じわじわ近づく
>「なるほど、シィノね、ありがとう。
> んで、あたしの楽器だっけ?
> 見てもらえばわかりやすいんだけど、あたしボキャブラリー少ないからな。
> とりあえず、太鼓みたいなものかな」
「太鼓」
試合などのドラならわかるが、音楽に使うものはよくわからない。
ただ、なんとなく似合うと思った。
「きっと、力強くて軽やかな音でしょう」
リズム嬢はこのまま艶花亭へ行ってくれるようだ。
別れる前にほかのメンバーのことを訪ねると、答えてくれた。
ソリッド殿とプレイヤ嬢は、新しい芸術のあるところ。
芸術の新旧は見分けられない。
この街に該当する場所があるかどうか、街の人に聞いてみなければ。
スラップ殿に関しては......。
「女性のところ」と言うが、街の人の半分は女性だ。
本当に女優とやらに会いに行っていることを願う。
>「あ、でもスラップに会うときは気をつけてね。
> あいつ、マジで見境無いから。
> シィノも見た感じ全然悪くないし、たぶん絡まれると思うよ。
> そうだなあ......もし困ったらさ。
> スラップにあたしがこう言ってたって伝えといて」
「はあ」
シィノはこのようなかっこうなので男性に間違われることもあるくらいだ。
そもそも、これだけ華やかな姿の女性が多い街で、
わざわざ愛想のない(自覚はある)シィノに構う物好きはいないだろう。
しかし、リズム嬢の好意はありがたい。
何らかの理由で艶花亭へ行くのを渋られたときにも役に立つだろうと思い、
「ぶん殴る」という不穏な合言葉を黙って受け取った。
>「んじゃ、あたしは艶花亭に向かってるから。
> 後でシィノも来るんでしょ?
> そん時、またなんか話そう」
「はい。後ほど」
小さく手をふり返して、リズム嬢の姿を見送った。
さて、次はどこを探す。
メモを見てみると、隣の4番街は劇場が多く集まっている場所。
まずは「女優」という手がかりから追ってみようか。
「すみません。
この街で有名な女優がいる劇場はどこですか」
街の人に尋ねて、行き先を決める。
そろって行動していると思われる赤と青の2人はともかくとして、
スラップ殿は女性にも見える外見をしているようなので気をつけて探さなければ。
――――PL――――
ちょうどお隣ですし、4番街へ行きましょう。
道順をちゃんとしたほうが、シィノが街を歩いてる感があっていい。