【B-1-6】軽薄なシルバー
>「すみません。
> この街で有名な女優がいる劇場はどこですか」
シィノヴィアは4番街を目指しながら尋ねてみる。
「んー、有名な女優か......誰のことだろう。
今ちょうどアステリア第一劇場で、稽古をしている人もいるって聞いたけど」
少なくとも有名そうな女優はアステリア第一劇場というところにいるらしい。
もしかしたらスラップもそこにいるのだろうか。
* * *
アステリア第一劇場は4番街の中心にある。
幾つか存在する劇場の中でも最も古い建物であり、
<大破局>からほどなくして復興のシンボルとして修繕されたようだ。
その名の通り、この街で主に信仰されているアステリアに捧げられた劇場でもある。
見た目も若干荘厳で神聖な感じがするのも、そのためだろうか。
「ほんと君は......最高だったよ」
劇場がもうすぐ目の前に来るかというとき。
メインロードから少し入った路地の方から歩いてくる二つの影があった。
露出度の高い青い踊り子衣装を身につけた可憐な女性と。
長い銀色の髪をした人物。
すらりとしたスタイルの事も有り、女性のようにも見えなくもないがその立ち振る舞いは男のものである。
「じゃあ、これからも頑張って。
君なら大丈夫さ、だってこのオレをこんなにも夢中にさせているんだから。
......オレは君の咲かせた赤い花を決して忘れない。
いつまでも応援してるぜ、愛しのマイハニー」
背中から腰にかけて回した手をそっと抱き寄せて。
女性の頬に軽いキスを。
顔を少し赤らめている彼女からゆっくり手を離し、銀髪の男性は送り出す。
赤い衣装の女性は軽く頭を下げてから、シィノヴィアの傍を通り過ぎていった。
さて、そうやって一人になった男性は、一旦もときた道へ引き返そうとして。
――途中で何かに気づいたかのように振り向いた。
そのままシィノヴィアのすぐ傍まで駆け寄ってくる。
「オレとしたことが、危うく大きすぎるミスを犯すところだった。
君の、君だけの魅力を見落としてしまいそうになるなんて」
つまるところ、彼は遠目だとシィノヴィアを男性と勘違いしたのだろう。
しかし、ちゃんと判別をつけてわざわざ戻ってくるあたり、ある意味流石というところか。
「オレはスラップ。
流浪のミュージシャンさ。
よかったら君の名前を教えて欲しいな。
――オレの全てに刻み込んでおくから」
彼こそが、スラップである。
ネージャやリズムが言っていたのはこういうことなのだろう。
彼の視線は熱い。
「それにしても、一日で二人も素敵な女性に会わせてくれるなんて。
オレは今日は月の女神に感謝しながら眠らないといけないな。
――君もオレの部屋で一緒に祈りを捧げるのはどうだ?」
どうやら他にシャドウの女性と顔を合わせているそうだ。
ついでにシィノヴィアに対して熱烈なアプローチをかけてくる。
「ああ、でもその格好だと君は冒険者かな。
もしかして今お仕事中だった?
それならごめん、謝るよ。
デートも君の仕事が終わってからで構わないぜ。
オレは......君のためならスケジュールを開けておくのを厭わないからさ」
とりあえず何らかのアクションを起こさない限り、彼は諦めないだろう。
ちょっと断るくらいではあの手この手で攻めてくるだけだ。
必殺技があるなら、面倒でないうちに繰り出すのも構わない。
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あんみつ@GMより
シィノヴィアのルート進行です。
現在は4番街の劇場前まで移動しております。
【分類:地名】に【アステリア第一劇場】を登録しておきます。
シィノヴィアがいるのはこの劇場へ至る道のそばです。
【NPC:男性】に【スラップ・ブラッディ】を登録しておきます。
スラップからモーションをかけてきていますが、
対処についてはシィノヴィアらしく返して頂ければ問題ございません。
その他の部分についてもお好きに描写されて構いません。