歌風
シィノヴィア(紫乃) [2016/05/15 21:09:43]
フードのついたローブ姿の者が多いのでは、という考えは杞憂だった。
この街で有力なのはアステリア神らしく、この区画でも着飾った者が多い。
頭部も、きれいに整えた髪を見せているか、洒落た帽子をかぶった者が多く、フードという簡素なかっこうの者はいない。
いくつかの神殿を回ったが、ネージャ嬢の探し人は見あたらない。
それから、シーン神殿も。
途中で人に尋ねると、べつの区で孤児院と並んでいるらしい。
あとで訪ねよう。
最後に訪れたキルヒア神殿は、ほかと違って落ちついた雰囲気の建物だった。
人が多くにぎやかなほかの神殿と違い、何か熱心に言葉を交わす声が小さく聞こえるだけ。
そこで、ようやくフードをかぶっている者を見つけた。
側には、何やら大きな荷物がある。
大きさは違うが、形はアルフェイト殿が使う楽器のケースに似ている。
静かな場所を好む、フードをかぶった音楽家。彼だろうか。
フードは大きくゆったりと頭を覆っているが、角があるかもしれないと思って見てみると、たしかに少し形が歪かもしれない。
確かめるために近づいていくと、その人は鼻歌を歌いだした。
邪魔をしてしまうようで、なんとなく声をかけづらくなった。
しかたないので、建物に寄りかかって待つ。
目を閉じて聞くその音は、耳に心地よく流れていく。
風のようだと思う。
―*―*―*―
彼の歌がひと段落したところで、改めて近づいた。
「いい歌です。なんという曲ですか」
ああ、まずは名乗らなければ。
「失礼しました。シィノはシィノヴィア。
人を探しています。あなたはヴォイス殿ですか」
――――PL――――
フードの彼がヴォイスさんだと確認してから、ネージャ嬢からの伝言渡します。
21:09:13 紫乃@シィノ ≫ 真偽判定 2d6+8 <Dice:2D6[2,4]+8=14>