【B-1-9】蕾揃う街へ
>「1番街に行きましたが、こちらにあると聞いて来ました」
5番街にあるシーンの神殿でシャドウの神官に声をかけられたシィノは応える。
「なるほど、わざわざいらしてくださったのですね。
あなたの祈りはきっとシーン様に届くことでしょう」
その口ぶりは相も変わらず穏やかであるが。
彼女はシィノヴィアの言葉を聞いてなかなかに嬉しそうだ。
彼女に案内されるがままに、神殿内に向かっていったシィノヴィア。
奥でシーンの聖像に祈りを捧げてから表に出てきた後。
>「失礼します。人探しの途中で、寄らせていただきました。
> この街で、『新しい芸術』はどこにありますか」
先ほどのシャドウの神官を探して新しい芸術について尋ねた。
「新しい芸術ですか?
それならば......6番街で見られると思われます。
あの区画は各地から若い芸術家が訪れる場所ですから」
シャドウの神官はあまり考えもせずにシィノヴィアに6番街を勧めた。
この街で新しい芸術といえば、6番街を想像するのが当然なのかもしれない。
少なくとも若い芸術家たちが集まる場所とのことである。
リズムやスラップらも比較的若く見えたので、彼らの仲間である二人も若いかもしれない。
であれば、彼らもそこにいるかもしれない。
「5番街から6番街まではすぐですから、迷うことはないかと思いますが。
せっかくですし、ご案内させていただきますね。
ちょうど軽い散歩にでも出ようかと思っていた頃ですので」
シャドウの神官の女性はシィノヴィアを案内してくれるらしい。
彼女の言葉からすれば、散歩のついでらしいが。
* * *
「その格好からして、冒険者でいらっしゃるんでしょう?
先程あのような質問をされたからにはこの街の方ではないと思いますが。
どのようなご用事でいらっしゃったのですか?」
二人は住宅街を横切っていく。
のどかな空気感がただただ流れていくのを感じる。
「シーン様を信仰されていらっしゃるのですね。
私も両親を幼い頃に戦で失い彷徨い歩いていたところを拾われて以来......。
あの神殿で全てを捧げて生きています」
歩いていくと少しずつ賑やかになっていく。
街の向こう側からの音が漏れ出しているのだろうか。
「私は人はそれぞれ全てを捧げる対象があると思います。
それが力であったり、知恵であったり、富や名誉であったりするのでしょう。
私にとってはシーン様の教えが全てです。
あなたにもきっと全てを捧げられるものがありませんか?
もし今はなくともきっと導かれることでしょう。
それは誰かであったり、あなた自身であったりに......」
前方の色彩が色鮮やかになっていく。
もうすぐきっと、たどり着くことであろう。
「ここから先が6番街になっています。
では、私はここまで。
またいつか神殿によっていただけると嬉しいです」
彼女はそう言って曲がり角を曲がっていった。
シィノヴィアはまっすぐ進んでいけば......。
* * *
6番街にたどり着く。
見た目の華やかさというより派手さにおいてはどの街よりも強烈だ。
ヘンテコな格好をした人々。
鳴り止まぬ合唱、合奏、喧騒。
前衛的なアトリエの姿。
これらがいずれはこの街のように花開くのかどうか。
それは神すらも知りえないかもしれない。
「なかなか勉強になりましたね。
......正直言うとちょっとついていけないとこもあったんですけど」
「そう......?
意味がわからないのも......それはそれで面白かったわよ」
向こう側からこちらに向けて歩いてくる二人の姿がある。
青髪の青年と赤髪の女性だ。
「まあ、プレイヤさんの感性も結構独特ですからね。
というかはっきり言いますと、僕とネージャさん以外は変ですから、みんな」
「そんなこと言ってるけど......。
ソリッドもヤバイ時は怖いくらいにヤバイじゃない」
「いやいや、そんなことないですってば」
「本気......?」
前方から来る二人からよく知ってる音が聞こえてくる。
ようやく見つけられたのだろうか。
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あんみつ@GMより
シィノヴィアルート進行です。
5番街から6番街に向けて進行させました。
それぞれの場面での会話はご自由に!