【B-1-7】剛は柔を制す
>「シィノはシィノヴィア」
名前を聞かれたシィノヴィアは素直に応えた。
彼女がまず答えてくれたことにスラップは満足そうに頷いて。
「そうか......シィノヴィア。
飾らないようでいて、それでいて女性らしさを忘れないいい響きだ。
きっとセンスのあるご両親だったんだろう。
是非挨拶に行かせてもらいたいな」
まあ彼からしたら素直に気持ちを吐露しているだけだろう。
シィノヴィアの親や故郷について、彼が知るはずもないのだから。
>「宿はもう決まっているので。
> しかし、シーン様に感謝するのはいいことです。
> できれば"今日は"などと言わず、毎日でも」
「そうだな、君といつまでもいられるなら。
オレは毎日どころか毎秒だって感謝し続けても構わないぜ」
そんな感じで止めどなくアプローチをかけていたスラップであったが。
>「ありがとうございます。
> では、これから艶花亭へ行っていただけますか。
> ネージャ嬢がお待ちです。
> お暇であれば、ソリッド殿とプレイヤ嬢を探すのを......
> いえ。宿で待っていてください」
そんな風にネージャが艷花亭で待っていることを告げると。
「仕事ってもしかしてネージャからなわけ?
申し訳ないな、君みたいな娘にそんなつまらない仕事をやらせちゃって。
そんなくだらない仕事なんて後回しにしてオレともう少し話そう。
――オレがシィノヴィアを心から楽しませてやるから」
スラップから返って来た答えはこんなもの。
つまるところ、まだ艷花亭には向かいたくないというわけだ。
同じ女性でもネージャは多少彼からして扱いが違うようだ。
「別にオレはどんなことでもいいさ。
食事でも観光でも、お仕事でも、勿論ベッドの上でも。
君と一緒にいられることができればそれだけで充分」
先程のシィノヴィアの願いだけでは言うことを聞かないスラップ。
だが、彼女はスラップたちの関係性において少しだけ知っていることがある。
>「ここへ来る前、リズム嬢に会いました。
> 先に戻っていると思うので、あまり待たせないほうがよろしいかと」
その名前を出せば、スラップは一瞬だけショートする。
ちょっとだけもともと青白い肌の血の気が引いて見えた。
「は、リズム......?
あいつもう帰ってんの?
無駄に人情派っていうか、いい子ぶるっていうか......そういうところあるからなあ」
やっぱりリズムに対してはちょっと思うところがあるらしい。
「でも、あいつ馬鹿だから......オレが遊んでても気づかないだろ。
けどなあ、ちょっと暴力は喰らいたくないな」
シィノヴィアやさっきの女性とは違って、リズムに対しては遠慮がない。
ある意味それが親しさ、仲間らしさの表れとも言えるのだろうか。
ただ彼には彼なりの鬱憤が溜まっていそうではあるが。
「はあ......帰るか......」
大げさすぎるほどに方をがっくりと落とすスラップ。
逡巡した結果、帰ることに決めたようだ。
シィノヴィアにとっては朗報だろうか。
「ネージャの手伝いしてるって言うんなら......。
シィノヴィアは当然オレたちのステージを見に来てくれるんだろ?
そん時はオレだけ見てて欲しい、他の奴らなんてどうでもいい。
オレもシィノヴィアのためだけに弾くぜ。
そしてステージが終わったら二人で夜を過ごそう」
去り際に軽く投げキッスをしてからスラップは東へ向かう。
一応2番街のある方角である。
おそらく彼は艷花亭に向かってくれることだろう。
――さて、これで残ったのはヴォイスを除いて二人だ。
ネージャ曰く、共に行動していそうとのことだが。
いったいこの街のどこにいるのだろうか。
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あんみつ@GMより
シィノヴィアのルート進行です。
リズムの名前を出せばスラップは艷花亭に戻ります。
これで二人目ですね。
毎度のことですが、シィノヴィアが行く場所を【分類:コンチェルティア】から選択してください。
向かうエリアは隣接しているところでなくとも構いません。