【C-4-7】喧嘩するほど仲がいい?

 GM(あんみつ) [2016/06/18 22:07:24] 
 

グローリアがティキに話したかったこと。
それはコンチェルティアに入り込んだ穢れの集団についてだ。

>「......実はその穢れの正体について、もう心当たりがある。今この街に蛮族の楽団が来ている、そして私はその公演のチケットを持っている。見極める機会があるんだ」

ティキはその集団について心当たりがある旨を告げ。
ステージを見に行くことで彼らについて見極められる機会があることも。

「蛮族の楽団か......純粋に音楽をやるために来ているのならいいけれど」

グローリアの口調はどことなく心配そうだ。
それだけこの地を守りたいという意思があるのだろう。

そうこうしているうちにアイリが戻ってきて。
ティキには葡萄味のドラゴン型のケーキを持ってくる。

>「アイリ、知ってたの?いや、知ってるはずないけど。ニコデムスは--私の竜は、紫紺の鱗なんだ。これ、私にぴったりだよ」

「え、そうなんですか?
 わたし......たまたま選んだだけなんですけど......。
 これでティキさんが喜んでくれるなら、嬉しいです!」

ティキの言葉を聞いたアイリは、嬉しそうに頬を染めた。
一方、ティキからグローリアへ向けられた合図はちゃんと彼女に伝わったらしく。
グローリアは「頼むわね」と音を出さず、口を動かしただけで返した。

   *   *   *

美味しいケーキの時間を過ごしたはずが。
アイリの表情は明らかに暗い。
どうやらシュガーのことを思い出したらしい。

>「いいよ、戻ってみよう。一度親にも顔を見せておかないと、昼も帰らず出歩いちゃったから心配しているだろうしね」

もしかしてシュガーが戻っているかもしれない。
そんな僅かな望みから5番街の家に帰りたいとアイリが語れば。
ティキは一旦アイリの家に向かうことに承知した。

「ティキさん......ありがとうございます」

まだ晴れない顔でアイリは感謝の意を示す。
一方ケーキを食べ終えたグローリアはというと。

「私は神殿で仕事があるから帰ることにするわ。
 何があったのかはよく知らないけど、アイリちゃん元気出して。
 ――ティキ、貴女に後のことは任せたわよ、全部ね」

彼女は神殿に戻るつもりらしい。
守護精として、何かしなければいけないことでもあるのだろうか。

「......はい、わかりました。
 さようなら、グローリアさん」

アイリの見送る手にも力がない。
今まで閉じ込めていたものが一気に出てきてしまったのだろうか。

   *   *   *

5番街へ向かった後もアイリの足取りは重い。

入口を抜けて。
公園を抜けて。
住宅街の方まで歩いていく。

すると見えたのは小さな人影。
銀色の髪の少年、アポロである。

「アイリ!」

彼はこちらの方まで駆けてくる。
その顔には笑みが浮かんでいた。

「......アポロ?」

アポロを見たアイリは驚いた顔、怒った顔、悲しそうな顔へと表情を変えていく。
シュガーについてアポロに対しては複雑な思いがあるのだろう。
ただそんなことはお構いなしにアポロはアイリの手を取って言った。

「アイリ、おれシュガー見つけたんだぜ!
 街中走り回ってさ!
 ......じゃなくて」

勝手に走る言葉を止められないかのように言葉を紡ぎ続けていたアポロだったが。
なんとか途中で言葉をせき止めて、少し真面目な表情を作ろうとする。

「ごめんな、シュガー逃しちゃったりして。
 おれ、もう二度としないからさ......その。
 アイリ、許してくれるか?」

ぺこりと頭を下げるアポロ。
アイリはというと、彼が何を言っているのか把握しきれていないようだ。

「シュガー......見つかったの?」

それでもなんとか言葉を発すれば。

「そうよ、アポロが見つけてきたの。
 ほら、ここにいるでしょう?」

アポロの向こう側からどことなくアイリの面影を残す女性がやってきて答えた。
アイリの母親であろうか。
彼女の手には鳥籠が......中には大人しく佇む鳥の姿があった。

「......シュガー!」

アイリは鳥籠を視界に捉えるや否や、その傍まで近寄って。
籠越しに鳥の姿を見つめた。

「よかった......もうシュガーに会えないかと思ってた......。
 また会えて......よかった......」

少し涙声になっている気がした。
鳥籠を持った女性はアイリの頭を優しくなでる。

「あのさ、アイリ。
 ......おれ、アイリにプレゼントがあるんだ。 
 アイリって音楽好きだろ?
 おれ、チケット二枚もらったから一緒に行こうぜ」

そんなアイリにこわごわとアポロは近づいて。
チケットを一枚差し出す。
ティキにとってはどこかで見覚えのあるチケットだ。

「......え、チケット?」

アイリはまずそのチケットを受け取って。
反対の手で涙を拭った。

「......アポロって本当にドジだよね。
 わたし、同じチケットもう持ってるの」

アイリの言う通りだ。
アポロがアイリに差し出したのは、トゥルー・ソウルズのチケットである。
少し前に長髪の男から受け取ったものと同じだ。

「えー、そんなあ......」

アポロはアイリの態度に残念そうにうなだれる。
期待していた返答とは異なっていたのだろう。

「でも、気持ちだけはもらっておいてあげる。
 わたしも行くつもりだったし、一緒に行ってもいいよ。
 ただ勘違いしないでね、アポロと行きたかったわけじゃないんだから。
 わたしはティキさんと行きたかっただけなの」

それでもアイリは誘われたこと自体は嬉しかったのだろう。
さっきまでの暗い表情とは打って変わって、楽しそうな顔に戻っていた。
......言葉の終わりに言い訳がましく、付け足した部分もあったが。

「お、おれもアイリと行きたかったわけじゃないぞ!
 ヴェンが渡したらどうだって言ってたから渡しただけだもん!」

子供のアポロはそんな付け足した部分がつい気に障ってしまう。
そして不必要に反撃してしまうのだ。

「なによ!」

「なんだよ!」

だから、こうなってしまうのも仕方がない。
せっかく喧嘩が終わったかと思えばまた新たな喧嘩が生まれそうになっていた。

「まあまあ、二人共落ち着きなさい。
 落ち着かなかったら、今度からおやつ抜きだからね!」

そんな二人を仲裁するのはアイリの母である。
どうやらおやつ抜きは二人には聞いたらしく、それ以上の応酬はなくなった。

そのまま彼女はティキの傍に寄ってきて。
ティキに向かって話しかけた。

「あなたがティキさんでよろしいかしら?
 どうやらうちのアイリが懐いてしまったみたいで。
 ご迷惑かけていたらごめんなさいね。
 それにこの後一緒にステージを見る約束までしてるみたいで。
 大変でしたら断っても構いませんからね?」

アイリを預かってもらったことへの感謝と謝罪を示したかったようだ。
ついでにこのあとに予定している公演についても確認したかったのかもしれない。
スケジュールを把握していないと、外出している娘のことが心配なのだろう。


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あんみつ@GMより

ティキルート進行です。

まずは5番街まで移動します。
移動する時点でグローリアとは別行動になりますね。

5番街に戻れば、アポロとシュガーを連れたアイリの母親が待っています。

ティキは次の行動を選択してください。

具体的なものは以下の2つです。

・トゥルー・ソウルズの公演に行く
・トゥルー・ソウルズの公演に行かない

公演に向かう場合は時間を進ませますので、
それまでにやりたいことがもしございましたら行っておいてください。

他に関してはお好きにどうぞ。