで導いた。
「あ、ありがと......」
アポロは軽く目をハンカチで拭ってから、ベンチの方まで向かっていく。
* * *
ベンチに座って泣き言を言うアポロ。
>「そうですねぇ。このままこうしているだけでは、許して貰えないでしょうね」
そんな彼に対してヴェンデルベルトがかけた一言は決して優しいものではなかった。
俯いていたアポロは傷ついた顔をしてヴェンデルベルトの顔を見上げる。
その瞳は――真っ赤だ。
だが、傷つけて終わりのヴェンデルベルトでは勿論ない。
だって彼は小さいタビットの体ではあるが......立派な紳士なのだ。
アポロの背を優しく叩きながら彼は言う。
まずは動かない者が決して許されるはずがないということ。
次に鳥の特徴について......これはもし探すならきっと必要になる。
――そして最後に決めの一言。
>「アポロ君。君はどうしたいですか?」
大事なのは、アポロ自身が動くかどうかである。
彼の出した答えとは......。
「おれ、やっぱりアイリの鳥を見つけたい。
だって......アイリに許してもらいたいもん」
彼の気持ちは固まったようだ。
「えっと、アイリの飼っていた小鳥についてだっけ。
白い鳥だよ、種類は分かんないや。
雲みたいに真っ白なんだ。
目は黒くて、くちばしの先だけほんのちょっと赤いんだ。
かしこいやつでさ、アイリがえさをあげる時間はちゃんとわかってるんだ。
すっごく懐いててさ......なんでいなくなっちゃったんだろ」
アポロからアイリの飼っていた鳥について少し聞くことができる。
ヴェンデルベルトの知識の中に該当する鳥の種類は見つかっただろうか。
類似した特徴を持つ種にスノウホワイトというものがいる。
フェンディル地方の森に主に生息しているという鳥だ。
その名はある物語のヒロインから取られており、懐きやすいが臆病な性格をしているらしい。
「とりあえずおれにできることがあるならやる。
やるったら、やるぞ!」
アポロはすっかりやる気を出したようだ。
もう泣くつもりはないだろう。
さて、果たして鳥はどこへ行ってしまったのか。
近場を探してみるか、遠くへ行ってみるか。
正解はどれであろうか。
* * *
一方、ティキは4番街でベンチに腰掛けているアイリに話しかける。
>「何か探し物?」
突然やってきたティキにアイリは少しびっくりしたようだ。
まんまるくその目を開いている。
ティキはというと、そのままアイリの隣に腰掛ける。
>「ごめんね、今の独り言が聞こえちゃったから。それにあんな顔で走って行くもんだから、どうしてもほっとけなくて」
アイリはびっくりしたようだが、ティキが女性であるからか......。
それほどの抵抗感は抱いていなようだ。
「あ、あなたは......誰ですか?」
ただ、見知らぬ相手の正体を知ろうとしただけ。
>「私、ティキ。ちょっと観光みたいなもので、この街に来てるんだ。本職は冒険者だから、何か力になれるかもしれないよ。―名前、なんていうの?」
その問いに答えるかのようにティキは自らの名を明かし、そして彼女の名を尋ねる。
「わたしですか?
アイリ・ネイヴァーといいます。
はじめまして、ティキさん」
さっきまでぷんぷん怒っていた時の顔はどこへやら。
とても礼儀正しくまっすぐティキの顔を見つめながらアイリも応える。
どうやら少しマセた子なのかもしれない。
「探し物は、ほんのちょっとだけしていました。
でも、もういいんです。
なくしちゃったものにばっか構ってても時間の無駄だもの」
アイリは確かに探し物をしていたらしいが。
もう諦めてしまっているようだ。
でもちょっとだけ、気持ち的には落ち着いてはいないようだ。
だからアイリはティキにこんなことを頼むことにした。
「でも、ちょっとだけ寂しくて悲しくて怒っているんです。
ティキさんって冒険者さんなんですよね。
ちゃんとしたお礼はできないけど頼みがあるんですけど......いいですか?」
アイリは冒険者だと聞いたティキに対して一つ頼み事をする。
その内容は......。
「もしよければ、わたしとデートしてくれませんか?
一人だとなんだかムカムカするし......かといって今は家に帰りたくないんです。
ティキさんが観光をするのならそれにお付き合いしますし。
その......どうですか?」
なんとこのコンチェルティアでデートして欲しいというものだった。
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あんみつ@GMより
ヴェンデルベルトとティキそれぞれのルート進行です。
次回から内容が大きく分かれるのでカテゴリを分割しようかと思います。
アポロはヴェンデルベルトとアイリの鳥を探すつもりのようです。
【分類:生物】に【スノウホワイト】を登録しておきます。
見識判定で14以上を出せば、その鳥について知っています。
ティキはアイリにデートという名の気晴らしに誘われました。
ヴェンデルベルトがアポロを手伝う場合、
またティキがアイリの気晴らしに付き合う場合は、
【分類:コンチェルティア】にある各箇所から、
いきたいところ、調べたいところをピックアップしてください。
勿論現在の場所でやりたいことがある場合は移動しなくても構いません。
他にも何かございましたらお好きにどうぞ(*´∀`*)