【B-3-1】寄り添う家
>「ええ、その意気ですよ。では手始めにアイリさんのお家を訪ねてみましょうか。
> 餌の時間を覚えているなら、いつも食べている餌を少し頂いておきたいですし」
アポロの志を聞き、ヴェンは次の目標を定めた。
まずはすぐ近くにあるだろう、アイリの家を訪ねてみることにしたのだ。
「アイリの家に行きたいの?
じゃあ、おれが案内してやるよ!
ほら、ついてこいよな!」
その旨をアポロに告げれば、張り切った様子でアポロは5番街をダッシュしていく。
まあ子供の速さ故、タビットであるヴェンデルベルトでもまったく追いつけないというほどではない。
* * *
公園から出ていくらか曲がった先にある隣に並ぶ二軒の家。
これこそがアイリとアポロの家なのだという。
建物や敷地の構造などは彼らの家はよく似ている。
周囲の家も同様なことから、おそらく同一の建築家にここら一帯は作られたのだろう。
ただアポロの家は青系の屋根で庭に遊び道具やボールのようなものが置かれている一方。
アイリの家は赤系の屋根で庭には花壇が多く扉の横には可愛らしい表札がついているなど、違いはある。
「アイリの家は、こっちな。
そっちはおれの家だから」
アポロに促されるままついていけば、彼は慣れた様子で入口のベルを鳴らす。
奥の方からはあい、と女性の声が聞こえたあとしばらくすれば......。
玄関が開かれて少しふくよかな女性がお洒落なエプロンをつけて顔を出す。
「あら、アポロ。
さっきはごめんね、アイリが酷いこと言ったみたいで。
あの子、シュガーのこと大切にしていたみたいだから」
女性の正体はアイリの母親であったようだ。
どうやらアイリがアポロにとった態度を少し気にしている様子だ。
少なくとも、アポロに対して不機嫌な態度をとることはなかった。
「ううん、おれが悪かったから仕方ないよ。
おれ、ちゃんとあの鳥を一緒に見つけて......アイリに返して仲直りするんだ」
アポロも彼女に対してだいぶ親しい様子だ。
おそらく近い年頃の子を持つ隣同士、家族ぐるみの付き合いというやつなのだろう。
「一緒に......?
あなたはもしかして......フィンさんかしら?」
アポロの一緒に、という言葉で初めて彼女はヴェンデルベルトに意識を留めたらしい。
どうやら少し勘違いをしているらしいが。
「ううん、違うよ。
こいつはヴェン......なんとかっていうんだ」
アポロはそんな間違いを訂正しようとするが......。
残念ながら名前の全ては覚えられなかったらしい。
「あら、そうなんですの。
すみません、人違いをしてしまったみたいで。
私はアイリの母のイリアと申します。
アポロが探すのを手伝っていただいているんですね。
ありがたいことですが、もしかしてアイリ共々ご迷惑をおかけしていないかしら?
私たちでできることがあればもちろん手伝わせていただきますよ」
アイリの母、イリアに訪ねたいことや協力してほしいことがあれば言ってみればいいだろう。
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あんみつ@GMより
こちらヴェンデルベルトの新しいカテゴリです。
これからはこちらに投稿をどうぞ。
ひとまず5番街のアイリの家の前に場面を移しました。
【NPC:女性】に【イリア・ネイヴァー】を登録しておきます。
餌はきっと求めれば渡してくれることでしょう。
他にも聞きたいことがあれば答えてくれます。
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