【C-4-6】はじめにもどる
>「ごめん、ちょっと寄らせてもらうね。買いたいものがあったんだ」
アイリおすすめの菓子屋に至る道中。
服飾店を見つけたティキは少し寄っていくことにした。
>「丁度帽子が欲しいと思ってたんだよね。ほら、アイリにも」
その店でティキが購入したのは二つの帽子だった。
黒い帽子は自分のために。
もう一つの白い帽子は......。
>「プレゼント。セットで買って安くしてもらったし、お金は気にしないで」
アイリの頭にちょこんと被せてやる。
彼女は両手を挙げてつばの部分にそっと触れてから。
嬉しそうにティキに向けて笑った。
「いいんですか、嬉しい!
えへ......ティキさんとお揃いだ......へへへ」
アイリは帽子を深く被りながらくるりと一回転する。
その表情はとても満足そうだ。
ティキとお揃いで、大人な気分を味わっているらしい。
>「あなたもどうかな。これなんか似合うと思うんだけれど」
ティキはグローリアにも声をかけてみる。
手近な場所に彼女に似合いそうな帽子を見つけたのだ。
「ふふ、ありがとう......でも遠慮しておくわ。
私はあんまり帽子というものが好きでないの。
せっかくの日差しは、浴びないと損というものでしょう?」
グローリアは残念ながら帽子が好きではないらしい。
その理由は光の妖精らしいものかもしれないが。
* * *
席に着くと早々、グローリアはアイリにおつかいを頼む。
>「もちろん。―アイリ、悪いけどお願い。支払いもその方が混まなくていいしね......あ、お菓子はアイリのセンスにお任せするよ」
ティキもアイリに頼むことにしたようだ。
グローリアの気持ちを汲んだとも言えるだろう。
「任せてください!
美味しくて可愛いの選んできますからね!」
二人に頼まれたアイリはとても張り切っているようだ。
グローリアから財布を受け取って、商品が陳列された棚の方へと向かっていく。
グローリアは軽くアイリの行動を見届けたあと。
「ティキ、貴女に一つ頼みがあるの。
私にはこの地を守る役目があることは言ったでしょう?
例えば、私は穢れの動向を常に見張っているの。
だからつい最近、私は幾つもの穢れがこの街に入ってきたことを感じた。
僅かばかりの穢れなら多いとは言わないけれど、この街にも以前から見られたわ。
......でも今回のものはそれよりも少し濃度が高かった」
グローリアがティキに話したこと、それは......。
最近決して弱くない穢れが、幾つか街に流れ込んできたことについてだった。
ティキには心当たりはあったりするのだろうか。
「そこでテンペストの知り合いで冒険者である貴女に頼みががあるの。
出会うことがあればその穢れがこの街にとって害となるかどうか確認して欲しい。
ただ、もし害があった場合でも貴女は何もしなくてもいいわ。
教えてくれるだけでいいの、対処するのは私たちの仕事だから」
そんなことを話していたらアイリがトレイを持って戻ってくる。
三つのお皿の上には焼き菓子が一つずつ乗せられていた。
「貴女の気持ちに任せるわ。
どうするか、全てをね。
......じゃあアイリちゃんが持ってきてくれたお菓子頂くわね。
ありがとう、噂の通り可愛らしいわね」
グローリアが取ったお皿に乗っていたのは、蝶の形をしたケーキだ。
どことなくレモンの香りがするそれは、見方によっては妖精の羽に見えるかもしれない。
「はい、とても可愛くて美味しそうです。
ティキさんにはこれ、どうぞ!」
アイリが差し出したのは可愛いお皿と上にちょこんと乗ったケーキ。
ぶどうの匂い香る紫色のデフォルメされたドラゴンの形だ。
「どれがいいか迷ったんですけど。
ティキさん竜が好きって言ってたし。
あ、でも食べるのは......ちょっと違ったでしょうか?」
そう話すアイリの目の前のお皿にあったのは。
白い鳥の形をしたお菓子だった。
* * *
「うん、程よい酸味と甘味で大人の味だったわ。
さすがアイリちゃんね」
グローリアが食べ終えた感想を述べる。
それを聞いたアイリは恥ずかしそうにはにかむ。
ティキが食べたケーキもぶどうの味が程よく。
甘すぎないしっとりとした風味であったことだろう。
「私のも、美味しかったです。
砂糖が甘くて、それに可愛い鳥の形......」
そこまで口にしたところでアイリは話すのをやめてしまう。
なにか思い出したようで、悲しそうな表情だ。
「シュガー、どこに行っちゃったの?。
もしかして、帰ってたりとか......しないかな」
やっぱりシュガーのことを。
飼っていた小鳥のことを思い出したのだろう。
「ねぇ、ティキさん一度家の方まで戻ってみてもいいですか?
シュガーったらお腹がすいて帰ってるかもしれないし」
アイリはこの店を出たら5番街に戻りたいという。
あまりシュガーが帰っている可能性は高くないだろうが。
鳥の形のお菓子を食べてしまって、抑えてた気持ちが表に出てきてしまったのだ。
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あんみつ@GMより
ティキルート進行です。
帽子はアイリは受け取ってくれます。
グローリアは帽子は好きじゃないようですね。
お食事についてはお好きにどうぞ。
ケーキの形についてはアイリが適当に選びました(・∋・)
食べ終えた後アイリは5番街に帰ってみたくなったようです。
どうするかはティキにおまかせします。