【B-1-1】神を祀る街角
ネージャの依頼を受けてシィノヴィアはまず手近な1番街へと向かうことにした。
白磁のような壁をしたまんまるなホールが見える。
大きな入口の前にはかつての英雄の像が立っている。
歌政院と呼ばれるこの街の運営についての議論が行われる場所らしい。
まあ旅の音楽団が訪れるようなところではないだろう。
もう一つ1番街に存在しているのは幾つかの神殿である。
この街で一番大きな神殿はアステリアの神殿であるようだ。
花や草葉をモチーフとして屋根や壁、柱や扉、窓に至るまで装飾されている。
若干華美にすぎるような気もするが......ここは芸術の街であるゆえだろう。
芸術を愛でたと言われるアステリアの神殿は若い芸術家たちの姿が多くあった。
室内も優雅であるが皆それぞれにその身を飾っている。
彼らにとっては髪や頭部も重要なポイントである。
お洒落な帽子をかぶった者はいたが、少なくともフードを被った者はいないようだ。
他にこの区画にあったのは。
真面目で荘厳な雰囲気が漂うライフォスの神殿。
街の衛兵たちの詰所と隣接するザイアの神殿。
華やかで麗らかなリルズの神殿。
そして少しサイズは小さくなるが暖かくお洒落な雰囲気のニールダの神殿がある。
残念ながらシーンの神殿はこの区画にはないらしい。
話によれば5番街で孤児院と併設されて存在しているとのことだ。
さて、1番街の神殿の幾つかを回って行ったものの。
ヴォイスや、その他のネージャの探し相手の姿は見つからなかった。
最後に残った神殿はキルヒアのものである。
見た目の派手さやインパクト、さらに新しい表現方法などが好まれやすい事も有り、
この街においてトップクラスに信仰されている対象ではないが......。
古典や理論を学び芸術を表現する一派にとっては、交流の場として使われているようだ。
音楽や文学について幾人かで意見を交わしている姿も見える。
そんなキルヒアの神殿の傍で気だるげに座り込んでいる男の姿があった。
大きめなフードを深くかぶっているようでその顔は伺い知れない。
だが壁に立てかけられている大きなケースは楽器のものであろうか。
形状的には弦楽器に類するものであるらしい。
「旅でいろんな街を訪れて剣の力には多少慣れたつもりだが......。
やっぱり嫌なものは嫌なもの、か。
仕方ない......これも俺という存在にとっての宿命というものだ」
どうやら見たところ、少し休憩をしているようだ。
彼はそのままゆっくりと空を見上げて。
「空はいいな......俺も空になりたい。
広くて大きくて......そして自由で気分屋で。
――あ、なんとなくいいメロディーが浮かんだ」
そう呟いてから軽く鼻歌を歌い始めた。
今彼が思いついたものであろうか。
爽やかで軽やかで、でもどことなく切ない旋律だ。
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あんみつ@GMより
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1番街の風景はこんな感じです。
【分類:地名】に【歌政院】を登録しておきます。
残念ながらシーンの神殿は前に出した時にここには設置しなかったのです。
とりあえずキルヒアの神殿付近でフードをかぶった男性を見つけますね。
真偽判定で14以上を出せば、ただフードをかぶっているだけでないと感じ、
彼の素性に若干の違和感を覚えるでしょう。
あとのところについてはおまかせします。
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