【C-4-3】栄光ある守護精
>「すごいね、美術館並みだよ。寄ってよかったかもね」
神殿の中の造形を眺めながらティキは感嘆の声を漏らす。
「はい、この神殿はコンチェルティアの自慢の一つですから。
街の芸術家さんたち勿論よく来ますけど。
観光客の皆さんもわざわざ立ち寄っていかれるんですよ?」
ティキに応えるアイリの表情は誇らしげだ。
この街の人々にとってアステリアの神殿は大切な宝物なのだろう。
* * *
さて、神像の傍でダフネから話があると告げられたティキであった。
気になるのはアイリの処遇についてだ。
彼女は少しだけ考えたあと......。
>「構わないけれど、ではその間この子を預かっていてほしい。お茶とお菓子でも出してあげて欲しいな」
アイリを少しの間預けておくようにしたようだ。
「......え。
そんな、ティキさんひどいですー!」
置いていかれるという言葉だけを聞いて。
ティキの服の裾を引っ張って抵抗しようとするアイリであったが。
>「私に会いたい人がいるんだって。ちょっと話を聞いてくるから、しばらく待っていてね」
ティキが改めてアイリに話しかけると。
少しだけ床の方を見ながらではあるものの。
「わかりました。
あまりティキさんにご迷惑おかけしたくないですし。
でも......でも、なるべく早めに帰ってきてくださいね!」
ひとまずティキと離れることを了承してくれた。
傍にいた女性の神官に付き添われて、来客用の部屋まで向かうようだ。
アステリアの女神像の前に残っているのはティキとダフネ、あと鳩が一匹。
「それでは、私たちも参りましょうか」
まず一番最初に口を開いたのはダフネであった。
彼女はティキをある場所へ連れて行くようだ。
ダフネが移動すればまるで当然のことかのように鳩もついていく。
聖像の更に向こう側にある扉。
その奥へと......。
* * *
扉の向こうはあまり広くはないが。
外からの光が美しい色とりどりの硝子模様越しに差し込む清浄な部屋であった。
「ここは......栄光の間と呼ばれております。
この部屋には......コンチェルティアの守護精がおります。
その守護精こそ......」
「――私よ」
ダフネがこの栄光の間について説明してくれる。
その栄光の間にいるという守護精こそ。
ティキがここまで追いかけてきて、今天井めがけて羽ばたいている透明の鳩である。
眺めていれば透明の鳩の内側から金色の光が広がり。
光の中で鳥の姿は人の姿へと変わっていく。
透き通る乳白色の白い肌。
髪の色は光にきらめく栄光あるゴールド。
そして背中には妖精であることを主張する宝石細工のように美しい翅。
光の中に現れたのは、女性型の妖精の姿だった。
「私はグローリア。
神代からの盟約において、この地を穢れから守っているわ。
......まあ少し昔みたいなあまりにも強大すぎるものだとどうしようもないけれど」
彼女の名前はグローリア。
その風貌や力からして、光の妖精に類する者であろう。
グローリアはコンチェルティア周辺の守護精として街を守り続けているらしい。
流石に第二の剣が使われたかもしれないと言われる<大破局>では力が及ばなかったようだが。
「貴女、街の中で私のことが見えていたでしょう?
そのことがとても気になっていたのよ。
透明になった私を感知できるとしたら......そうね。
私か私に似たマナの流れを知っている者だけだから」
ティキは気づいていたかわからないが。
透明な鳩の姿で空を飛んでいたグローリアはティキが追いかけていることに気づいていたようだ。
本来グローリアを追いかけることなどできないはずのため、気になったらしい。
「でも、さっき実際に貴女に近づいてみてわかったわ。
貴女には僅かだけどテンペストの魔力の残滓がある。
そのお陰で私の姿を曖昧にでも捉えることができたのね。
テンペストと私はそうね、姉妹みたいなものだから。
私、テンペスト......そしてあと一人はアステリア様に生み出された三剣の精なのよ」
グローリア曰くテンペストと彼女は姉妹のようなものらしい。
先ほどの絨毯に絵が書かれていた三精がそれであろうか。
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あんみつ@GMより
ティキルート進行です。
アイリは預かられました。
【NPC:女性】に【グローリア】を登録しておきます。
あとの部分はお任せしちゃう。