【B-3-2】餌を片手に
>「なるほど。良いお家ですね」
アイリやアポロたちの家を眺めながらヴェンデルベルトは感想を漏らす。
アポロはその言葉を若干不思議に思ったらしく。
「そうかなあ?
ずっと見てるからよくわかんないや」
というようにぼやいた。
* * *
赤い屋根の家から出てきてヴェンデルベルトたちを出迎えてくれたのは。
イリアと名乗る一人の母親であった。
>「初めまして、ご婦人。ヴェンデルベルト・S・ライゼトラウムと申します。
> アポロ君のお手伝いをしております。ヴェン、で結構ですよ」
彼女に対してヴェンデルベルトも礼儀正しくご挨拶。
イリアも彼の動きに合わせて再度一礼。
「じゃあ、おれもヴェンって呼ぶ!」
そんなところに口を挟んできたのはアポロである。
名前を覚えきれていなかったから、ちょうど良い機会だったのだろう。
>「ありがとうございます。いえいえ、迷惑なんてとんでもない。
> では、よろしければ小鳥がいつも食べていた餌を頂けますか?
> それから、いつもの餌の時間と言うのを教えていただけますか?」
アポロとのやり取りのあと、改めてヴェンデルベルトはイリアにいくつか頼み事をする。
一つは餌を受け取ること、もう一つは餌の時間を知ることだ。
「ああ、探すのに餌が必要なんですね。
ちょっとだけ待っていてくださるかしら?」
そう言うと玄関の中から少し奥にある棚をイリアは探し出す。
側には何もいない鳥かごのようなものが見える。
おそらくあそこにシュガーがいたのであろう。
棚から戻ってきたイリアは小さな木箱を手に持っていた。
「これが、よくアイリがシュガーにあげていた餌です。
さあ、どうぞお持ちになってください。
少し白い色をしているでしょう?
シュガーは白い色が好きなんです、近しいものを感じるのかもしれませんね。
それと、餌を与えていた時間は......そうですね。
次はお昼と......夕方頃です」
イリアは手にした木箱をヴェンデルベルトに託す。
この中にシュガーのための餌が入っているのだという。
「それでは、ヴェンデルベルトさん。
アポロとシュガーのこと頼みましたよ。
アイリが......うちの子がまた笑顔になれること、期待しています」
ヴェンデルベルトとアポロの二人はイリアによって見送られていった。
* * *
再び5番街の街並みに戻ると。
幾人か散歩をしている人たちの姿が見える。
犬を連れている者もいるようだ。
適当に話しかければ答えてくれる人がいるかもしれない。
――ただ一個だけ気になることがある。
あんだけ意気込んでいたアポロが、随分と大人しいのだ。
ふと隣にいる彼の顔を覗き込んでみれば。
その瞳は――赤く染まっていた。
「白い......大きな鳥......」
アポロはゆっくりと口を動かして言葉を紡いだ。
その調子はさっきまでの彼に比べて大人びているというか、神秘的だった。
「ん、どした......ヴェン?」
だが、次の瞬間には彼の瞳は茶色に戻り。
喋り方も年相応の子供らしいものになっていた。
「とりあえず聞き込みでもしよーぜ!
へへ、ちょっと探偵にでもなった気分だな」
アポロの表情は少し楽しげだ。
アイリに怒られて泣いていた頃の彼はどっかにいったらしい。
今はアイリのために、そして何より楽しむために、小鳥探しをしたいようだ。
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あんみつ@GMより
ヴェンデルベルト進行です。
【分類:道具】に【シュガーの餌】を登録しておきます。
ヴェンデルベルトは受け取っていくことができますね。
一時的にアポロが予言の力を発動します。
詳細はアーリーバードの頃と同じです。
5番街にはいろんな人がいます。
お好きな行動をどうぞ。