気になる行く末
ヴォイスと呼ばれた彼は語る。
翼など、良いものではないと。呪いのようなものなのだと。
それがあるだけでは自由に羽ばたけたりはしないのだと。
けれど、今の自分があるのはそれのお陰でもあるのだと。
呟くように、知っていたけれど意識していなかったことが口から出て来た、という様に。
人には歩んできた道がある。それは『人』でないものであろうと同じなのだろう。
「行くぞー、それ!」
「はい、任されましたよ」
アポロ君と協力して、小鳥は無事に鳥かごに入れる事が出来た。
「よっしゃー、やった、やったぜ!
行くぜ、ヴェン、ハイタッチだ!」
「やりましたね。ハイタッチ、です」
アポロ君に合わせて両手を上げると、勢いよく打ち鳴らされた。
こちらは肉球があるので、人同士のようにパチンと良い音はしなかったが、それでも気持ちの高揚を表す事は出来ただろう。
「ヴォイスさん、本当に有難うございました」
小鳥は彼と相当に離れがたかったらしく、鳥かごに入れる際にもそれが大変役に立ってくれた。彼がいなければまたおいかけっこが始まっていたかもしれない。
アポロ君のはしゃぎようにどれだけ探していたのか察したらしい彼がこちらに差し出したのは、2枚の紙。
受け取ってみてみると、どうやらどこかの楽団のチケットのようだ。
「トゥルー・ソウルズ?」
はて、どこかで聞いたことがあったような?
私が脳内の情報を検索しているうちに、ヴォイスさんは行ってしまった。
トゥルー・ソウルズトゥルー・ソウルズ。
あぁ、そうだ。珍しい編成の楽団と言われていたはずだ。確か、ラミア、ライカンスロープ、ウィークリング、ラルヴァにドレイク。
『穢れなどに屈しない真に強い魂』を持つという自負がある5人組の楽団だ。
どうやらコンチェルティアに来ていたらしい。
「じゃあ、あとはシュガーをアイリの家に返すだけだな!
ほらほら、早く行こうぜ!」
思い出したことに満足していると、アポロ君に急かされる。
「はい、では行きましょうか。小鳥を脅かさないようにそっと持ってくださいね。
それからこれを」
鳥かごとヴォイスさんに渡されたチケットをアポロ君に渡して。
「お詫びついでに誘ってみては如何ですか?」
公演は夕方かららしいが、この辺りの人ならば楽団の公演に行くのは珍しくないことであろう。
保護者が必要であるというならば、自腹を切っても惜しくはない。
その程度には私はその珍しい楽団の公演を聞きたいと思っていたし、アポロ君とアイリ嬢の行く末を見守りたいと思っていたのだった。
(U*´ω`)若人はデートしたらよいでのす。
22:52:01 柑橘@ヴェン 【トゥルー・ソウルズ】 2d+10 Dice:2D6[4,5]+10=19
23:07:55 柑橘@ヴェン ドレイク! 2d+10 Dice:2D6[4,1]+10=15
23:16:04 柑橘@ヴェン ライカンスロープ 2d+10 Dice:2D6[2,3]+10=15
23:16:10 柑橘@ヴェン ラミア 2d+10 Dice:2D6[5,5]+10=20
23:16:22 柑橘@ヴェン ウィークリング 2d+10 Dice:2D6[2,3]+10=15
23:20:33 柑橘@ヴェン ラルヴァ 2d+10 Dice:2D6[4,3]+10=17