1人目
フードの男性はたしかにヴォイス殿だった。
シィノが声をかければ、詳しく語るまえに用件を察する。
>「せっかく来てくれたのに申し訳ないが......俺はまだ宿に向かう気はないんだ。
> もう少しこの街の息吹を感じてから今日のステージに立ちたい。
> ただ君がわざわざ来てくれたことを無駄にはしない。
> そうだな......君にこれを渡しておこう。
> 他のメンバーを全員見つけたらこれを吹いてくれ。
> 君の音が聞こえたら俺は宿の方まで飛んでいこう。
> ――誇り高い翼は残念ながら持ってはいないが」
渡された小さな笛を口に当て、ひゅっひゅ、と吹いてみる。
聞こえているかどうかヴォイス殿に確認して、ポケットにしまった。
>「それじゃあ俺は行こう。
> ああ......そういえばリズムが南に行ったのが見えた。
> 行ってみればもしかしたら会えるかもしれないな」
「ありがとうございます。行ってみます」
メモを出す。
リズム嬢。派手な帽子。
どこにいるか予測できないのだが、南か。
大通りを下って広場を通り、まずは3番街を目指そう。
>「あ、もうひとつ忘れてた」
去ろうとしていたヴォイス殿が振り返る。
>「君は......さっきの歌の名前を聞いただろ?
> 名前なんて全く考えてなかったが、今さっき急に思いついた」
なるほど。さきほどの歌は即興だったのか。
なんとなくヴォイス殿のまとう雰囲気に合う歌だとは思ったが。
少し言葉をかわしてからそれを知ると、あの歌はますますヴォイス殿に似合う。
と、そんなことを考えていたものだから。
>「――シィノヴィア。
> いい名前だと思わないか?」
それが、歌の名前だと理解するまでに時間がかかった。
「もったいない」
たまたま聴いていただけの者の名をつけるなど。
異議を唱えようにも、その背中はすでに遠のいていて。
何もないところから音を見出すような人は、発想も常の人とは違うものなのだろうか。
しかし、気に入った歌にシィノの名を付されて悪い気はしない。
機会があれば、またあとで聞かせてもらおう。
――――PL――――
やだ、ヴォイスくんてばキザ(´ω`*)
恋人の笛&受音器は、宿に戻ったメンバーがいたらネージャ嬢に吹いて知らせてもらうために、買おうかどうかPLが悩んだ物ですなw
まあ、シィノが見つける前に宿へ戻るメンバーはいないだろうと踏んで、買わなかったんですが。
まさかシィノが持たされる側になるとはw
派手派手帽子を出がかりに大通りを南へ。
人だかりができているところ、パフォーマンスとかしてるぽいところをチェックしながら、広場経由で3番街方面へ行きます。